第3話
学園での授業とミーナとの魔物討伐が日常になって2年が経った。最初の頃緊張していたミトは今では平然としている。
今年初等部を卒業して中等部に進学した。エルフの国では三十歳になって初等部に入りそれから5年勉強し、その後中等部で5年高等部で3年勉強したらそれぞれの道に進むことが出来る。
前世では、一日一日大切に生きていたが、ハイエルフに転生してから時間感覚がおかしくなった。エルフの寿命は大体1500年。ハイエルフはその2倍の3000年以上生きる。
ミーナとも何度か2人だけでお茶したり、出かけたりしてなかを深めてはいる。俺とミーナとの婚約が発表されてからは、人間の国から抗議文が送られてきたが、国王様が一蹴してくれた。普通に考えれば人間とハイエルフとじゃあ生きていく時間が違うから仕方ない。
「ソラ、貴方はいつになったら自ら、わたくしをデートに誘ってくださるのですか?」
「え?!だって僕まだ子供ですし」
「それならわたくしだって子供ですわよ?」
「ミーナ様の好きな所分かりませんし」
「貴方はいつになったらわたくしの事をミーナと呼んでくださるのですか?カイトはすぐにわたくしの事をミーナと呼んでくださいましたよ?」
「こ、心の準備がまだ」
「貴方の心の準備に何年かかることやら、まぁいいですわ、これからもずっと一緒なのですから」
「ミーナ様は学園を卒業したらどうするのですか?」
「貴方達が学園を卒業するまでは、お父様の執務を手伝う予定ですわ。ソラには荷が重いでしょうからね」
「すみません」
「別に責めてるわけではありませんわよ。出来る人がやればいいのですから」
「少しでも、僕が手伝えることがあれば言ってください」
「そうね、そうするわ。そういえば侍女が言うには巷で有名なお菓子が人気なようですね、わたくしそれが食べたいですわ。次回持ってきて下さいね」
「分かりました」
城を後にして、自宅に戻ってくると母親の弟、俺からしたら叔父が来ていた。
「叔父さん、どうしたの?」
「久しぶりだなソラ!大きくなったな」
「叔父さんは今何やっているの?」
「俺はな、今は冒険者をやっているぞ!人間の国を中心で動いているぞ。それにしてもソラお前王女殿下と婚約したんだって?良かったな、ハイエルフはなかなか出会いが少ないからな」
「叔父さんは、好きな人いるの?」
「いるけどな、相手人間なんだよなぁ」
「あー、それは難しいね」
「うん?そう言えば、俺はなんでソラにこんな話してるんだ?それよりもソラお前は学園はどうだ?楽しいか?」
「うん、楽しいよ友達もいるし、たまに魔物討伐も行ってるから」
「そりゃあー良かった。友達大事にしろよ?」
それから叔父と話しながら夕飯を食べて就寝した。朝起きると叔父は既に居なかった。
「ヨハンならソラが寝たあとパパと少し話して、帰って行ったわよ。」
「次はいつ来てくれるかな?」
「それは分からないわ、次は好きな人と来るんじゃないかしら?」
「ハイエルフと人間との間に子供はできるの?」
「出来ないことはないわよ?エルフは人間寄りな種族だからね、魔力が多いのと寿命が長いだけよ」
「子供はやっぱり人間が産まれるの?」
「確かハーフエルフが産まれるって聞いたことがあるわね」
母親の話によるとハーフエルフはエルフよりも寿命が短いと知った。母親とこんな話をした8年後叔父のヨハンは結婚したと聞いたがこの話はまた別の機会に
「ねぇ、母さん有名なお菓子って知ってる?」
「有名なお菓子?どんなのかしら?」
「僕も、詳しくは分からないんだけど、ミーナ様が次はそのお菓子を持ってきてって言われた」
「まぁ、そうだったの。でも、ママは知らないわね。近所の人に聞いてみようか?」
「いや、いいよ。僕一人で探してみる」
「夕飯までには帰ってくるのよ?」
家を出て街をブラブラと歩いて、有名なお菓子を売っているお店を探していた。
「有名なお菓子なら行列ができていると思うんだけど、そもそもお菓子を売っているお店少なすぎだ」
