ラクレイド話の世界設定⑥
Ⅴ その他
【まずは閑話的なおしゃべりを】
ラクレイド話の設定、大まかにはこんな感じです。
何だか……、自覚以上に神様関係の設定を組んでいますね。
でも、信仰とか土着の宗教というのは、その国の国民性や社会体制なんかに大きな影響を与えるだろうなと私は思います。
現代日本に準じた世界で物語を構築するのならともかく、架空の国や社会の中で物語を展開させる場合、こういう部分(社会のバックボーン)をカチッとさせたい癖が、かなり若い頃から私にはあります。
私は楽しいけど読者は微妙もしくは鬱陶しい、部分ですが(笑)。
ゲーム世界に準拠している架空世界・ナーロッパはその点便利ですね。
大体の枠は決まっていますから、わざわざ細かく説明する必要がありません。
読者と作者の暗黙の了解で、即、書きたいストーリーが進んでゆきます。
私も、他人様がお書きになるナーロッパ的ハイファンや異世界恋愛のお話、喜んで読みますし別に忌避感もありません。
でも書く場合は、『ナーロッパ+α』もしくは『かなり個性的な異世界』を構築したくなる、これも癖があります。
ま、ぶっちゃけると。
こういうのを組み立てるのが生理的に好き、なのでしょう。
そしてイロイロ独自っぽい設定を構築した異世界恋愛モノを書き、ドヤ顔で公募に出して
『世界観凝り過ぎ。この世界に慣れる前に読者は疲れる。アンタが書きたい話はもっと普遍的な、恋の情趣とか人の心の機微とかだろう?ここまで凝った世界観、恋愛ものに必要か?』
という講評をいただく羽目に陥ります(笑)。
異世界恋愛で、三角関係で悩む貴公子(『たとえ、形代(かたしろ)であったとしても。』の、縹の御子のことです)の話を書きたいんなら、ナーロッパで十分だろう?と(笑)。
まあ、その辺は今後書く時の課題として。
設定厨のお遊びメモ、もうしばらく続けます。
よろしければお楽しみください。
【気候とか作物とか産業とかの、ふんわり設定】
《ラクレイドのあれこれについて》
ラクレイドの気候は温帯から亜寒帯。
夏はカラッとしていて冬は雪少な目、冷たい寒風が吹きすさぶ……、という雰囲気ですね。
南部のフィスタ周辺はともかく、王都より北の地方は寒いです。
ラクレイドの信仰の象徴・神山ラクレイの擁する山脈の裏側は海が近く、山脈にぶつかった湿った空気は山頂に雪を降らせ、麓のラクレイド側には乾いたからっ風を吹き下ろす感じです。
農産物は麦が中心で、場所によっては蕎麦や果物が育てられ、牧畜も盛ん。
山脈のすそに広大な森が広がっていますので、林業・木材を使った加工品の生産も盛んです。
陶器を盛んに作る地域もあります。
猟師さんもそれなりにいて、晩秋以降はジビエに舌鼓を打つ都会っ子も多いようです。
ただ、鉄工関係の技術は発達しにくかったようです。
掘れば鉄鉱石の取れる山はあるものの金山や銀山が重宝され、鉄の加工技術は目覚ましく発展しませんでした。
天下布武の時代に剣や短剣、蹄鉄、せいぜい鎖帷子などを作る技術は発展しましたがそれ以上にはならなかったようですね。
後は平和になって以降、鍋や包丁など調理器具くらいは作られるようになりました。
神山ラクレイ含めこの山脈は、今でこそ静かながらも火山帯の一部です。
神山ラクレイ、いつかはきっと噴火するでしょう。←ラクレイドで『この世の終わり』として恐れられている事象。
当然温泉が湧き、硫黄も採れます。
火薬を扱う技術は古くからあり、猟や戦争に多少使われましたが、これもそこまで。
銃や大砲などへ転換する発想はなかったようです。
質の良い馬が多く育つ環境でしたので、戦は騎馬での戦い中心。
弓や弩以上の飛び道具も必要なかったのでしょう。
