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【五は欠けない③】

この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。

「ハルさん…!」

 ミリアが集合場所に行くと、心配そうに携帯の画面を見つめるハルが待っていた。

「ミリア!良かった、大丈夫かい?」

「はい…!大丈夫です…!」

 

「ミリアっち~!ハルっち~!」

 ミリアとハルがまず二人の安否を確認したところで、大きな声で二人を呼びながらジルが走って来て膝に手を置き息を切らす。

 

「ジルさん…!」

「良かった!ジルも無事かい?」

「無事だけど~、一体全体何がどうなってるの~?」

「わ、私も何が何だか…」

「僕もまだ何も分からないよ」

 

「リリーっちと、ルークっちは~?」

「連絡が見れていれば、多分もうすぐ─────」


「ミリアちゃーん!ジルちゃーん!ハルー!」

「みなさーん!お怪我などはありませんかー?」

 

 聞きなれた声がしてミリアとハルとジルの三人が振り向くと、大きく手を振りながら走るリリーと、腕時計に一度目を向けて小走りで駆け寄るルークの姿が見えた。

 

 

「良かった。とりあえず、僕たち五人は無事みたいだね」

「ハルさん、一体これは何が起こっているのでしょうか。ショッピングモール内に(わたくし)たち五人以外の姿が一切見えません。それに、時間も止まっているみたいなんです」

「さぁ、僕にもいまいち…。本当にどうなっているんだ…?」

「リリーっち~(泣)会えて良かった~(泣)」」

「私も~(泣)、みんな無事みたいで良かったわ~(泣)」

 

 ハルとルークはこの訳の分からない現状に考察を重ねる。

 リリーとジルは半べそになりながら会えた喜びで抱き合う。

 

 ミリアはもう一度辺りを見渡す。しかし、何度観てもやっぱり誰も居ない。

 そこでミリアはある違和感を感じた。何故、姿が消えていないのは五人なのか。そして、その五人は綺麗にアストラルだけなのか。

 

 ミリアに嫌な予感が襲いかかる。この予感が当たって欲しくないと思いながら、みんなに提案をする。

 

「み、みなさん…。屋上のテラス、行ってみませんか…?」

 

 

 ガチャッと扉の音を立て、ミリアの提案で五人が屋上に来ると、ミリアの嫌な予感が当たってしまっていた。

 

 屋上から五人が見上げる空が、分厚い黒い雲で覆われていた。

 

「ねぇミリアちゃん、これって…あれよね」

「はい…。恐らくは…魔物…です…」

 

「だから時間が止まっていたのですね。ようやく理解が出来ました」

「確かに、僕たち五人だけが残っている事にも辻褄が合うね」

 

「えぇ~!?そんなのあり~!?」

 

 ジルが驚いたところで、分厚い雲の中心から黒い巨体が見えてくる。

 

 丸い尻尾にふわふわの毛。そして頭の上には特徴的な細長い耳。そう、まるで見た目はウサギのようだった。しかし本来のウサギのまん丸の目や雰囲気などの愛らしさは全くなく、黒色の体に紫色のつり上がった目、それから今までの魔物と同じように背中に大きな翼を生やしていた。

 

「わー♩かわい─────くはないわね」

「そうですね。一般的なウサギとは訳が違いますから」

「う~ん?なんだか歯が鋭いかも~?」

「た、確かにです…」

「よし、みんな!ジルの言う通り噛みつかれないように気をつけて!」

 

 五人は一斉に杖を出す。杖を出した瞬間、長いローブがふわっと背中に現れて、嫌な雰囲気の生ぬるい風と共に靡く。


「行くよ!」

ハルの掛け声で五人は空へと同時に飛び上がる。

 

 魔物はまずハルを標的にして、耳を寄せて頭の上で電気を纏う玉を形成。空中にいるハルに向けて飛ばす。

 

 ハルは魔法陣を展開。魔法陣に電流がビリビリと流れるも、防御魔法の魔法陣には効かない。

 

「ヒワルブルーカデ!」

 ジルが氷の塊を数個作り魔物に飛ばす。

 

『ガリッガリッ』

 魔物は鋭い歯で氷を食べるように口を開け一つ一つ砕いていく。大きな氷の塊が氷の欠片へと姿を変えた。

 

「やっぱり尖った歯、してるね~♡」

 ジルはこの氷魔法が魔物には適さない事を察する。

 

 最後の氷の塊を噛み砕いたところで、魔物が急に高速回転をした。

 

「ど、どうしたのかしら?」

 リリーが戸惑っていると、魔物は回転しながら丸い尻尾を量産しつつ投げ飛ばしてくる。

 

「みんな避けろ!」

 ハルが指示する。

 

 五人は左右に上手く飛行し、巨大な尻尾を避けながら魔法陣を展開しつつ、耐える。


リリー、ジル、ハル、ルークの四人は防御の魔法陣に魔物の量産された尻尾が当たる度に衝撃で少しグッと後ろに押されるがミリアはビクともせず、むしろ冷静に攻撃を跳ね返していた。



 ミリアの跳ね返した尻尾が何発か魔物に当たったところで、魔物の回転と攻撃が止む。

 

「な、なんとか耐え切りましたね」

ルークがそう言ったところで、


「──ジルちゃん後ろ…!」

 突然、リリーがジルの名前を叫ぶ。

 

 見ると折れた木が一本あり、その木にぶつかって来たのだろう。あの巨大な尻尾が高速で反対側を向いているジル目掛けて飛んで来ている。

 

「……っ!」


 ──シュィン──

 音と同時に魔法陣展開。魔物の尻尾は跳ね返り、少し飛んだ先で消滅した。

 


驚いて振り向き、思わず目を瞑ってしまったジルはミリアにお礼を言う。

「ごめん、あたしとした事が油断してた。ミリアっち~ありがと~」

 

「いえ…!間に合って良かったです…!」

 

「ディーパルタート!」

 すかさずリリーが炎魔法を詠唱。

 

 その瞬間、魔物の体は炎に包まれる。しかし魔物はまた耳の間で水魔法を生み出し、自らの体に浴びせる。

 

 一瞬にして炎を鎮火し、ポタポタと水を滴らせる魔物は再び五人を見る。

 そしてブルブルっと体を振るわせ、全身の水気を飛ばすと姿を───消した。

〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗

読んでいただき、ありがとうございました。

小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。

ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。

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