【初めての魔法力テスト②】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
「リリーっちとルークっち、どっちも頑張れ~♡」
ジルは声を張って二人を応援する。そこにハルの足音が聞こえた。
「あっ…ハルさん。おかえりなさいです…!」
「うん、ただいま。おっ、ちょうど今から中級クラスの最終決戦だね」
「あっハルっちやっと来たー。あたしの戦いも見てくれてた~♡?」
「あぁ、もちろん見てたさ。優勝おめでとう」
「にっひひ~♡下級クラスだけどね~」
「十分凄いですよ…!あ、ハルさん生徒会の仕事、本当に手伝わなくて大丈夫でしたか…?」
「大丈夫だよ。ほんの少しだったからね。心配してくれてありがとう」
「い、いえ…早めに終わって良かったです…!」
「ん?ジル、何をニヤニヤした顔で見ている」
ハルがムッとした顔でジルを見る。
「いや~♡別に~♡」
ハルの言葉を聞いたジルは『にっひひ~』と笑っていた。
「ほらっ、始まるぞ」
ハルの言葉でミリアとジルも闘技場に向き直す。
「リリー、ルーク、ファイトだ!」
ハルが二人を応援する。
「リリーさんも、ルークさんも頑張ってください…!」
ミリアも両手をグーにして、微力ながら応援する。
「ふぉっ、ふぉっ。それでは中級クラスの最終決戦じゃ。準備はいいかね?それではスタートじゃ!」
『カーーン!』
ゴングの音が鳴り響く。
「ディーパルタート!」
リリーの詠唱で魔法陣が展開。
地面を割り、土の破片を飛ばしながら『ボンボン』と音を立てて一直線上に炎が順番に燃え上がり、ルークに素早く近づいて行く。
ルークは呪文からある程度予測していたのだろう。自分の足元に炎が燃え上がる時には空中に飛んでいた。
「ファデアラール」
ルークはまだ飛び立っていないリリーに向けて雷魔法を放つ。
リリーは何とかギリギリのところで防御の魔法陣を展開。魔法陣が電流を受け止めてビリビリと光を纏う。
ルークの攻撃が止んだ所で素早くリリーも空へ飛ぶ。
「ヒワルサートウル」
ルークは氷の槍を数個作り、リリーに向けて飛ばす。
リリーは空中で左右に飛び、槍を避ける。
槍はリリーが飛んだ所をなぞるように、連続して飛んでいく。
観客席には見えないバリケードが張られているので観客が危ない目には会う事はないが、そのバリアに当たり、ルークの氷の槍は『パリン、パリン』と音を立てて砕けていき、破片が下に落ちる。
「シーサトザーガ!」
リリーは水の玉を数十個程ノンストップで投げる。
「ラキルスワーシャ」
飛んできた順にルークは炎魔法で水の玉を消していく。
「テリエルキリアスト!」
リリーは風魔法で竜巻を作り、ルークに飛ばす。竜巻はビュービューと轟音をたて素早く回転しながら進む。
「ヒワルシュトラー」
今度、ルークは氷の剣を作り、上から縦に竜巻を半分に割った。竜巻はルークに当たる事なく左右に別れ観客席のバリケードに当たり姿を消した。
「ファデアラール」
ルークは雷魔法を放った。
「ディーパルタート!」負けじとリリーも炎魔法を放つ。
闘技場の中央で二人の魔法がぶつかる。
観客はハラハラしながら上を見上げる。
二人の魔法は押しつ押されつつ、ほぼ互角の戦いだ。
その時、僅かにルークの雷魔法が優勢となり、リリーの杖に電流が流れる。
危ないと判断したリリーは即座に杖から手を離す。リリーの杖がカタンと冷たい音を立て地面に落ちる。
『カンカンカーン!』
「そこまでじゃ!ルーク殿の勝利じゃ!」
今回の中級クラス優勝者はルークとなった。
二人は握手を交わして観客席に戻って来る。
観客席からは拍手の音が鳴る。
「ルーク、優勝おめでとう」
「ルークっちおめ~♡」
「ありがとうございます。でも互角の戦いでした」
「うぅ~ミリアちゃーん(泣)あと少しだったのにぃ~(泣)」
リリーは観客席に座ると同時にミリアに抱きつく。
「リリーさんも十分凄かったですよ…!つ、次は勝ちましょう…!」
「ミリアさんの言う通りです。他の同じ中級クラスの子と戦った中で、リリーさんが一番強かったですよ。流石です」
「うん。頑張る~(泣)ルークもありがとね~(泣)」
「ほらほら~次はいよいよ上級クラスのトーナメントバトルだよ~♡」
「ジル、確かにバトル形式だけど、あくまでもテストですよ」
「え~♡でもそう言いながらハルっち最終決戦まで残るんでしょ~?」
「えー!じゃあじゃあ、ミリアちゃんと最終決戦で対決するかも~って事?てゆーか、絶対そうだよ~♩」
『相変わらずリリーさんは半べそ状態からケロッと明るくなるのが早い…』
ミリアはそう思ったが、もはや当たり前になってきていた。
「全生徒が毎年大注目する上級クラスの最終決戦…。ハルさんとミリアさんが出るとなると──」
「う~ん♡それは見逃せないね~♡」
ルークが言うより前にジルがワクワクしながら話す。
「それに、初めてじゃない?上級クラスのアストラル同士が戦うの♡」
「確かにミリアちゃんが来るまでは、今年のアストラルの上級クラスはハルだけだったもんね♩」
「え、あ、あの、おそらく私は何かの手違いで上級クラスに…」
「またまた~♩校長先生が配属先のクラス間違えるわけないよ~♩」
「ミリアっち、ハルっち頑張ってね~♡」
「応援してます。ハルさん、ミリアさん」
「ミリアちゃん、ハルも強いからね~♩油断大敵だよ~♩あー最終決戦楽しみ~♩」
「ミリア、最終決戦で会おう。待ってるよ」
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。