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3・伝わらない会話と伝わる会話

この話から異世界の住人の言動も日本人の言動へと変換させていただきます。

作者の力不足と根気不足が主な理由です、ご了承ください。


 「ソフィー!?もう、心配したのよ!」

 

 駆け寄ってきた女性が何事かを少女に語るが、俺の知る言語とは違う。

 女性は少女の身体のあちらこちらを撫でまわす様に調べる。

 その様子から察するに少女を心配、あるいは注意するような言動だったのだろう。

 少女が申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

 「謝ったって、ダーメ!」


 女性は少女の頭を人差し指で軽く弾く。

 あうっ!とばかりに少女が上半身を後ろに逸らす。


 「もう、危険だから森に行っちゃ駄目だって何度も言ってるでしょう?何が目的で好き好んであんな所に行くのかしら?」


 ぷいっと少女が顔を背ける。

 おそらくだが、怒られてバツが悪くなったのだろう。

 幼馴染の小さい頃の行動と似ているお陰でなんとか察せれる。

 まぁ、当たっている保証はないが……。


 「ところで、この人は誰なの?」


 女性の視線が俺の方を向く。

 おそらくは俺の事を確認しているのであろうが、少女の方は無言のまま困った表情を浮かべる。

 何故か少女は難くなに言葉を発しない。

 本当に言語を喋れないのかもしれないが、少なくとも女性の言葉の意味を察している様子なので、そちらの言葉は喋れてもおかしくないと思うのだが……。


 「あの、貴方はどちら様ですか?」


 女性がこちらに何事かを話し掛けてくるが、俺にはその言葉の意味する事が理解出来なかった。

 まぁ、仮に英語だとしても、テストや成績で良い評価や点を取る為の勉強の仕方をしているので、ネイティブだとまったく聞き取れる自信はないが……。

 けれど、俺の知る限りの英語にしては単語も文脈にもヒットしない。

 微かに在った希望が打ち砕かれる音が聞こえた様な気がする。

 とりあえず、何かしらのリアクションは取らないといけないだろう。

 俺は女性に意味が理解出来ないとばかりに首を振ったりと、身振りで反応する。

 

 「ヘンテコな格好してるし、この人って稀人よね?なら、お祖母ちゃんとアンナさんの所に連れて行かないと、今ならまだアンナさんもお祖母ちゃんの所に居るだろうし……」

 

 女性は目の前で考え込む。


 「こっちに来て貰っていいですか?」


 少しして女性が考え事を終え、俺を何処かへと案内するかのように手招きされる。

 その様子を見ていた少女が、再び俺の手を握って引っ張る。

 どうやら、目の前の女性がいく所に案内してくれるようだ。

 さて、どうするべきか?

 このまま流される様に付いて行き、危険がないとも限らない。

 可能性としてなら、強制労働から人身売買まで何をされるかも不明だ。

 俺の歩調がゆったりしている事に気が付いた様で、少女がこちらを見上げる。

 ……手当してくれたこの娘が、俺をそんな所に放り込むとも思えない。

 この娘を信じよう。

 一旦信じると決めれば、迷わないのが自身の長所の一つだと思う。

 メンタルも当たって砕けろの精神で前向きになる。

 女性が少し先で立ち止まり、ストップとばかりに掌で俺と少女の進行を留める。

 その先には一軒の建築物、一軒の家があり、そのドアの中へと入っていった。

 その状況に、ああ、これが村の顔役との顔通しや説明に関する物だと把握する。

 確かに、村に正体不明の人物が現れれば、警戒の一つもして当然だろう。

 少しの間が開いた後に、ドアが開き、先程の女性が現れ、ドアを開いたままで道を開けるように脇に寄る。

 どうやら、入れと言う事だろう。

 覚悟を決め、ドアを潜り抜けると、二人の人物が居た。

 一人は高齢の女性で、しわくちゃな表情からは感情が読み取れない。

 もう一人は、俺同様に場違いな女性だった。

 小綺麗な服に白衣を羽織り、腕組みをしている。

 その二人の様子から、この村の中心人物である事は確かなようだ。


 「お祖母ちゃん、アンナさん、この人がさっき話した人。なんか、服装とかもおかしいし、稀人なのかもって」


 「確かに服装は変ね」


 「黒髪、テツオと同じ色合いじゃ。精霊の悪戯を受けておらん。確かに、稀人のようじゃ」


 三人で何やら言葉を交わしている。

 言葉の意味を全く理解出来ないが、どうやら俺の事を話しているのは確かなようだ。

 やっぱり、英語でもないよなぁ?

