ラクレイド話の世界設定⑤
【遥かな東方の国・ルードラントー】
さてさて。
今まで書いてきた国々は、神様関係?で激しく揉めることの少ない宗教の国ばかりです。
ラクレイドにせよデュクラにせよ、『ウチの神様が国(世界)を作ったんだぞ』的な神話を持っていますけど、他の国が違う神様を信じていても
『まあヨソの国だし』
『ウチはウチ、ヨソはヨソ』
『ウチの神様にいちゃもんつけてこないんなら、まあいいか』
みたいな、ぼんやりしたといいますか、ある意味寛容な宗教です。
レーンはレーンで
『万物は元々ひとつ。臨機応変に変化するうち、神と呼ぶしかない聖なる存在が現れ、その土地の人々を教え導くこともあるだろう』
的な解釈をして、他の宗教を否定したりしません。
(でも、すべての神様は『レクラ』から始まっていると考えている)
しかし。
ラクレイドの遥か東方、広大な砂漠の向こうで興った国・ルードラントー。
この国の宗教は……そんな、良くも悪くもぽやんとした宗教ではないのです。
この国の神話は、創世神『ルードラ』がこの世をお創りになったという割とありふれた?始まり方をしますけど、続きが違ってきます。
万物を作った神(ルードラ)はすべての生きとし生けるものへ、己れの特性を生かしつつ健やかに暮らしなさいと祝福を与え、創世の疲れを癒そうと仮眠を取ります。
神の仮眠ですから、人間の時間で数百年~数千年。
仮眠から目覚めた神は驚きます。
人間たちがすっかり堕落し、互いに騙したり争ったりしています。
そればかりか、人間の分際で自らを『神』だと語る恥知らずまで、世界のあちこちに現れているではありませんか!
この世界を生み出した真の神『ルードラ』は、怒りよりも哀しみを強く感じました。
未熟な人間たちを、きちんと教え導く前に放置したことが間違いだったと気付いた『ルードラ』は、人間のうちから心根の正しい者を選び(後の宗教上の導き手。『先生』と呼ばれている。キリスト教の神父や牧師などのような役割を果たす。昨今は世俗の支配も行い、最高位の『先生』がこの国の王である)、正しく生きる規範を授けました。
それが『ルードラの教え』。
正しい人間の在り様はすべて『ルードラ』が教えて下さるので、『ルードラ』の信徒たる者、まずはその教えをしっかり理解して身に着けるべき……と。
そういう感じの教義です。
うーん……なんだか校則や礼儀作法にうるさい、気難しい風紀の先生みたいな神様ですねえ。
いや、お前が考え出したんだろうですけど。
また、人間の中には自らを神だと語り、無知で無垢なる者の崇敬を集める底なしの恥知らずがいたことにショックを受けた『ルードラ』は、自分以外を神と崇めることを強く禁じました。
かなり強い一神教です。
ラクレイドやデュクラ、レーンも、まあ一神教っちゃ一神教ですけど、他の神様とか神様に準ずる存在とかを、なあなあ?で認めています。
でもルードラントーは、ルードラ以外の神を一切認めません。
唯一を信じ、唯一の色で世界を染め上げることが、神の仮眠中に堕落した人間を救う道である、と。
つまりはそれが、この信仰の一番の肝になります。
この教えがうまく働くと国の求心力が非常に高くなり……、融通の利かなさが、組織の硬直化を招く原因となります。
長所と短所は表裏一体ですね~。