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第六章23 【12月29日/初等部4年生活動中】2/年越しを誰と過ごすか決める2

 この日の【芳一】は、正午から【シェリア】と午後2時から【祈清】と待ち合わせをして、【12月31日】から【1月1日】にかけてどの【人格】と過ごすのか聞く事にしているが10時からも【ゲーム制作部】の後輩にして元カノでもある【石川(いしかわ) 真緒(まお)】と会う約束をしていた。

 3人まとめて会うわけには行かないか?と【芳一】が聞いたのだが、2人きりが良いと3人とも言っていたので、仕方なく個別に会う事にしていた。

 と言う訳でまずは、【真緒】と会っていた。

 【芳一】は、

「~という訳で色々あって、僕はその時寝ているから他の【他の人格】を選んでもらうんだけど話がしたいならわざわざ大晦日にしなくても良くない?」

 と言った。

 【真緒】は、

「いえ、年越しに話したいです。

 理由は先輩の創作哲学に感銘を受けていて、私は年越しを一緒に過ごして先輩の力にあやかりたいんです。

 だから、年越しの時間が良いんです」

 と答えた。

「創作哲学って何か言ったっけか僕?」

「色々ありますよ。

 私が一番感銘を受けたのは【物語】の終わらせ方です。

 ほとんどの物語が伏線を回収して、終わりになるのが当たり前なのに、先輩は、

【物語において物語の物事が全て主人公の手で解決するというのは本当の意味で視野が広い人の発想じゃない。

 主人公とは目の前に起きた事柄を1つ1つ解決していってそれが連なって伝説になると言う形にした方が自然だ。

 作中で解決しなかった事柄は他のキャラクターが解決すべきことだし、何でもかんでも主人公1人に責任をおっかぶせるのはおかしい。

 解決しなかった事柄は別のキャラクターが主人公になってやっていけば良い事だ。

 だから僕は物語に登場したもの全てを型にはめて終わらせる事を良しとしていない】

 って言いました。1字一句忘れません。

 視点が普通の作家と全然違うなって思いました、私。

 こんな考え方があるんだ?って思いました、当時。

 それで私の中で衝撃を受けました。私はこの人には絶対に勝てない。

 だから当時、先輩の彼女になって作品を色々パクリました。

 その節は申し訳ありませんでした。先輩の才能が羨ましくて、ついやってしまいました」

「いや、それは終わった事だから。

 そんな話もしたみたいね。僕の方も悪かったね。

 天狗になっていたかも知れないね」

「天狗じゃないです。あれだけの才能があったら当然の態度です」

「ははっ。そいつはどうも・・・

 で、本題に入らせていただきたいんだけど、僕は特別な力があってね、身体を分裂させる事が出来るんだ。

 詳しくはDMで送った通りなんだけど、百聞は一見にしかずだから、実際にやって見せるよ。

 まずは、【リアライズ・イマジナリー・フレンド】を出すよ。

 彼女が【唯野(ただの) 美和(みわ)】という【主人格】である今の僕を象徴する存在だ。

 この【リアライズ・イマジナリー・フレンド】を複数名出現させる事によって、僕自身も増える。

 次に、【唯野(ただの) 美架(みか)】、彼女が出ていると【弱転(じゃくてん)】と言う【人格】を外に出すことが出来る。

 同じ様に【唯野(ただの) 美紗(みさ)】は、【道化(どうけ)】、

 【唯野(ただの) 美撫(みな)】は、【武賢(ぶけん)】、

 【唯野(ただの) 美耶(みや)】は【虚無(きょむ)】、

 【唯野(ただの) 美螺(みら)】は【神謎(しんめい)】と言う【人格】を呼び起こす事が出来る。

 それぞれの【人格】の【イメージ】は彼女達が君に触れて伝えるから、君が【大晦日】に一緒に居ても良い【人格】を選んでよ。

 まぁ、正直、あまり、【コミュニケーション】に長けていると言える【人格】とはどれも言えないんで申し訳ないんだけどね」

 と言う話をした。

 【芳一】は身体を分裂させて見せた訳では無いが、突然、【美人達/リアライズ・イマジナリー・フレンド】を出して見せたので【真緒】としてはその荒唐無稽な話を信じるしか無かった。

 それで、一番無難そうに見えた、【弱転】を選択した。

 当日、【美架】と一緒に【弱転】が行くを約束したのだった。

 それだけ決めると、後がつかえているので【芳一】は【真緒】と別れ、次の【シェリア】との待ち合わせ場所に向かっていったのだった。

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