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莠の凪  作者: 藤泉都理
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七星天道虫




(やばいっす。やばいっす。やばいっす)


 開基は駆け走って高校から脱出すると、入り組んだ小道の方へと急いだ。

 ばれた、と思ったのだ。




 あ、使えるな。

 同級生である中井恵なかいめぐみの歌声を耳にした時に、雷に打たれたような衝撃が襲ったのだ。

 七星天道虫と出会った時のように。

 なので。

 形も気に入っている上に誤魔化せる七星天道虫型のロボットを作って、彼女の歌声を録音していたのだが。


 ああ、知っているさ。

 勝手な録音は犯罪だと。

 けれど、周囲にまき散らしているわけではないのだ。

 ただ、機械創製に使っているだけだ。

 うん。そうだ。ならば、了承を得ればいいと言うのだろう。

 できるのならやっている。

 できないからやっていないのだ。

 至極簡単な理由だろう。

 と。ここまで無断で録音し続けたわけだが。

 ばれないと確信して。

 なのに。


(やばいっすやばいっすやばいっす。吊るし上げられるっす)


 何で何で何でばれたのか?

 精巧に作っているから贋物だなんてばれないはずなのに。

 いや、待てよ。

 本当にばれた、のか。

 ただ別の話がしたかったのでは。


 彼女が見知らぬおばあさんを連れていたので、てっきりそっち方面の人かと思って七星天道虫型ロボットを回収して逃げ出したが、ただ、おばあさんを高校の屋上に連れて行きたかっただけではないか。野花が咲き誇っているし。

 そして、おばあさんというのは、話し好きな人が多いのだ。

 その場に来た少年と話したかっただけではないか。

 

 つまり。逃げる必要はない。

 そもそもばれていたとしたら、逃げても仕方がない。

 よし。


 回れ右をした開基は追いかけて来るおばあさんと恵に向かって走り出した。











(2023.2.8)


  

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