俺は前世の記憶が薄れつつある、前世の名前や住んでいた場所、好きな食べ物や転生する直前まで何をやっていたのかなど思い出せないものがある。
「うーん。どこだろ、ミーナ様が嘘をついているとは思えないしな、それにしても有名なら皆騒いでいると思うのに、全く見つからない」
諦めて帰ろうとしてた時声をかけられた。
「ソラお前なにしてんだ?」
「カイトこそどうしたの?」
「俺は買い出しから帰る途中だけど、ソラお前は?」
「ミーナ様の侍女が言ってたんだけど、有名なお菓子が売ってるらしいから買ってきてって言われてさ、今探してるところ。けど、見つからないし帰ろうかなって思ってさ」
「そうか、なら丁度いい、半分持て」
「何が丁度いいのか分からないのだけど?」
「その菓子を探してるんだろ?」
「それはそうだけど、カイトの家と何か関係あるの?」
「まぁーな、行けば分かる!それに俺の家お前来たこと無いだろ?」
俺は半ば無理矢理カイトが持っていた荷物を持たされ、カイトの家に向かった。
「ここが俺の家だ」
「ここって?普通の家じゃん」
「見た目はな、けどお前が探しているかどうかは分からないけど、俺の家では、菓子を作ってんだ」
「え!?そうだったの?」
「ミトは何度か来たことあるけどな」
「カイトお菓子作れるの?」
「いや、俺は作れない!母ちゃんと父ちゃんが、作ってる。今日は材料が無くなってたから店閉めてんだ。俺はいつも買い出し当番」
裏口からカイトの家に入って店のオリジナルお菓子を頂いた。
「カイト本当にいいのか?お菓子貰っちゃって」
「いいってことよ!母ちゃんも父ちゃんも喜んでいたし、それにミーナに食わせるんだろ?その時は買いに来てくれよな」
「分かった。ありがとうカイト、また来るよ」
カイトの家から出る時は既に日が落ち始めていて、俺は駆け足で家に帰った。母親に怒られたけど家族揃って夕飯を食べて、カイトから貰ったお菓子を食べた。
「美味しいかったわね。カイトくんが持たせてくれたお菓子」
「うん、これならミーナ様も喜ぶと思うよ」
「パパはママが作ってくれたご飯が1番美味しいな」
「うふふ、パパッたら」
隙あらばイチャついてる両親。こりゃ弟か妹が出来る可能性があるかもしれない。
翌朝俺は学園に行く準備を終えて、朝食を取り家の前で魔導車が来るの待っていた。
「おはようございます。ソラくん」
「先生、おはようございます。母さんいってきます」
「行ってらっしゃい」
俺が魔導車に乗ったのを確認した、運転手は扉を閉め魔導車を走らせた。しばらく走って学園に到着した。
「今日留学生が来るって言っていたよな?」
「はい、確か人間の国から来るとか言ってましたね」
「そんな事言ってた?」
「ソラお前さぁー先生の話は聞いとけな。俺でさえちゃんと聞いてるんだから」
「うっ、たまたまだよ。たまたま」
「それにしてもどんな人が来るのでしょうか?」
3人で話していると先生がやってきた。
「皆さん席に着いてください。留学生を紹介します」
「初めまして、人間の国サハライトから来ました。イスミ・ミラ・ラードです。5年間よろしくお願いします」
イスミと名乗った男性は10歳ほどで髪は青の青い瞳だった。
「それじゃあイスミくんの席は、ソラくんの隣が空いてますね、あそこにしましょう」
「よろしく、5歳くらい?ここ中等部だよね?」
「あははは、イスミお前面白いな」
「違うのか?」
「ソラはハイエルフで俺たちエルフより成長が遅いけど、俺らと同い年さ」
「一応、僕は君より年上なんだけどね」
「でも、身長小さいよね?黒板みえるの?」
「僕には魔法があるからね、僕の前に人が居ても関係ないのさ」
「ふーん、まぁいいや。これからよろしくね」
お読み下さりありがとうございます。
頑張って続けていきたいと思います。
誤字脱字を見つけたら教えて下さい、なるべくないようにしておりますが。




