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莠の凪  作者: 藤泉都理
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鹿の子絞り




 ふわふあと。

 眠ったくせに大きな欠伸を連発しながら、階段を下りて居間へ続く扉を開くと。


 幻覚であるはずのおばあさんと母が仲良くお喋りしていました。


 靴は脱いでいました。






 小鹿の背中のまだらに似ている事から呼ばれる、鹿の子絞りの着物を何枚か祖母より受け継いでからは常々、定年退職を機に毎日着るわと言っていたが、この世は何が起こるか分からない非常事態が勃発していて、退職を待っている間に死ぬかもしれないと、休日には着るようになり、今日も古代紫の着物を身に包んでいた母。

 の食卓を挟んだ向かい側の椅子に座るおばあさんを見て、母の知人だったのか、勝手に部屋に入れるのはどうなのか、まあ、長居する気はなかったが話好きな母に運悪く捕まってしまったのだろうと思いながら、こんにちわと会釈をする。

 おばあさんも会釈をしてくれたが、母が話しかけたのですぐに自分から視線を外された。


 何時だと見れば、真正面にある壁時計は十四時五分を指していた。

 途端、お腹が鳴って廊下に戻り隣室の台所へと向かおうとした時だった。


 母が衝撃的な発言をぶん投げて来た。


 曰く。


 このおばあさんは八十云年後の自分で、暴走したアンドロイドから護ってもらう為に過去にタイムトラベルして来たのだと。




 なんだなんだ、自分は将来、何かを成し遂げる重大人物なのか。

 ジャジャンジャンジャンと。

 あの有名な映画の背景音楽が全身に鳴り響いたが。


「ん?おかしくない?」


 護りに来た。

 ではなく。

 護ってもらう為に来た。

 と。

 言いませんでしたか?









(2022.4.21)




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