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【い、痛い…①】

この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。

「ミリアちゃん!ミリアちゃん!起きてーー♩」

「───ん?あ、あれ…?リ、リリーさん…?」


 ミリアが目を開けると、目の前で手を左右に振り、ミリアを起こした張本人であるリリーが居た。

 そしてミリアは何故かベンチに座っていた。どこのベンチかと思えば、この前アストラルのみんなで行ったあのショッピングモールの、絨毯で出来ている廊下にあるベンチだった。

 

 「あれ…リリーさん…?あの日、私たち無事に家に帰りましたよね…?」

 

「うーん、私もそんな気がしてるよのねー」

 リリーは目を閉じて腕を組み、真剣そうで真剣じゃなさそうな軽い声色で言った。

 

 ミリアは辺りを見渡すが、あの時のようにお客さんや店員さんなどは一人も見当たらなかった。ただ、シーンと静まり返ったショッピングモールという広い空間がそこにあるだけだった。

 

「何故、ここに居るのでしょうか…」

 ミリアが不思議に思ってそう呟くと突然思い出したかのように、リリーがパチンと手を合わせ言う。

 

「そうだったわ!ミリアちゃんに見せなきゃいけない物があるの!」

「見せなきゃいけない物…ですか…?」

「うん!こっち来て!」

 

 リリーはミリアの手を取り、ある場所へ向かってスタスタと走って行く。ミリアも手を引かれベンチから立ち上がり、目的が分からないままリリーについて行く。

 

 エスカレーターも止まっていて、階段のようにトントンと足音を立てながら降りて行く。

 そうしてしばらく走って居ると、出口に近づいている事に気がついた。

「リリーさん…、見せたい物はショッピングモールの外にあるのですか…?」

 

「いいえ、違うわ。見てほしい物はこれよ」

 リリーは前を向きながら首を振って否定した。そして、リリーが「これよ」と言うと同時に角を曲がると、やっぱりそこは出口だった。

 

 しかし、出口があるのにリリーは外に出ない。「何故外に出ないのですか…?」と聞かなくても、ミリアはその場を見て意味が分かった。リリーが外に出ない理由も、見せなきゃいけない物がある、という事も。

 

 出口からは外の景色が全く見えず、その代わりに頑丈そうなシャッターが扉の前で閉められていた。いや、この状況だと閉め切られていると言うべきなのか…つまり、閉じ込められているという事だ。

 

 そしてそのシャッターの前にジルとハル、それからルークも居た。

 

『こんな状況でも全員集合しちゃうんだな』

 ミリアは複雑な思いだけど、みんなと会えた事が嬉しかったし、心のどこかで『あぁ、いつものメンバーだ』と安心して口角が「ふふっ」と少し上がってしまう。

 

「ねぇルークっち~、どーしよ~(泣)あたしたち閉じ込められちゃったの~?」

「にわかには信じ難いですが、その解釈で合っていそうですね」

「うーん、他の出口を探そうか?」

 ハルは、開かなそうなシャッターに手のひらを当てながらみんなに問いかける。


ハルがシャッターを開けようとしていない様子からするに、既に何度もシャッターを開けようとはしたが簡単には開かない事が分かり、そして今もなお開かないのだろう。そんな様子が伺えた。

 

「そうね、別の出口なら開いているかもしれないわね」

「探してみましょうか」

「わお!それって、なんだか脱出ゲームみたいだね~♡ミリアっちも行こ~♡」

「は、はい…!」

 

 こうして五人は違う出口に向かう。このショッピングモールの出口は一階と二階にそれぞれ東西南北に向かう四つと、屋上の扉。合わせると九つの外に出る出口がある。

 おそらくは、その中のどれか一つが外に繋がる出口、という事なのだろう。

 

 始めに見たシャッターが閉め切られている出口は南出口だったので、五人はまず反対側の北出口に向かう。

 

「わーっ♩この服可愛いわねー!ミリアちゃんに似合うと思うわ!試着しちゃうー?あっ!こっちの服はジルちゃんに似合いそうねー♩」

 

 リリーは北出口に向かうまでの服屋さんにはしゃぐ。ハンガーにかかっているままの服を手に取っては、片目を絵描きさんのように閉じて、ミリアとジルに合わせる。

 

「リリーっち~!脱出ゲームではタイムも重要だったりするんだよ~♡今回はパパッと出て最速クリアしちゃお~♡もしかしたら、何か景品があるかもだし~♡」

 

 リリーはそのジルの言葉でハッと我に返る。

「そうだったわ!今は脱出ゲーム中だったわね♩」

 

 リリーは服を戻して駆け寄って来る。

いつからこの状況が脱出ゲームになったのだろう…。


でも、リリーの明るさでみんなの不安も少し和らいだ気がした。ハルもルークも少し表情が綻んだ。そうだ、せっかくだもの楽しまなきゃだよね…!多分…?

〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗

読んでいただき、ありがとうございました。

小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。

ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。

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