第六章60 【1月1日/初等部4年生活動中】4/元旦での【天村 能活(あまむら よしかつ)】4
【能活】は、【先人が残した10大修行苦行】の1つ、【百姫救出行】を続けている。
【セバスチャン】もどん引きする程の鬼気迫る表情で【異世界】へ通じる扉に入ったかと思うと次の瞬間に出てくる。
【異世界】と現実世界では時間感覚がずれており、【異世界】での出来事はこの現実世界では1日辺り1瞬の事として扱われる。
戻ったと思ったら、すぐに次の扉を開けて行くが、この現実世界では貯まった疲労を休めるための時間に使っている。
だが、【65番目の扉】から戻ったと思った【能活】はすぐ様、【66番目の扉】を開けて、別の【異世界】に飛んでいった。
だが、1分待っても10分待っても帰ってこない。
どうやら、【66番目の異世界】ではかなり苦戦しているのが予想出来た。
それは正解だった。
今までは大体、【10戸】ごとに難易度のレベルが上がっていた。
だが、【60番代】からは5つごとに難易度のレベルが上がる様になっている様だ。
しかも【65番目】までと【66番目】とでは数倍に上がっている様だ。
これが、【100ミッション達成者】がほとんど居ない最大の理由である。
【60番代】からは5つ事に難易度のレベルが跳ね上がり、
【80番代】からは2つ事に難易度のレベルが跳ね上がる。
【90番代】に至っては毎回難易度のレベルが跳ね上がるのである。
つまり、ここからが【前人未踏レベル】の挑戦が始まるのである。
そして、【先人が残した10大修行苦行】全体のレベルも20年前よりも跳ね上がっている。
つまり、同じ【66番目のミッション】でも20年前と今とではレベルの桁が違うのである。
そのため、この時点で【前人未踏レベル】と言って申し分なかった。
これは【選ばれし者】のレベルが20年前よりも跳ね上がっている事に由来する。
【選ばれし者】のレベルの高さに合わせて【先人が残した10大修行苦行】全てもグレードアップしているのである。
挑戦者のレベルに合わせて修行の方もレベルを高くしなくては修行にならないという事である。
ちなみにこの挑戦は、途中で止めるチャンスは【ミッションをクリア】して現実世界に戻ってきたタイミングだけである。
ミッション中にリタイアする事は死を意味すると言う事は付け加えておく。
何がそこまでさせるのか?
【能活】は【修羅を超えた修羅】と化していた。
途中で止めても意味がない。
【先人が残した10大修行苦行】を1つでも【ミッションクリア】した者は【クリアした異世界】の中から助けた【プリンセス】を1人から10人まで【嫁】に貰う事が出来るとされている。
【嫁】になった【姫君】は【クリアした異世界】のラスボスになっていた【魔王】を使役する【力】を授かるとされている。
ならば、【能活】が選ぶべき10人の【姫君】は、最も難易度が高い方から数えて10番目まで。
つまり、【91番目の異世界】から【100番目の異世界】の【姫君】以外の選択肢はない。
他の【姫君】には申し訳無いが、途中の【姫君】を【嫁】に選ぶつもりは無いと言うことである。
【能活】は、【91番目の異世界】から【100番目の異世界】の【姫君】を彼の【2次眷属】として連れ帰り、自身の戦力としようと考えていたのである。
繰り返すが、だからこそ、途中で止めると言う選択肢は彼の辞書には無いのである。
こうして、彼の戦いは続くのであった。
彼はいまだ、66番目の【異世界】で苦戦中である。
今のままでは駄目だ。
まだまだ一皮も二皮もむける必要がある。
歯を食いしばり、自身の血肉をすすりながらも彼は執念で【試練】に挑んでいたのであった。




