【人を怒らせてはいけません②】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
昼食が終わると、今度はみんなで思いっきり遊んだ。
芝生を移すシャボン玉、みんなで追いかけるサッカーボール。風魔法で飛ばしすぎたビーチボール。フリスビーを何回ラリー出来るかチャレンジ。全部が写真に撮らなくても一つ一つが思い出としてミリアの心に残っていく。
「疲れた~♡」
「で、ですね…」
「少々はしゃぎすぎましたかね」
「ルーク、今日みたいな日はそれくらいがいいんだよ」
「ねぇみんな!日も落ちてきたし、すぐ近くの森で肝試しなんてどうかな~♩」
「リリーっち最高~♡やる~♡」
「きき、肝試しですか…!?」
「確かに日が傾いて来ましたし、良いですね」
「うん!せっかくだからやろうか!」
それを聞くとリリーはパチンと両手を合わせて言った。
「そう言うと思って、実は先に準備しておきましたー♩ひらけた場所にある大木にリボン結んで来たから、二組に別れて行こー♩」
と、言う事で肝試しをする事に…なったようです…。
(あの…、私OK出しましたっけ…?)
チーム分けとしては、ミリアとハルの二人。そしてリリー、ジル、ルークの三人となった。
「じゃっ!ミリアっちとハルっち、行ってらっしゃ~い♡」
「暗いのでお気をつけて」
「二人とも、楽しんで来てねーっ♩」
三人に見送られ、二人は先に森の奥へと進んで行った。
辺りはすっかり暗くなり、懐中電灯が必須アイテムだった。風で木々がざわめく音や、鳥が飛び立つ音でさえ、ミリアはビクビクしていた。
『パキッ』
「わっ!なな、なんの音ですか今のは…!?」
「ごめんごめん。木の枝を踏んだだけだよ。ミリア、そんなに体縮こまって大丈夫かい?」
「だだ、大丈夫に見えますか…!?」
ミリアは懐中電灯を握りしめ、ハルを見上げながら言う。
「み、見えない…ね」
そんなやり取りをして数分後、リリーの言っていた通りひらけた場所に一本の大きな木がそびえ立っていた。
よく見ると、その木に一本、ビニールテープのリボンが巻き付けられていた。
「ハ、ハルさん…!ありましたよ、リボン…!」
「おっ!本当だね。ササッと取って戻ろうか。三人も待っているし」
「はい…!早く戻りましょう…!」
来る時よりはいくらか恐怖心が減り、ミリアの懐中電灯を握る手の力が弱まってきたその時
「やっほー!ミリアちゃん♩あんまり遅いからここまで様子見に来ちゃった♩」
来た道を帰るため戻ろうと踵を返し、歩き始めたすぐ途中にリリーが居た。
「リリーさん…!迎えに来てくれたんですか…?」
「そうだよー♩ミリアちゃん、ぎゅーっ!」
リリーはハグをするように両手を広げて駆け寄って来た。
しかし、ミリアの体に触れた瞬間リリーの姿は消えた。後ろを振り返ってもリリーの姿はない。声も聞こえない。
「リ、リリーさんのオ、オバケです…!ハルさん早く逃げましょう…!」
動揺しているミリアはハルの手をとって一目散にスタート地点へ走る。
「ミ、ミリア?」
「ああ、あれはオバケです…!き、きっとリリーさんのオバケなんですよ…!私、今までオバケは信じていなかったんですけど、見た事なかっただけで実は居たのかもしれません…!だから、早く逃げないとわわ、私たちもオバケにされちゃいます…!」
「いや、多分違──」
そこまで言ったところで、ハルの顔が笑みに変わる。
「よし!じゃあ、全速力で走るぞ!」
暗い森の中、二人は懐中電灯の明かりを頼りに無我夢中で走る。(おそらく無我夢中なのはミリアだけです…。)
「あっ!帰ってきたよ~♡おかえり~♡」
ミリアとハルは無事にスタート地点へと帰ってきた。
「リ、リリーさん、あの、オバケが出て、それでわっ!となってそれから…」
息を切れさせながらミリアはリリーに体験した事を、よく分からない文章で説明する。
「ミリアちゃん落ち着いてー♩それ、私たちがやったからー♩」
「あ、そうなんですね…。なら良かっ────えっ!?」
「三人で木々の陰に隠れていて、リリーさんが魔法で脅かしたんですよ。それにしても、リリーさん少し脅かしすぎでは?」
「えー?そうかなー?」
「ルークっち~♡脅かしというのは、このくらいがベストなんだよ~♡」
三人はわちゃわちゃと会話を続ける。
「そ、そういえばリリーさんたちは私たちの後でしたよね…?懐中電灯を──」
「あー!ミリアちゃん大丈夫♩大丈夫ー♩私たちは行かないから」
「あ、え?行かないん…ですか…?」
「うん♡だって、リボン一つしかなかったでしょ~?」
確かに、思い返すと大木に結ばれていたリボンはミリアたちが回収した一つだけ。
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「ねぇ、ジルちゃん。ルーク。せっかくだし、二人を脅かしましょう♩」
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。




