アイリス姫の殺人生〜日常・アイリス視点〜
クライドは、頬杖をついて私を見ていた。
そんな彼を少しだけ鬱陶しく思いながら、ページをめくる。
クライドと暮らし始めてから、すっかり日課になってしまった。
今日読んでいるのは、推理小説。
最近同じシリーズのものばかり読んでいる。
はぁ、と嘆息し、本を閉じた。
「暇、なの?」
クライドは、姿勢を崩さずに頷いた。
「うん、暇」
なら、と私。
「掃除でもしておいて」
私は次の本を出し、開いた。
「暇」
彼は再度そう言った。
私はそれを聞き流した。
「ねえ、暇」
ぱらりとページをめくる。
「暇だなぁー」
……
「暇」
聞こえない聞こえない。
「ひ・ま。暇。暇暇暇暇暇ぁー!」
「あぁーもう煩い!」
私はとうとうクライドを怒鳴りつけた。
「そんなに暇なら掃除!それが嫌なら暇って言わないで!」
こんなやり取りも日常だけど、それが私には幸せ。
クライドと、こうして居られるだけで幸せ。
「ちぇ」
舌打ち。
その後、クライドは気だるそうに欠伸を漏らした。
また頬杖をついて私を見ている。
さっきは鬱陶しいなんて思ったけれど、嫌いという訳でもない。
この眼差しには、暖かさがこもっている。
決して不快ということはない。
でもやはり少し恥ずかしいので、私は再度暇なのかと問いかけた。
「アイリスを見るのに忙しい」
また新たな言い訳を、と呆れる。
それと同時にちょっと顔を逸らした。
「あれ、照れた?」
「う、煩い!」
正直なところ図星である。
「なんか理不尽」
頬を膨らませるクライドを、少しだけ可愛いなんて思ってみたり。
ああ、やっぱり私は。
この日常が、大好きだ。
アイリス姫と殺人生は、短いながらももうすぐで終わらせる予定です。
当初は短編として出すつもりだったのですが、こうして連載として出すこととなりました。
この話は、番外編のようなものだと思って間違いないでしょう。
読んでくださり、ありがとうございます。




