第5話
俺はイスミに捕まり、首にナイフをあてられ身動きが取れない状態だった。
「何が目的なんだ?イスミ」
「だいそれた目的はないよ。けどね、我が国の王様は何としても獣人族を滅ぼしてたいと思っていてね、エルフを手中に収めておきたいのさ」
「そんなことしたとしても、無駄だと思うぞ」
「君らみたいな、普通のエルフには価値は無いと思うけど、ソラは違うだろ?なんせ王女の婚約者なんだから、利用価値はあるし人が有利に交渉を進めることが出来る」
「あー、そう言う意味じゃなくて」
「まぁ、君ら2人は捕まえて売り捌くとしよう、エルフだしないい金になるだろう」
「どうしましょうか?カイトくん」
カイトとミトはしばらく考えると、剣を抜き取り構え始めた。
「ミト支援は頼むぞ?」
「はい、任せて下さい。カイトくん先にソラくんの拘束を解きましょう」
「ソラなら心配ないと思うが?」
「万が一があってはボクらが王女様に何か言われてしまいますよ?」
「それは面倒いな、じゃあとっととソラを解放してやるか」
「まさか君ら2人だけで我らを相手しようと考えているの?勇気と無謀は違うよ?痛い思いしたくないだろ?武器を捨てて降伏してくれないかな?」
「お断りだね、俺の嫌なことは指示されること。特にお前のようなクズになんて従うはずがないだろ」
ミトはカイトの後ろに周り背中を向けた。
「ミトしくじるなよ」
「分かってますよ、カイトくんも暴れすぎないでくださいね」
2人は周りにいる人間の大人たちと戦い始めた
「イスミお前見誤ったな、ミトはカイトほどじゃないけど、剣の腕はいいぞ」
「煩いよ?2人が強かったとしても、君がいればこちらに手出しは出来ないの、お分かりかい?」
「あーあ、そうか僕がいるから2人は攻撃できないのか、なら逃げるとしようかな」
「何言っているんだい?少しでも動けば首が飛ぶよ?痛い思いはしたくないだろ?」
「なぁ、ミトが言っていた事覚えているか?」
「確か君が全部の魔法使えるって奴だっけ?つくならまともな嘘を着いてほしいかったね」
「ところがどっこい、嘘じゃあないんだよね」
そういい終え俺は闇系統の転移の魔法を使った。
「んなっ!ありえない、なんでお前なんかが転移の魔法を使えるんだ」
「そんなのは知らないけど、使えるのは使えるのだから仕方ないよね」
「ふざけるな!お前たち!こいつを殺してもいいから捕まえろ!」
イスミは荒らげながらイスミの周りにいる大人たちに指示を出した。
「他人頼りじゃなくて、自分で動きなよ」
「黙れ!我々は失敗は出来ないのだ!とっとと動け!そしてあいつを捕まえろ」
俺はため息をつきながら、魔法を使った。
「これは土系統のチェインだと、ありえない、有り得てはならない。こんなことが」
「何がありえないの?現実問題として、僕は使えているだろ?」
「ふざけるな!とっととこの拘束をとけ!国際問題だぞ!いいのか?貴様の安易な行動のせいで我が国サハライト全てが敵になるぞ!」
「あのね、君さ先にしかけてきたのはそっちでしょ?状況が悪くなれば被害者ムーブですか?ありえないと思うけど」
「僕は、お前たち亜人種とは違う、選ばれた種族なんだぞ!貴様らは我ら人族に跪き頭を垂れるのだ!分かったら拘束をとけ!」
「ここまでくるといっその事賞賛したいよ。たかだか80年位しか生きれない種族が選ばれた存在?寝言は寝て言いな」
エルフとして転生したせいか、人間に対して良い感情も悪い感情も湧かなかったけど、ここまで露骨だと憔悴してしまう。
「人間ってこんなだったかな?やべー前世の記憶を思い出せなくなってきた」
「何をブツブツ言っている!早くこの拘束をとけと言っているんだ!僕はサハライトの公爵家の子息なんだぞ!」
「それがどうした?君が公爵家の子息だったとして、この国では関係ないよね?故に君たちを拘束してる訳だし、文句があるなら拘置所で聞いて貰えるよ」
「高貴な僕に牢に入れと言うのか!ふざけるなこんな拘束剥がしてやる」