ラクレイドは国土こそソコソコ広いのですが、森だったり山だったりが多く、やせただだっ広い草原(放牧は可)も多い感じで、人が住める豊かな地域は限られています。
草原を開墾して土壌を改良し、農地へ転換する事業を行う領地もありますが、当然メチャ大変なので、全国規模では積極的でないです。
《デュクラのあれこれについて》
ラクレイドよりは全体的に南寄りの国土なので、ほぼ温帯。
ラクレイドより若干降雨量も多い設定です。
小麦も育てていますが水稲や陸稲も育てられていて、日本でいう粥や、リゾット的なものも小麦と同じくらいの頻度で食べられています。
地域によっては、団子やパスタも食べられていますよ。
フィスタから一番近いデュクラの港町・ラルーナ。
『レクライエーンの申し子』で、レライアーノ公爵が一時、隠密で潜んでいた町です。
彼が持病を拗らせて体調を崩した時、米の粥で露命?を繋いでいました。
それ以外は、産業面でもラクレイドとあまり変わらない感じです。
各領主の独立不羈の精神が強い弊害か、新しい技術が水平展開しにくい社会でもありますので、技術面の進歩に地域差が大きいといいますか、歪だったりします。
《レーンのあれこれについて》
当然、亜熱帯から熱帯の気候。
大小の島のうち、一番大きな島には、コーラルサンドの美しい遠浅の海に面した土地に、この国の信仰の要である大神殿があります。
その反対側に大きな船が寄港できる港が整備されていて、輸出入の拠点になっています。
その他の島では、漁業・イモ類やサトウキビの栽培と加工・真珠の養殖(門外不出のマル秘技術)やサンゴの加工等が行われています。
各島には事実上の領主『島長』がいて、彼らが島内を取り仕切っています。
が、大神殿の高位の神官が、各島の形式上の領主として任命されています。
形式上の領主たる神官に年に一度、税の一部が島からの『貢ぎ物』として納入されます。
大抵は物納です。
神官個人へというよりも大神殿への寄進という要素が強いですが、ここから神官個人の楽しみ(娯楽的な、あるいは個人的な学びの為の書物、やや贅沢な私服、珍しいお菓子や酒など)に、少しくらい使うことは目こぼしされています。
もっとも、ラクレイドへ嫁いだレライラさんと彼女の息子アイオールはその限りでなく、貢ぎ物すべてが個人資産となります。
拙作『恋とも愛とも言えないけれど』で、マーノくんが『主から下賜された』黒糖と蒸留酒は、その一部です。←レーンの方亡き後、アイオールが『レライラの島』の形式上の領主ですので。
《ルードラントーのあれこれについて》
国の大半が乾燥帯(いわゆるステップ気候)。
有り体にいうのなら、ボヤっとしてると干上がってしまう環境です。
強い力でひとつにまとまり、皆で協力して生きていかねば!というメンタルが育ちやすい環境でしょう。
非常に強い保守色(成功体験に準拠)を持つと同時に、未知のものへの果敢な挑戦(更なる成功・部族の繁栄を求める為)を厭わないという、一見矛盾した国民性の国です。
『ルードラの教え』に反しない、また『ルードラの教え』を無知蒙昧なる民に広める為なら基本何してもいいという、ちょっと怖いメンタルでもあります。
主な産業は古来、放牧と商業。
ただ『燃える水』を使った様々な工業が、近年盛んに。
他国の新しい技術を貪欲に学び、自分たちでも工夫するのを厭わない、オタク気質な技術者が多い国でもあります。
医学や薬学、鉄や火薬を使った軍事関係の技術は、大陸の他の国々の追随を許さないレベルにまで磨かれています。
特に毒薬はほとんど芸術レベル。
各国の暗部やフリーのアサシンから、秘密裏に取引を持ち掛けられているほどです。
良くも悪くもルードラントーは、大陸一の技術大国です。