【い、痛い…②】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
五人は歩いて北出口に来た。
しかし、北出口も南出口と同じようにシャッターが閉め切られていた。
「ここもダメですか」
「うん、そうみたいだね。東出口に向かってみようか」
「東出口は開いているといいわね♩早く出なきゃいけないもの!」
ミリアたちは北出口を諦め、東出口に向かって歩く。
「わ~!見て~♡このぬいぐるみ可愛い~♡買っちゃお~♡すみませ~ん!これくださ──────」
ジルは雑貨屋さんのクマのぬいぐるみを抱いてレジに行くも、顔をハッとさせた。
そう、ミリアたち以外に人が居ないという事は、ぬいぐるみを買う事はおろか、すなわち店員さんも居ないという事だった。
「ジルちゃん、また今度買いに来ましょう♩」
リリーは少し悲しそうな顔をするジルに声をかける。
「うん、そうだね。クマさん!また今度来るからね~♡誰かに買われちゃダメだよ~?」
ジルはそうクマさんに話して、五人と合流する。
歩いていると、やがて東出口が見えてきた。
しかし、五人の表情は明るくならない。
「うーん、こっちの出口も閉まっているのね」
「で、では、に、西出口に向かいましょうか…」
五人は東出口も諦め、西出口に向かう。
「みなさん!見てください!サイエンスコーナーがありますよ」
珍しくルークがテンションを上げる。
そこはルークの言う通り、地球や土星の模型や、ダンボールだけで出来た振り子時計、植物や生き物に関しての本などが展示されていた。
「ル、ルークさん…、確かにとても面白そうですがま、まずは出口を探しませんか…?」
ミリアに声をかけられて、ルークは眼鏡にかけていた手を戻し、立ち膝をしていた体制を戻して立ち上がり、気持ちを切り替えるように少し咳払いをした。
「コホン、そうでした。今は出口を探すことが第一優先でしたね」
ルークは踵を返して、五人の元へ戻る。
「え~ここもダメなの~?」
「ジル、どうやら残念だけどそうみたいだね」
五人は西出口に来るも、やはりそこにはシャッターが閉め切られていた。
「ま、まさか残りの五つの扉も同じように締め切られている…なんて事はないです…よね…?」
「まっさかー♩ミリアちゃんの予想通りだったら、私たち出られないじゃなーい♩」
「で、ですよね…」
ミリアとリリーは、どこか信ぴょう性の無いぎこちない会話をする。……お互い少し嫌な予感を感じながら。
「みんな、ここからは手分けして出口を見つけないか?後五つもあるんだ、一緒に行くよりも早く脱出できると思うんだ」
「そうですね、ハルさんの作戦が良さそうです。では、集合場所は最初の南出口にしましょうか」
「分かったわ♩」
「それい~ね~♡」
「は、はい…!」
こうして五人はそれぞれ各出口を確認しに行く。
「よーっし!さっさと脱出してさっきの服、買いに来るわよー♩」
リリーはそう言いながらスタスタと二階の東出口に向かう。止まったエスカレーターを階段のように駆け上がり、幅のあるショッピングモールの廊下の角を曲がる。
「さぁ!東出口さん♩開いていていいのよ♩」
リリーはキュキューっと急ブレーキをかけるように止まって出口を見る。しかし、東出口は開いていなく、他と同じくシャッターで閉め切られていた。
「んー。ここじゃないのね」
リリーは残念そうに少し首を傾げ、両手を腰に当てた。
「そもそも何故、私たちはショッピングモールに閉じ込められているのでしょうか。この前来た時は普通に帰れて、あれから来てないのにも関わらず。うーん、考えても分かりませんね。とにもかくにも、二階の北出口を確認しなければですね」
ルークはこの状況を考察しながらゆっくりと止まったエスカレーターを上り、北出口へと向かう。
「───開いてない、ですか。他の誰かが見に行った出口が開いてればいいですが」
ルークが見に来た二階北出口もやはり、シャッターで閉め切られていた。
ルークは片手を腰に当て片足に重心を預け、無念な気持ちを表情に表す。そして、他の出口が開いている事を願うように左右を軽く見渡した。
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。




