第六章58 【1月1日/初等部4年生活動中】2/元旦での【天村 能活(あまむら よしかつ)】2
10分間だけ休んだ【能活】は64番目の扉を開けて、次の【プリンセス】救出のため、次の【異世界】へと転移した。
気付くと、現実世界とは異なる景色が広まっていた。
まず気付くのが空だ。
薄黄緑なのだ。
【空気】の成分が現実世界のものと異なっているのがすぐに解る。
すかさず、【能活】はこの【異世界】に適応するための行動を取る。
【能活】が挑戦する100の【異世界】は全て条件が異なっている。
分かり易い例を挙げれば、
1つ目の異世界では【魔法】、
2つ目の異世界では【超能力】、
3つ目の異世界では【錬金術】、
4つ目の異世界では【陰陽術】、
5つ目の異世界では【呪術】、
6つ目の異世界では【アイテム魔法】、
7つ目の異世界では【気】、
8つ目の異世界では【妖術】、
9つ目の異世界では【頭脳】、
10番目の異世界では【財力】、
と言った様に、その異世界で使える武器などが全て異なるのである。
それを飛ばされて瞬時に確認して実戦しないと今回の様に、空気が現実の世界のものと異なると言ったら酸欠で即死してもおかしくないと言う状況なのだ。
異世界でやる事は、大きく分けて、
(1)【現在の力】を即座に確認する。
(2)【周りの状況】の確認。
(3)【王都】を探し、攫われている【姫君】の情報を得る。
(4)敵対者を倒して行き、【姫君】を救出する。
の4つとなる。
64回目ともなると手慣れたもので、【能活】は、
(1)【現在の力】を即座に確認する。
(2)【周りの状況】の確認。
の2つを瞬時に終わらせた。
感覚的になんとなく解る様になっていたのだ。
だから、空気の質が違うくらい、【呼吸法】を変える事で即座に対応出来る様になっていた。
後は、
(3)【王都】を探し、攫われている【姫君】の情報を得る。
についてだが、これも超感覚の様なものを身につけている彼は困っている【王国】の方向を見抜いており、50キロ以上はある距離を走って向かって行ったのである。
そこから、【姫君】の情報を得て、【国王】から【姫奪還】の任務を得た。
だが、ここまでは【能活】にとっては無駄な時間であり、出来るだけ早く済ませたいお約束の様なものだった。
問題は最後の1つ、
(4)敵対者を倒して行き、【姫君】を救出する。
である。
これで彼は毎回、死ぬような目にあっている。
レベルアップ、スキルアップしても毎回、丁度良い感じに大ピンチとなり、それを死にものぐるいで解決して、九死に一生を得て勝利しているのだ。
毎回、間一髪のピンチの連続。
ギリギリの戦いの連鎖。
だが、それをしないと成長しない。
だから、彼は死にそうな感じのギリギリを見極め、勝ち続けていた。
今回の【敵】の脅威は蟻や蜂の様な【群体生命体】であると言う事である。
とにかくわらわらと次から次へと増殖を繰り返す。
それを統括している【女王蟻】や【女王蜂】の様な存在を倒すまで戦いが永遠に繰り返される。
倒しても倒しても次から次へと湧いてくる。
まずはこの大群を突破する方法を見つけなければならない。
現在使える【力】を駆使して、それを突破する事になる。
今回は大した【力】は与えられていない。
ちょっとした【奇跡】を起こせる力を持った【石】の様なものが与えられており、それを召喚して【奇跡】を起こすが、数に限りがある。
どうやら、この【石】を大事に上手く使ってやりくりし、敵の大将を叩くのが今回の【ミッション】の様だ。
前回の様なごりごりの肉弾戦は無理だと言うことだ。
この様にどの様な状況にも対応出来る様に様々なシチュエーションが用意され、その条件で【姫君】を助けると言うのがこの試練となる。
【能活】は今回も例外無く、命からがら【姫君】の救出を成功させるのだった。
「これで64人救出成功だ。
後、36人・・・だ・・・うぅ・・・いけない・・・気を失うところだった・・・次を急ごう・・・」
と言って現実世界に戻った。
ダメージは現実世界に戻ればある程度は回復するが体力はそうは行かない。
確実に疲労感は蓄積されているのだ。
この苦行が攻略成功者がいずれもほとんど居ないとされる【先人が残した10大修行苦行】の1つに数えられているのも頷けるのだ。
攻略成功者どころか3分の1達成者も数える程しか居ない。
なのに彼は、64回目の討伐を成功させたのである。
ここで止めても誰も文句は言わないだろう。
だが、彼は続ける。
それは【芳一】に負けたくないの一言に尽きるのだった。




