第六章38 【12月31日/初等部4年生活動中】A3/【真緒】と過ごす大晦日3
【真緒】は、【神】と【悪魔】の強制介入により、今までの行為に対する【罰】と言う体裁で、彼女の望む姿で、【芳一/弱転】と一日デートをする事になったのだった。
彼女は【芳一】に悪いと思いながらもそれに逆らう事は許されない。
強制的に【神】と【悪魔】の力によって、【彼女】は【神がかり&悪魔じみたイメージチェンジ】が行われ、シンデレラの様な一日だけの【幻の姿】で彼女は年越しデートをする事になった。
【真緒】の【理想の姿】・・・それは、【芳一】と共に【夢】を語れる【ピュアな少女】で居ると言うことである。
今の彼女の【設定】は、【芳一】の元カノではない。
以前付き合っていたと言う事実は今日一日は【芳一/弱転】の記憶から消えて、お互い、【ゲーム制作部】で将来の【夢】を語り合う関係であり、年越しを一緒にしようと言う約束をしたと言う事になっている。
【芳一/弱転】の性格ではそう言う展開にはならないのだが、【神】と【悪魔】による強制力で、それを一日だけの幻として受け入れる様に設定されている。
また、【芳一/弱転】の性格では、相手をリードするのはほぼ無理なので、【真緒】の方でデートをリードして行かなければならないというのも【罰】の1つである。
要するに【真緒】の望む形に進めやすそうに設定されているのである。
彼女が望む、【12月31日 日曜日】は、
【芳一】と一緒にデートして、
【芳一】と一緒に夢を語り、
【芳一】と共に困難に立ち向かうと言うものになる。
午前中から午後にかけて年末の店を周り、年末番組をスマホで見ながら夢を語り合い、そして、年末にやってくる【敵】に対して一緒に立ち向かい、午前0時になったら魔法は解けて、【芳一】は【真緒】の【推し】と言う立場に戻ると言う展開になるというものである。
特に、【敵】に対しては、今までの【真緒】は完全に蚊帳の外だった。
それに対しては少なからず疎外感というものを感じていた。
だから、一緒に困難の象徴となる【敵】と戦い、絆を深めたいと言う願望があったのだ。
それを叶えるのが【真緒】の【夢】であり、彼女が受けている【罰】である。
こうして、彼女の一日が始まった。
ちなみにこの設定で迎える来年の【干支】は【十二支】に無い【猫年】と言うことになっている。
これは、当時、【芳一】と【真緒】が付き合っていた頃、【猫年】があったら面白いのにと言う何気ない会話があり、それを実現したものである。
周りの環境はそれに合わせて来年は【猫年】という架空の【干支】だと思っている。
また、日中のデートは賑やかでかまわないが、【夢】を語りあう場所では、出来るだけ人が居ない・・・と言っても全く居なくても困ると言う感じで少しだけ、人が居ると言う状況が望ましいとしている。
そして、今年の締めくくりにある【敵】とは、【芳一】と【真緒】の2人だけの【敵】として共に協力して【敵】を退ける。
そして、最後に、キスや肉体関係までは望まないが、ハグだけさせてもらって、【推し&先輩】と【ファン&後輩】の関係に戻ると言うものである。
意味合いはちょっと違うが、【ピュアバージョンのワンナイトラブ】と言うものである。
そう言う事で、しばし2人のデートに付き合って貰えれば幸いである。
まずは、【芳一/弱転】との待ち合わせだ。
【芳一/主人格】の性格と大分違い、【真緒】にとっては初めて見せる彼の隠された人格となる。
だが、待ち合わせ時間よりずっと早く来ると言う性格は変わっていない様だ。
10時の待ち合わせなのに、【芳一/弱転】は9時半前には来ていて待っていてくれていた。
【真緒】には本来の記憶が無いはずだが、懐かしさを覚えた。
デジャビュとしてである。
【真緒】は、
「先輩、待ちましたか?」
と聞くと、【芳一/弱転】は、
『あ、うん・・・別にかまわないよ。それより・・・えーっと・・・』
と言いよどむ。
見ると美女が1人、一緒に立っている、【唯野 美架】である。
【芳一/主人格】と分離している以上、【芳一/弱転】と【美架】は切り離せないので、この場合、親戚の女性として付き添っていると言う設定になっている。
本来は2人きりが良かったのだが、この場合は仕方ないと言えた。
どうやら、【美架】は【芳一/弱転】の保護者役という設定になっている様だ。
37歳の男性に保護者役?と言うのも疑問に思うが多少の不自然さは【神】と【悪魔】の強制力で忘れてもらうしかない。
と言うわけで、保護者同伴でのデートという事になる。
本来なら夜に食べたい所だが、夜には【語り合い】と【敵】のイベントが待っているので、午前中に【年越し蕎麦】を食べると言うことになっている。
現時点での【芳一】はメタボの薬を飲み、食事制限をしているので、暴飲暴食はしないが、【真緒】と付き合っていた当時の【芳一】はどん引きする程の大食漢だった。
デート中のランチで、5人前、6人前を平らげ、食べ過ぎで全然ムードが出ないと抗議すると、
「そうかな?これでも制限しているんだけど?」
と言っていたのを思い出した様な気がした。
【芳一/弱転】も気弱な性格だが、この設定は活きているようで、【年越し蕎麦】も7人前くらい食べるつもりになっている様だ。
そんな感じで、師走の町を周り、色んな店を共に回った。
【芳一/主人格】は持ち前のコミュ力で、色んな知り合いがあちこちにいるが、【芳一/弱転】がコミュ障なので、会話がちぐはぐという不思議な現象が起きたが、それでもそれなりに楽しく過ごす事が出来たのであった。
こうして、午前、午後と楽しい時間を共に過ごした。