 ジロジロとこちらの様子を窺う視線を受けるが、こちらからはリアクションを取り辛いな。

 

 「ねぇ、アンタ、この言葉なら通じるの?」

 

 「え?あ、ああ。通じ、ますよ?」


 唐突に俺に通じる日本語で話を振られ、ビックリする。

 喋ったのは白衣の女性だ。


 「そう?ニホンゴで通じるのね。良かったと言うべきかしら」


 面倒な事に変わりはないけど、と言いたげな視線を向けられる。


 「此処は何処なんですか?」


 面倒だと思われようが、嫌われようが、まずは現状の把握が最優先だ。


 「パンタシア、アスファレス王国のファブール村。アンタにも伝わる様に言うのなら、アンタにとっては異世界よ」


 「……」


 その発言に自らの頭がフリーズするのを感じた。

 まぁ、あの化け物自体、超常的なものだったし、ないと想定しつつも転移した可能性やあの世なんて事も考慮に入れていたじゃないか……。


 「ちょっと、聞いてる?」


 「ああ、聞いてますよ」


 ふざけんなよ!

 そう簡単に異世界に行けっかよ!行けるんだったら、異世界旅行の代理店を開いて大儲けしてやるわ!と、内心で悪態を吐きながら突っ込みを入れる。

 外面に出ない様にしつつ、なんとか頭の中を整理する。


 「聞き取り辛いかしら?ニホンゴを使うのは久しぶりだから」


 確かに少し、たどたどしい部分はあるが、日本人の中でさえ、発音や日本語が怪しい人はいるので、コミュニケーションを取れるだけで大助かりだ。

 何せ、この人の言をそのまま受け取るのであれば、ここは言葉すら通じない異世界なのだから……。


 「いえ、十分です。言葉が通じるだけでも助かります」


 「……慌てないのね?」


 「十分慌ててますけど」


 個人的には十分に慌てているのだが……。


 「これまでに迷い込んできた人達を何人か見たけど、『嘘を吐くな!』とか『これは夢だ!』とか、酷い場合は何か叫びながら掴み掛って来た事もあったわね」


 「それは随分と……」


 取り乱す気持ちは理解できるし、唐突に異世界とか言われても納得出来ないのも分かるが、目の前にいる人を怒鳴ったり、掴み掛ったりするのはお門違いにも程がある。

 ましてや、言葉が通じる唯一かもしれない人に真っ先に喧嘩を売るとは考えなしが過ぎる。


 「同郷の者が失礼をしたみたいで、すいません」


 謝罪の言葉を口にする。

 俺には関係ない人の所業ではあるが、この人達に取ってはその失礼者共と同じ共通点持ちとしか思えないだろう。

 人は人を判断する際に、心根を全て見透かせる訳もないので、会話で判断したり、これまでの経歴や生まれで人を判断する事が多い。

 出身校や犯罪の経歴なんてのが分かりやすい最たるものだろう。

 出身校が良いからといって、その人が良い人や出来る人確定って訳でも無ければ、犯罪歴のある人の全てがダメな奴、あるいは嫌な奴という訳でもない。

 けれど、犯罪の被害に遭った人にとって、犯罪歴のある人は信用し難い、あるいは出来ない人物となるだろう。

 それはこの人達にとっても同じで、異世界人に酷い目に遭わされたことがあるのであれば、俺も同様に信じがたい人物となるだろう。

 人種差別やイジメなんかはこういうことが積み重なった結果の一つだと思うが、これも経験による学びに由るものなので、一概に悪い事といえないのが面倒な所だ。


 「アンタが謝る事でもないでしょ。取り乱す気持ちも分からないではないしね」


 全く気にしていないつもりでも、そういう体験は心に残るものだ。

 でも、少なくとも表面上は、こちらの立場に配慮しようとしてくれるらしい。

 言語が通じる相手が、話しの分かる相手だったのは僥倖という他ない。

 

