【守りたい②】
この物語はフィクションであり、実在する人物などとは関係がありません。
「おお、これは迫力がある水槽だね。魚の数も多い。数え切れない程だ」
「まるで海の中にいるようですね」
「岩がゴツゴツしてる~♡」
「青色が綺麗で癒されるわねー♩」
「はい…!ほどよく暗くて───
あぁいえ!幻想的な場所で落ち着きますね…!」
危ない…。暗い場所が好きで、いつも部屋のカーテンを閉め切っている事がバレる所だった…。
「みんな~♡次はクラゲさんの水槽だよ~♡」
スタンプラリーはクラゲ水槽にもあり、押すと顔の描かれたポップなクラゲの微笑ましいイラストがスタンプラリーカードを彩った。
「わ~♩ゆったりと泳いでいるわねー♩」
「確かにこの広さは水族館のアピールポイントの一つを表すようですね」
「ミリア、そこの説明を見てみて。クラゲには、脳や心臓がないらしいよ。神経の刺激に反射して泳いでいるんだね」
「そうなんですね…!初めて知りました…!なんだか不思議ですね…」
時間の流れがゆっくりに感じるクラゲの水槽に見とれていると、水槽の反射でふいにハルと目が合った。ミリアは恥ずかしくて、つい目を逸らしてしまう。
『な、なんか気まずい…!へ、変な顔してなかったかな…!?』
そんな事を思い隣にいるハルをチラリと見上げると、ミリアの思いとは反対に目を細めて微笑んでいた。
『な、なんでこの人は恥ずかしくないんですか…!?私が目を逸らしたのが余計に恥ずかしくなるじゃないですか…!』
ミリアが一人脳内でわちゃわちゃしていると、リリーが一つの提案をした。
「ねぇみんな♩水族館と言えば、イルカショーじゃない?そろそろ時間だと思うから、行ってみない?」
「行く行く!絶対行く~♡」
「イルカショーですか。それは良い案ですね」
「うん。行ってみようか」
「ミリアちゃんはー?」
「はい…!い、行きます…!」
イルカショーの場所に行くと列が出来ていた。みんなで並び、無事空いている席に座る事が出来た。
イルカのトレーナーのお姉さんの掛け声でイルカショーはスタートした。
軽快な音楽にのせて、まずはアシカが台に登りポンポンと口先を上手に使ってビーチボールをバウンドさせていた。最後に大きくボールをバウンドさせると、トレーナーさんがキャッチ。観客席からは「おー!」という声と拍手が沸き上がった。
「はーい!今からアシカさんと輪投げ遊びをしまーす!誰か輪を投げてくれるお友達はいるかなー?」
「は~い♡あたしやりたいです~♡」
ジルが前のめりになって手を挙げた。
「ジ、ジルさんやるのですか!?」
ルークが驚いて聞く。
「うん!だって超ーー楽しそうじゃん?♡」
その様子を見てミリアも同じような事を思った。
『ジルさん凄い…!私なら指名されてもこの大勢の人たちの前に立てないのに…。他にも手を挙げている人たちはたくさんいるから、ジルさんが選ばれる確率は低いけど…。な、何だか他の人とは違うあのポジティブオーラで選ばれそうな予感が…』
「はい!じゃあ、そこのピンク色の髪の女の子!」
『や、やっぱり…』
「すご〜い♩ジルちゃん頑張ってー♩」
「おうよ!♡」
ジルはガッツポーズを見せて、前に出て行った。
「ジルはこういう時、本当によく選ばれるんだ。凄いよな~」
「そ、そうなんですね…。オ、オーラでもあるのでしょうか…」
「ミリアもやっぱりそう思うか?」
ハルはミリアの顔を覗き込む。
「は、はい。何となくですけど…」
『ハ、ハルさん…!お顔が近いですっ…!』
ミリアは心の中でジタバタする。
「みなさーん!行きますよー?よく見ていてくださいねー!せーのっ!」
ジルは見事全ての輪投げを成功させた。アシカの首にはネックレスのように輪がかかっていた。
「拍手~!」
トレーナーさんの声で観客の拍手の音が室内に響き渡る。
ジルは笑顔で観客席に向けて手を振っていた。
アシカショーの後は、今回のショーのメインであるイルカショーが始まった。
爽やかな音楽に乗せてイルカたちは水しぶきと共に大ジャンプ。天井から吊り下がるボールにタッチしたり、二匹が並走するように泳いだり、トレーナーさんを乗せて軽快にプールをまわったり。様々な技を披露して、観客たちを魅了した。
「んーっ!楽しかったわねー♩」
「そうですね。イルカはあんなにも水の中を素早く泳げるのは凄いと、改めて思いました」
「また、みんなで見に来たいな」
「あたしもハルっちと同じ意見~♡」
「わ、私もみなさんと見れて楽しかったです…!」
「あっ!みんな、外のウッドデッキエリアの水槽にはペンギンがいるよ?」
「わ~♡ほんとだ~!ペンギンさん可愛いね~♡」
「ちょうどご飯タイムかしら♩?」
「おぉ、それは良いタイミングですね」
「あっ!ここにもスタンプ台はっけ~ん♡」
「本当ですね。残りの枠が一つという事はここでコンプリートでしょうか」
「わー!可愛いペンギンさんのスタンプよ♩」
「ス、スタンプだけでもなんだか癒されますね…!」
「みんな!コンプリートした人にはステッカーが記念に貰えるみたいだよ!」
五人は水族館のスタッフさんから、スタンプラリーコンプリート記念のステッカーを貰った。
「わ~♡可愛い~♡」
「これはどこに貼ろうか迷っちゃうね」
「私も同感です。むしろ、貼るのが勿体ないくらいですね」
「そうね~♩じゃあ私は貼らないで飾っておこうかしら~♩」
四人が貰ったお魚さんシールを眺めていると、ミリアがみんなに声をかけた。
「あ、あのみなさん…。ところでなんですが、な、何だか空、暗くなっていませんか…?」
〖作品を読んでいただいた方、少しでも覗いてくださった方へ〗
読んでいただき、ありがとうございました。
小説を書くことに慣れていないため、拙い部分もあったと思います。
ですが、少しでもこの作品を読んで良かったと感じていただけたら幸いです。




