表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨降り小僧~スイの旅~  作者: 羽紗子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/28

霜柱

 足の裏からみしみしと、霜柱の背伸びする気配がします。


 スイは夜も明けやらぬ薄暗い道の(はた)に踏み出そうとした片足をそっと引き上げて、もう片方の下駄の隣に揃えました。


 地面に頭を近づけて耳を澄ませますと、キンキンに冷えた囁き声が微かに聴こえてきました。


「集まれ、集まれ」


「伸びろ、伸びろ」


「もっと高く」


「氷の神殿を造ろう」


「がんばれ、がんばれ」


「寒いよ、冷たいよ」


「まだ眠いよ……」


 聴いているうちに気の毒に思えてきました。

 触れれば簡単に折れてしまいそうな氷の神殿の柱が土の天井を押し上げていきます。少しずつ、少しずつ――。それを、黙って見守っているうちに、辺りが明るくなり始め、それに連れて地面がキラキラと輝きを増していきました。

 透き通る幾千もの柱を有する美しい神殿が出来上がったのです。


「空の神殿にも負けない、素晴らしい柱が出来たね。みんな、すごいや」


 頑張ったね。と、白い息と共に氷の子供たちに(ねぎら)いの言葉をかけると、きらり、きらりと誇らしげな輝きが返ってきました。


 こんなに見事な神殿が誰かに踏まれてしまうところを見たくはなくて、名残惜しく思いながらも立ち上がりました。ずっとしゃがんでいたせいで足が痺れてじんとしましたし、足首がパキリとなりました。手がかじかんで指先が赤くなっています。


「うう、寒い」


 あやかし者なのに、妙に人間らしい仕草で袖に冷えた両手を入れて脇に挟みながら、ふと空を見上げました。

 金色の空に茜色の雲が浮かんでいます。一晩中空を巡っていたはずの星は一つも居なくなっていました。その代わりのように煌めく地上に視線を落とし、ふと思いました。もしかしたら、疲れた星たちはいつの間にか霜柱の神殿に降りてきて、静かに休んでいるのかもしれないな、と。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