 「それで。自分の置かれている状況は理解出来る?」


 「……要は転移、異世界に迷い込んだって事ですよね?」


 「ええ、そうね。じゃあ、自分の名前も分かるかしら?」


 あ、名乗っていなかったな。しかし、素直に答えていいものか。

 まぁ、名前を隠す必要性も無いし、嘘を吐いた場合は後々に面倒になる可能性を秘めているので、ここも素直に言っていいだろう。


 「蒼司です。橘、蒼司」


 「良かった、覚えているのね。ソージ、タチバナソージ。あぁ、向こうの世界では基本的に誰でも姓名を持っているのだったわね」


 こちらの世界では苗字は持っている人とそうでない人がいると、どうでもいいような情報だが、帰るのにどれだけ掛かるかも、その切っ掛けすらなく、情報不足な現状ではこの世界の情報は生きていく上で重要だ。

 

 「じゃあ、名前はソージね」


 「はい」


 「私の名前はアンナ。そちらに居るのが村長のファティマさんで、アンタを連れてきた娘がグレタで、そっちでなんでかアンタの手を握っているのがソフィアよ」


 アンナと名乗った女性が室内にいる人の名を順番に言う。

 連れてきた娘のくだりで少女の方か女性の方か悩んだが、続く情報で全員の名を把握する。

 最後のアンナさんの視線に合わせる様に横の下方に視線を向けると、ソフィアというらしい少女が俺の手を握りしめている。

 理由は一切不明だが、懐かれたのか?

 俺はどちらかというと、小さい子には怖がれる質なんだが、ソフィアはそんな素振りは一切見せない。

 それどころか、視線に気が付き見上げたソフィアは嬉しそうに、少し恥ずかしそうにはにかむ。

 懐かれているようだ。

 思い当たる節は一切ないが、嫌われるよりは好かれる方が嬉しいので問題ないだろう。

 

 「その娘、言葉が喋れないのよ」


 「え?」


 唐突な発言に驚き、アンナさんを一瞥した後にソフィアを視線を向ける。


 「それは、学習的な意味合いですか?」


 日本では基本的な事を学ぶ義務教育である小学校に上がる前に、簡単なひらがなを書けるようになっている子は少なくない。

 中には文字を書けない子はいるだろうが、言葉を喋れない子はいないだろう。

 でも、世界での識字率は割合はあまり高くなく、成人の6人に1人は文字の読み書きが出来ないと言われている。

 子供の頃に聞いた話なので、現在どうなっているかは分からないが、それでも言葉を発せれない、言葉を理解出来ない人はほぼいないだろう。

 勿論、独自の言語や小さいな民族の肉体的動作を含んだ言語と特殊なものはあるが、自らの生まれ育った土地の言語を理解出来ない人はほとんどいないだろう。

 それは周りにいくらでも教材ともいえる会話をする人たちがいるからだ。

 学ぶ気が無くとも、それらを聞いていれば覚えるし、親が居れば会話ができる程度にはどうやったってなるだろう。


 「いえ、声を発する事が出来ないのよ。私の父の見立てでは心因性の失声症というらしいけど」


 「……失声症」


 怪我や病気で身体機能の一部を失う人は少なからずいる。

 俺は普段それらの人に対して、多少の気遣い程度しかしない。

 同情心がないと言えば噓になるが、同時に左程の興味もないのだ。

 それは対象が近しい相手ではないという事と、生きていく上での個人の差異の一つだと思うからだ。

 怪我や病気なんて他人の理解を得られる物から、精神的な物などの理解を得難い物まで優等、劣等があり、それらを含めた物で構成されるのが個人だ。

 理解を得られる状態だけが可哀想な状態ではないし、理解され難い物が誰にも理解されないと言う訳でもない。

 けれど、恩のある相手のソフィアが失声症というのは、少なからずショックであり、可哀想だと感じてしまう。


 「まぁ、だから、なんか喋れよとか思ったかもしれないけど、許してあげて」

 

