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プロローグ
?「いまよふのみ めのそやを
おろゆわまご こくよにしとう 」
日付が変わった真夜中。
まだ眠らない東京に黒いロングスーツにシルクハット、白い長髪の男がポツンと一言つぶやく。いったい彼らはいつやすみ、いつ寝ているのか、そんなことを高いビルの屋上から忙しない人々を動き続ける機械ボックスに座りながらつまらなそうに観察しておりため息をする。
?「相変わらず、な~んもん変わんないな~…」
そんなことを呟いていると数匹のカラスが男の元へと飛んでくる。カラス達は男のそばに止まるとガーガーと鳴き始める。
?「………そう。ありがとう。」
男がそうカラス対し言うと、立ち上がり満月を見上げる。今日も人工灯に劣らないほど綺麗である。
?「それじゃあ………」
男が満月に一歩踏み出すと進んだ先は空中であり、男は重力に逆らわずまっ逆さまに笑いながら落ちる。それと同時にカラス達は真夜中へと飛び立つ。
そのことは誰一人とも気づくことなく街はいつも通りである。