イスミは身体強化の魔法を使い拘束から逃れようとしたが、それは逆効果で更にイスミを締め付ける結果となった。
「なんだ、これは!余計に苦しく・・・なっ・・た」
「他の人たちも無駄な抵抗はやめてね、それに君たちは不正入国の疑いもあるわけだから、余計罪が重くなるね。お疲れさま」
「よぉ!ソラ、やっぱり自力で脱出出来たか。俺は信じてたぜ」
「そっちもお疲れ、さてこの人数を3人で運ぶのは大変だね」
「そうですね、先生を呼ぶことは出来ますが、どうしますか?」
3人で悩んでいると俺は不意にこのまま放置しててもいいかなっと考えてしまった。
「放置でいいと思うぞ」
「カイトくんそれはまずいと思いますよ、いくらこの人たちがソラくんを誘拐しようとしたとしても、放置して見捨てたなんて言われたくないでしょ?」
「それもそうだな、しかし困ったな。ソラなにかいい案思いつかないか?」
「(やべーカイトと同じ発想だったことは黙っておこ)うーんそうだね、拘束はそのままで木に吊るしておくとか?」
「ソラくん、それもどうかと思いますよ」
結局合図をだして、先生たちに来てもらい今までの話をしていたら、討伐実習は終わってしまい1位を取れなかったカイトは嘆いていた。
騒動があった一週間後、俺は城にミーナに呼ばれたのでお菓子を持参して城に入った。
「ごめんなさいね、急に呼び出したりして」
「大丈夫ですよ、それに噂になっていたお菓子を見つけたので、後で一緒に食べませんか?」
「あら、嬉しいお誘いだ事。いいわねでは、わたくしからの要件を伝えるわね」
ミーナからの要件とは、イスミたちの事だった。
俺たちを襲ったイスミたちは一時期はエルフの国で留置していたが、サハライトの王様が返還要求を出てきたとの事。当然国王様は受け入れられないと抗議したが、イスミたちはサハライトに帰っていった。
今回の件は不幸な事故として、内密に処理されることになったとミーナから聞いた。
「本来なら被害者のソラとカイト、ミトに慰謝料を支払わせたいのだけど無視されているのよね」
「僕は要りませんよそんな金」
「まぁ、そうよね。後からとやかく言われそうだし、やっと仕事が落ち着いたと思ったらこんなことに巻き込まれちゃうし、今日お菓子がなかったらソラにも手伝ってもらうところだったわ」
「僕、この件でお手伝い出来ることありますか?」
「ないわね、詳しい事情を聞くくらいしかないのよね」
「でしたら、お茶にしませんか?噂のお菓子ですよ。美味しかったですよ」
「あら?わたくしと一緒に食べようと仰ったのに、ソラは先に食べていたのですね」
「あっ!ごめんなさい」
「まぁいいわ、誰かお茶とソラが持ってきたお菓子を用意してちょうだい」
俺はその後場所を移動してお茶をして帰った。お菓子はミーナの口にあったようで、また買ってきてくれと催促されたのだった。
翌日学園が急遽休みになり俺はゆっくりと起き、母親に怒られた。
「学園が休みだとしてもちゃんと時間通りに起きないと、ダメでしょ」
「ごめんなさい」
「まぁ、いいわ早く朝食いえ、もう昼食ね食べちゃって」
朝食兼昼食を、食べ終えた頃にカイトとミトがやってきた。
「どうしたの2人とも?」
「たまには3人で遊ぼうと思ってな」
「そうですね、日光浴とかいかがですか?」
「2人とも気を使ってくれてありがとう。僕は元気だから気にしないで、そもそも彼とは友達になれないかなって思っていたからね」
「ソラが気にしてなければいいんだけどよ、分かった。ミトが言っていたように日光浴しようぜ!ソラも好きだろ?日光浴はさ」
「うん!気持ちいいよね。母さんに話してくるね、ちょっと待ってて」
母親に2人と一緒に日光浴してくる旨を伝え、家を出た。この日はいつも以上にここちい風と程よい陽の光を浴びてリフレッシュできたと思う。
お読み下さりありがとうございます。
頑張って続けていきたいと思います。
誤字脱字を見つけたら教えて下さい、なるべくないようにしておりますが。