 「いやいや、喋らないくらいで文句は言いませんよ。不満にも思いません」


 外で少し見たこの村の雰囲気から、手話や文字の読み書きも期待できないだろう。

 

 「そう?私はハッキリとものを言えない奴は嫌いだけど」


 ああ、なんかそんな感じはする。

 少し話しただけでも伝わるこの感じ、ズバズバ、ハキハキと物事をハッキリとさせたがる性格の人。

 まぁ、言いたい事は分かる。

 会話が遅い人が腹立つとかではなく、会話のリズムが合わない人は話していると疲れるのだ。

 会話がゆったりの人もいれば、聞き取り辛い程に早い人もいる。

 会話に限らず、一つ一つの行動なんかもだが、早い人から見ると遅い人の行動は苛立つ原因だったり、ヤキモキするらしく、文句を言ったり、その人の行動をそわそわと見ていたりする。

 学校なんかで見ていると分かるが人気のある人ってのは、自分の行動で相手に無理させず、そういったリズムを相手に合わせる人だと思う。

 

 「それに俺の怪我の手当てもしてくれたし、良い娘だと思いますよ」


 素直な感想を述べて、ソフィアの頭を空いたもう片手で撫でる。


 「知ってるわよ。その娘が嫌いとかじゃなくて、ハッキリと言えない奴と権利を振りかざす馬鹿が嫌いなのって、そんな事はどうでもいいのよ」


 逸れた会話内容をどうでもいいと切り捨ててアンナさんは話を戻そうとする。


 「えーと、何だったかしら?」


 「此処が異世界って事と、自己紹介したとこまでです」


 「そうだったわね。じゃあ、あとはアンタの今後の話だけね」


 「それなんですが、ここが異世界だと何故分かるのですか?」


 「どういう事?」


 聞き方が悪かったようだ。


 「俺が貴女方に取って異世界人だとして、異世界人だと分かるのは他の異世界人との接触が必要不可欠です。ましてや、貴女は日本語まで喋れるのですから」


 先程、同郷の者などと口にしていたが、それだって前提に日本語の存在と異世界の実在を知っていないと話の辻褄が合わない。

 

 「あぁ、そう言う事ね。簡単よ」


 「それは?」


 「私の父親がアンタと同じ異世界人なのよ」


 アンナさんは異世界人と日本人とのハーフって事か。

 しかし、それはつまり、アンナさんの父親はこちらに来て、少なからずこの世界に留まる必要があったという事。

 ……どうやら、すぐには帰れそうにない。


 「なるほど。率直に聞きますが、アンナさんのお父さんは元の世界に帰れたんですか?」


 「帰るなんてそんな方法は誰も知らない。父は数年前に死んだわ。元の世界に帰る事無く、ね」


 「ふー。なるほど」


 帰るのが無理ですと言われて、『そうですか』とは言わんが、帰るのには面倒な事前の準備や下調べが必須の様だ。


 「私の父もそうだったし、アンタもこの村に住めばいいんじゃない?」


 帰るにしても、しばらくの間過ごす拠点は必要になるだろうな。

 何しろ、帰る為に何をすればいいかすら不明なんだから。


 「良いんですか?」


 「ええ、男手もないから助かるし、ソフィアも懐いてるみたいだしね」


 未だに手を繋いだままのソフィアを見遣る。

 確かに何故だか懐かれているな。


 「そう言えば、男の人を村で見なかったですね」


 気になった事が会話に出たのでついでに聞いておく。


 「鉱山に出稼ぎにね」


 苦々しくそう言う。

 出稼ぎか、確かにそういうのも必要かもしれないが、村の人口の維持なんかも考えると、一部の筈だと思うのだが……。


 「どれぐらいの人がですか?ここまで一人も男の人はみなかったのですけど」


 「ほぼ全員よ。この村に残っている男は年端もいかない子供ぐらいよ」

 

 「全員ですか?」


 短期間とか出稼ぎか?

