未来の手紙
「開基君って、こんなに足が速かったんだ」
「いえ、あなたが遅いだけですよ」
「そりゃあ、否定はできませんけど。おばあさん。本当に、おばあさんですか?本当はおばあさんの着ぐるみを着ている若者じゃありませんか?」
「嬉しい言葉ですけど、私は正真正銘のおばあさんですよ。未来も現在でもありきたりな健康的なおばあさん」
「ま。まあ、元気なお年寄りは山ほどいますけど。こんなに元気よく走って息を切らせないおばあさんは初めて見ましたよ」
「あらあら。運動をほどよく頑張った甲斐があるものですね。あら。戻って来ましたね」
「本当ですね。まだ距離はだいぶ開いていますけど。戻って来てくれるなら止まりましょうね」
「本当に運動不足ね。散歩だけでもした方がいいわよ」
「自転車に乗っていますので」
「自転車だけじゃだめよ」
「はいはい。ところでどうして開基君を追いかけたんですか?故障したぎんくんを止める機械でも作ってもらうんですか?」
「助言は有難く受け止めておきなさい。もう」
「はいはい。で、どうなんですか?」
「いえ。あのこを一目した時に天啓が示されたのよ」
「未来のアンドロイドと何か関係があるんですか?」
「ええ。多分。ちょっと疲れたわね。飴、食べるかしら?」
「あ。確かこのポケットに。あ。あったんで、大丈夫です」
「あら。包装も変わらないのね。私もまだ食べているのよこの飴………って。何かしら。この手紙」
「え?」
(2023.2.11)




