『女神は何も裁かない』という、まだ生まれていない世界の備忘録②
☆ 今回、書く予定の世界
さてさて。
前回、大上段に振りかぶって(笑)そーだいな世界設定を語りましたが、今回……といいますか、基本、私が書く予定の世界はひとつ。
設定として、色々な神が色々な世界を構築し、各々己れが作った世界を見守っている、というのがこの物語世界。
その中で、『大地の女神』を最高神として崇めている世界(つまり大地の女神と呼ばれている女神が構築した世界)が、お話の舞台になります。
この世界では、万物の母たる『大地の女神・聖母神』が信仰されています。
この世界の住人は、七歳になると各々が住む地区の聖堂で、スキルチェックのような儀式(聖堂には特殊な水晶の塊が安置されていて、七歳の子供は清水で清めた手で、神官に導かれながらそれに触れる、という儀式。『七歳もうで(現在のところ仮称です)』と俗に呼ばれている儀式を行います。
大抵の子供は『この先も健やかに』という聖母の祝福を、水晶に触れた瞬間に儀式を行う神官と共に聞くだけですが、ごく稀に『この者には高い魔力が潜在しています』だの、『ぜひ剣の道へ進みなさい』だの、『勇者の資質があります。精進なさい』だの、特殊な祝福を受ける者がいます。
そういう者は『聖別されし者』と呼ばれ、国が責任をもって教育するシステムになっている、と。
そういう世界で主人公は、『勇者の資質があります。精進なさい』という聖別の祝福を受けてしまいます。
『受けてしまいます』って、ナンか嫌なものみたいな表現ですね(笑)。
確かにこの手の祝福を受ける者は、持って生まれた素晴らしい才能を持っていると、女神様から太鼓判を押される訳ですが。
もちろん皆から憧憬の目で見られますし、めでたいことではあります。
……が。が。
『七歳もうで』で聖別されてしまうと、その子はすぐ親兄弟から離され、王都にある大聖堂で養育されることとなります。
そこで、各スキルに応じたその当時として最高の教育を受けられますが、子供らしい無邪気でのん気な生活は、当然出来なくなります。
また、田舎の農村で生まれた小作人の子であろうと、場合によってはあやしい出自の孤児であろうと、『聖別されし者』だと判明すれば、その子供は上級貴族の子供に準ずる扱いになります。
そうなると凡人(特に身分高い凡人)の中には、穏やかならぬ心情になる者も少なくないのが現実。
『聖別されし者』はある程度成長して社会と関わるようになると、妬みから嫌な目に合いがちなのが現実です。
それでも幼少期は大神殿で、世間から隠すように養育されますから、勉強と訓練に明け暮れる日々ではあっても(そして、たとえホームシックに泣く日はあっても)、まあまあ穏やかな日々を過ごせるでしょう。
しかし『聖別されし者』は、自らの気持ちがどうあれ、そのスキルを使って社会のために滅私奉公しなくてはならないと決められています。
その為に大聖堂で、最高の教育を受けて育てられるのですからね。
なかなか……息苦しい、人生ではありましょう。
主人公も『聖別されし者』として、故郷を離れ、王都の大聖堂で教育を受けました。
成人年齢である16歳になった彼は、『勇者』として魔物退治の果て無い旅へ出かけることになります。