 そうでもないと、村の維持が出来ないだろう。


 「そう、全員」


 「それで村はどうにかなってるんですか?」


 「なる訳ないでしょう。生活ぐらいは向こうから金銭も来るから何とかなるにしても、村の人間が増えないんだから、先行きを考えれば……」


 「ですよね」


 元の世界でも様々な理由から若年層の人口が急激に減っている。

 それは価値観の拡大や女性も社会に出る様になったり、結婚に価値を求め始めた層がいるからだ。

 新しい価値が増える事も、女性が結婚や子育て以外の道でも生き易くなるのは良い事だが、その結果のマイナス点も同様に出てくる。

 

 「数年前に領主が変わってね。前領主は優秀で人柄も良くて、税金に関しても融通がある程度効いたんだけど」


 「その新しい領主は融通が効かないと、それで税金の為に出稼ぎですか?でも、多少なら男衆全員で行く必要はないのでは?」


 「多少ならね」


 「元々の税金の融通ってそんなにして貰ってたんですか?」


 「まさか、して貰う事もあったけど、この村は基本的に支払いを現物にして貰ったり、支払いを待って貰ったりぐらいよ」


 「じゃあ―――」


 「税金が元の10倍に上がったのよ」


 「10倍!?」


 その上がり方に驚愕する。

 日本では住民税、所得税、保険料などの個別に払う税金の他にも、商品を買う毎にそれに税金が掛かる。

 この村がどういうシステムがあるかは不明だが、日本での税金が全て10倍に膨れたら、間違いなく暴動が起きるな。


 「それは払えないんじゃ……」


 「当たり前でしょ!そしたら今度は村人、特に女性を連れて行くようになったのよ!」


 「それは」


 「何してるかは知らないけど、碌な事じゃないのは確かね。連れて行かれた人は一度も帰って来てないから。あくまで足りない税金を穴埋めする為の仕事の斡旋とは言ってるけど」


 「そういう事情であるなら、アンナさんとかグレタさんも連れて行かれるのでは?」


 二人の容姿はかなりいい。

 勿論、この世界の住人の美的センスが向こうの世界と同じとは限らないが……。

 

 「私は医者だからね。医学の知識がある人は希少で貴族にも幾つか繋がりがあるから向こうも手を出せないんでしょう。グレタを始めとした若い娘は領主が来そうなタイミングでは隠れてるから」


 「なるほど。その繋がりがある貴族にどうにかしてもらえないんですか?」

 

 「無理ね。その領主は前領主の息子で、爵位も侯爵家と位も高いから」


 「それは、手の出しようがないですね」


 権力のある馬鹿程厄介な人種は少ない。

 でも、話を聞く限り、アンナさんが医者だからで止まりそうにも思えないのだけれど……。

 周りの人間が抑えてるのかもと、勝手に想像する。


 「……ごめんなさい。また、話しがずれたわね」


 「いえ、大丈夫です」


 それで改めてどうするか尋ねられる。


 「お世話にはなりたいんですが、元の世界に帰れそうならすぐに帰る事は了承してください」


 「ええ、分かった。ファティマさんにも話を通すわ」


 しかし、元の世界に帰ろうにも、手立ても手掛かりもないのでは、如何ともし難いな。


 「アンナさん、元の世界に帰る為の手掛かりになりそうな物ってありませんか?噂とか、そう言うのでもいいので」


 ファティマさんに説明を終えたアンナさんに問う。


 「……さぁ?」


 「そうですか」


 まぁ、予測はしていたのでショックはない。


 「あ、でも―――」


 「え、なんかあります?」


 「そうね。手掛かりとは違うかもしれないけど、私の父が残した手記があるわ」


 「手記?」


 つまり、日本人がこの世界に来てからの情報や心情を書いた物って事か?


 「ええ。紙は貴重で高価なのに、書いてたわね」


 「それ、読ませて貰う事は出来ませんか?」


 「良いわ。けれど、明日ね。まずは、アンタの住む家を用意しなきゃいけないから、アンタも手伝いなさい」


 「あ、はい!」


 こうして、異世界生活の初日を終えていく。



新しい言語を作るって大変ですよね……。

そんな訳で妥協してます。すいません。

そんな未熟な著者のやる気上げに感想、ブックマーク、評価お待ちしております。

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