【学園生活スタートです…!②】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
「は~い。皆さん、今日は新しいお友達を紹介しま~す❁⃘」
ほんわかで、ゆったりとした口調の女性教師がミリアを紹介する。
「ほら、ミリアさん。もう自己紹介していいわよ~」
「あ、ああ、あの、ミミ、ミリア・フェンリル、で、です…。よろしくお願いし、ます…」
大変だ。これでは大切な第一印象が、文章の中にやたらと『、』が入る人になってしまった…。
さようなら。儚く散って行った私のキラキラ魔法少女生活よ…。
『パチパチパチパチ』
ぎこちない挨拶だったが、クラスの皆は拍手で暖かく迎え入れてくれた。
拍手の音で挨拶をしながらだんだんと下に向いていた顔を上げると、見た事のある人物が同じクラスにいた。
それはあの銀髪の男子生徒だった。そういえば彼がしていたネクタイは上級クラスを表す赤色だった。上級クラスは二クラスだけだとしても、偶然一緒になるとは。
しかも、よく見るとローブが長い。
『あっ、そういう事だったのか…』
ミリアはようやく理解した。図書室でミリアの顔を不思議そうに見つめていたのは、ミリアのローブが長かったからだ。
と、言うことは…。バレた。いや、すでにバレていたのだ。アストラルの一員だという事が。
「じゃあミリアさん。授業を始めるので、席についてくださ~い。席はあそこよ~❁⃘」
言われた席にミリアは座る。
「今日は~、ちょっと難しい応用魔法を覚えましょう。なんと、火柱を生み出す魔法で~す❁⃘」
『え?聞き間違え…じゃないよね…?今先生、火柱の魔法って…?』
「今まで皆さんは主に棒状の火、さらに玉状の火を出す魔法など、火に関する魔法をいつくも習いましたね?ですが、今回は炎の火柱で~す❁⃘迫力ありますよ~」
『え、えーーーー!?』
ミリアは心の中で叫んだ。
やはり、ミリアの聞き間違えではなかったのだ。そして驚いた理由はもちろんすでに入学試験の際、ミリアはその火柱を意図せず生み出していたからだ。しかも、とんでもない高さの。
そこからの授業の内容は、驚きすぎてあまり覚えていなかった。唯一覚えているのは、先生が教えている火柱の高さはミリアが入学試験で出した火柱の高さの三分の一にも満たなかった事…。
あとは、年に一回闘技場でトーナメントバトル形式で魔法力のテストが行われるらしい事。
『やっぱり呪文、覚えておかないとかぁ…』
ミリアはこれから大量の呪文を覚えなければならないと思うと気が重たくなる。
「やっ、やっと終わった…」
一日の授業が終わる頃にはミリアはどっと疲れていた。椅子に座りながら机にほっぺたをくっつけて、体重を預ける。机から伝わる少しだけひんやりとした感覚が心地よくて、つい目を瞑ってしまう。
「こんにちは。君とは、二度目ましてかな?」
「あ…!あ☆&#@$?」
その声で驚いたミリアはハッとして、もはや何語か分からない言葉を発しながら慌てて起き上がる。よく見るとそこにいたのは、やはりあの時出会った銀髪の男子生徒だった。
ミリアは乱れた息を落ち着かせる。
「あ、そそそ、そうですね…。確か図書室でお会いしましたよね…」
「ああ、そうだよ。その時、自己紹介していなかったよね?」
「は、はい…」
「では、改めまして。僕の名前は
『ハル・ランドルフ』と言います。君の名前は、
『ミリア・フェンリル』で合っているかな?」
「そ、そうですけど…私に何か…?」
「うん。僕はアストラルのチームリーダーをしているんだけど、今日校長先生から新しい子が来るって聞いてね。図書室で偶然会った時は驚いたよ。あ、それでアストラルはいつも放課後は生徒会室に集まっていてね。だから、ミリアにも是非来てもらいたいんだ。僕はこれから少し用があるから、申し訳ないんだけど先に行っててもらえるかな?他のみんなはもう居ると思うんだ」
「あ、え、えと、分かり…まし…た…」
その返事を聞くとハルは『良かった』と言うように頷いて教室の扉へ向かって行った。
ま、またやってしまった…。ミリアは自分の断れない性格に後悔する。返事をしてしまった以上、ゆっくりはしていられない。ミリアは仕方なく(貴方が了承したんですよ?)生徒会室へ向かう事にした。
「こ、こんにち、は…」
ミリアは恐る恐る生徒会室の扉を開けた。その瞬間──
「ミ~リ~ア~ちゃーん(泣)」
半べそをかきながら、リリーが勢いよく抱きついて来た。
「もぉーっ、いくら教室で待ってても来ないんだもーん。帰っちゃったかと思ったじゃーん(泣)」
「リリーさん、あの、私実は上級クラスに配属されまして…」
「うー(泣)やっぱりミリアちゃん強いから、私と同じ中級クラスには来ないと薄々思ってたけどー(泣)でもでもすっごく寂しかったよぉ~(泣)」
「す、すみません…ご心配をおかけしました…」
ミリアが半べそのリリーに抱きつかれながら動けないで居ると、初めて聞く声が耳に入ってきた。
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。