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【初めての魔法力テスト③】

この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。

「あ、え、いや、私は最終決戦まで残れ───」





「…ちゃいました。」

 

 戦いが始まる前、ただミリアとハルが闘技場に立っただけで大きな拍手が沸き上がる。

 

「ヤバーい!去年と違って今年はアストラル同士だー!」


「え!?マジ?本当だ!おい見ろローブ長いぞ!」


「え~!アストラルに新しい子入ったの~?」


「へー。どのくらい強いんだろうなー」

 

 

『どうしよう…!ありえないくらいに私、注目されていますよね…!?というか、何で最終決戦まで残っているの…!?うぅ、リリーさん…助けてください~(泣)』

 

 ミリアは杖を両手で持ち、長いローブをはためかせながら…………怯えていました。

 

 見渡す限り、ほとんどの人が初めて見るミリアに注目していた。

 

 あの子は、いつアストラルに加入したのだろう。どれ程の実力なのだろう。去年上級クラスの優勝を圧勝で飾ったハルとはどちらが強いのだろう。そんな声が四方八方から耳に入る。

 

『リリーさん…、ジルさん…、ルークさん…』

 観客席にいる三人に目を向けると、リリーとルークは笑顔で手を振り(ルークの手はリリーによって強制的に)ジルはウインクをしてピースサインをこちらに向けていた。

 

『頑張れ~って事ですか(泣)』

 ミリアは逃げられないこの状況に泣きそうになる目を瞑りながらそう思う。

 

「こ、校長先生は…」

 一方、校長先生に視線を移すと校長先生もまた笑顔で「二人とも頑張るんじゃぞ~」なんて他人事のように言っていた。

 

 その流れでハルに目を向ける。ハルは緊張など微塵もしていなさそうで、観客席に向けて手を振っていた。

 

『な、なぜこの状況でそんなに余裕で居られるんですか…!?(泣)』

 

 ミリアが一人あわあわしていると、校長先生の声が闘技場内に響く。

 

「それではいよいよ~、上級クラスの最終決戦じゃ!皆の衆、準備はいいかね?」

 

『よ、良くないです~(泣)というか、準備って何のですか~(泣)』

 盛り上がる闘技場内で出場するミリアだけが唯一準備出来ていなかった。(どれだけ時間があっても出来ませんが…)

 

「では、スタートじゃ!」

 

『カーン』とゴングが鳴り響くと上級クラス、しかもアストラル同士の戦いを見逃さまいと、盛り上がっていた闘技場内がスっと静まる。

 

「ミリア、手加減は要らないよ」

 

「わ、私は手加減して欲しいです~(泣)」

 

 アベコベな会話を一度挟むと、ハルはいきなり飛び立つ。

 

「ディオルドルーフ!シーラウドネガル!」

 

 ハルが一気に二つの魔法を詠唱すると、ミリアの足元を鎖で地面と繋ぎ拘束。さらに、ミリアを半円の形に囲むように水の帯がクルクルと動き、てっぺんまで行き隙間の空いたソフトクリームのような形になった所で、帯が太く広がり半円の水の塊となって、重力任せに降ってくる。ミリアの姿は完全に見えなくなる。

 

「わっ、これ、いきなり決着ついたか?」

「まっさか~だって、あの子アストラルなんでしょ?」

「俺だったらもう負けてるわー。上級クラスってすげー」

 

 半円状に囲まれてから水の塊となって降ってくるので避ける事はもちろん不可能だ。さらに足元も地面と繋がれて拘束されているので瞬間移動も不可能。

 

 となると、対処法は一つ。

 

 水が落ちきってミリアの姿が見えると、ミリアは魔法陣ではなく円形のバリケードを作っていた。魔法陣だと一辺しか対処出来ないためだ。そして、水が落ちきる前に、拘束も解いていた。


「やるじゃないか、ミリア」

 

何とか耐えられたものの、こんな大勢の人たちの前で恥ずかしい姿は見せられない。ミリアは気持ちを入れ替え、地面を蹴って空へ飛ぶ。


心做しか、ミリアの顔付きが変わった気がする。

 

「アディカルース…」

 ミリアは詠唱する。

 

「え…?」

 ハルは困惑した。そんな呪文は聞いた事がない。どういう事だ…?

 魔法使いは大抵、相手の詠唱を聞いて次の魔法を予測する。しかし、この場合どういう魔法が来るのか全く分からない。ならばどう対処したらいいんだ…?

 去年圧勝した魔法力テストとは訳が違う。

 

 ハルの困惑をよそに、ミリアが詠唱すると杖から魔法陣が展開。

 白色の光で出来た小さな謎の玉が出現。すると、勢いよく左右にカーブを描きながら体積を増やし、ハルに向けて飛ぶ。

 

 その間に光の玉は火の玉となり、火の粉を振りまきながら加速して行く。

 

 ハルに近づいた所で、ハルを取り巻くように球体の炎を形成。ハルは炎の円に包まれる。


その後、(まばた)き程のスピードで瞬時に太い隙間のない円柱状になる。その後、円柱状の火柱は闘技場めいっぱいに広がり、炎の光が目を開けられない程に発光する。

 火の粉も円柱の周りで、余裕すら感じる程に飛び舞い続ける。

 

 

 観客席にいる生徒、先生。全員が思わず目を瞑る。

目を瞑ると暗闇の中『ゴォーッ、ゴォーッ。パチパチ、バチッ』と燃え盛る炎の凄まじい音と飛び散る火花や火の粉の音だけが響く。

 

「な、なんだ!?」

「ちょっと、大丈夫なの!?」

「みんな、観客席にはバリケードがある!多分大丈夫だ!落ち着け!」

「なにこれ!?本当に一人の人間から出る魔法なの!?」


観客席の生徒たちが、驚きを隠せずザワザワっとする。ミリアの、見た事も聞いた事もない魔法を目の前にしたために。

〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗

読んでいただき、ありがとうございました。

小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。

ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。

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