第六章40 【12月31日/初等部4年生活動中】A5/【真緒】と過ごす大晦日5
【真緒】と共に大晦日を過ごしていた【芳一/弱転】と【美架】だったが、3人を残し、語り合っていた神社から人気が無くなっていた。
次の瞬間、【真緒】ともはぐれた。
【芳一/弱転】は、
『ど、どどど、どうなったの?』
と動揺をあらわにした。
【芳一/弱転】と【真緒】のやりとりを少し離れた位置で見ていた【美架】は、
「・・・どうやら、【怪異】か何かの影響を受けている様ね・・・」
と言った。
ちなみに、【美架】は【芳一/弱転】の【リアライズ・イマジナリー・フレンド/(現実化する空想上の友達)】であるため、2人が離れる事はない。
また、【美架】が【怪異】か何かと呼んだものは、【祈清】の定義によれば【亡恐謎】と言う【謎】と人の思念が混ざった存在となる。
【謎】は【真緒】が作りたくても作れないもどかしい思いを吐露した事と結びついて、【真緒】がかつて【芳一】から【原案】を貰って作ろうとした【マイセルフ・エネミー/自分自身の敵】と言う未完成の作品の【世界】に閉じこめられたと言う事になる。
【芳一】が提供した【案】通りならば、この【隔離空間】には、【本人】と【本人】の敵となる7人が存在し、【本人】が抜け出るには、その7人の敵を全員倒さなくてはならないと言う事になる。
敵のレベルは【本人】のレベルと丁度釣り合うものになっている。
つまり、自分自身に勝たなければ、【自分自身】の【敵】に殺される事になるのだ。
もしも、この設定が活きていれば、【真緒】も同じ状況になっているはずである。
時は一刻を争う。
【芳一/弱転】は、【真緒】を救いに行かなければならない。
だが、この【設定】には強制力がある。
【本人】以外の者が【本人】の居る【隔離空間】に行くことは出来ない・・・はずである。
だがしかし、【芳一/弱転】は、
『うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん・・・』
とぎゃん泣きしだした。
これは【芳一/弱転】の本領発揮を意味している。
【芳一/弱転】の【弱さ】と【逆転】を意味している。
【芳一/弱転】は、泣くことで、【理】を一部、ねじ曲げる力をもっているのだ。
それはどういう力か?
分かり易い例を挙げれば例えば、双子が誕生日プレゼントで【ショートケーキ】と【モンブラン】を1つずつ買ってこられたとした時、どちらか片方を選びなさいと言った時、
【ショートケーキ】を食べると言う選択肢と【モンブラン】を食べると言う選択肢しか無かった状況で、【ショートケーキ】と【モンブラン】を両方半分に切って、双子で半分ずつ、【ショートケーキ】と【モンブラン】を食べると言う第三の選択肢を作ると言う力が【芳一/弱転】にはあるのだ。
つまり、【芳一/弱転】は、この【設定】の穴を見つけ、それを実行させる【力】を行使したのである。
【芳一/弱転】の目の前には、7人の敵が現れた。
いずれも強敵の様に見える。
だが、【芳一/弱転】の涙はやがて【剣】の様になり、7人の【敵】を一瞬にして切り倒した。
何をしたのか?
【芳一/弱転】は、【カット】を使ったのだ。
【カット】とは何か?
それは【漫画】などを作る場合、必要の無いシーンを省くと言う作業である。
つまり、【芳一/弱転】は、【脇役】に回る事で、自分の戦闘シーンを【カット】させたのである。
最終的に【勝った】と言う【結果】が同じなら、【戦闘シーン】を【カット】しても同じ事になると言うことになる。
そして、【脇役】に回った【芳一/弱転】は、元の【現実世界】に戻るという選択をせず、【ご都合主義】を利用して、【真緒】の居る【隔離空間】に入り込み、【応援】と言う形で【真緒】の助けをする事にしたのである。
【応援】や【アドバイス】であれば、ギリギリ、【真緒】のための【敵】の邪魔にはならないと言う設定をぶち込んだのである。
【芳一/弱転】は、
『うぇぇ・・・ま、【真緒ちゃん】、応援に・・・来たよ・・・ここは君のための【隔離空間】・・・僕は手を出せない・・・だから、【アイディア】を出すよ・・・』
と言った。
恐ろしくて敵から逃げ回っていた【真緒】は、
「先輩・・・はい、解りました。
よろしくお願いします」
と言った。
それは【芳一】が助けに来てくれたと言う安心感のある表情だった。
彼ならば何とかしてくれるという信頼の証である。




