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SIGN 序章  作者: WhiteEight
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第4話 目覚め

SIGN 序章


第4話 目覚め



「う…うぅーん……」


もう朝かぁ…。

昨日はなんか色々あって疲れちゃったな。


お!雨があがってる!

今日は快晴なりねえ!


優はトイレ・洗顔・歯磨きを早々に済ませ、制服に着替えた。


うしっと!

まだ7時…か。


昨日晩御飯遅かったから…お腹空かないなぁ。

でも食べないとお祖母ちゃん煩いだろうなぁ。



「んー…」


『優!』



居間のほうからお祖母ちゃんの声だ。

朝ご飯食べろーってことかな。



優は居間に向かった。


―――

――



「はいはい!今日は食べて行きますよーだ!」



って…あれ?

料理がない…。



「座って…」


「?…どうしたの?

 朝からそんな深刻そうな顔して」



「昨日は天城君が居た手前…言わなかったのだがの…。

 お主…最近"印"を度々見るというのは本当かの?」



「うん。今月に入って昨日で5人!今日が6月17日でしょ…

 17日で5人って…なんか今までに経験がないくらい多いわね」


「うむ…月に一人いるかいないか…その程度だったのに…これは異常といわざるを得ぬ」



祖母・茜の表情がゆがむ。



「やっぱり…そうなの?」


「うむ…。過去に何度かあったことは確かじゃが…。

 私が知る限り…近年このような事態は、

 記憶が間違っておらねば…20年前かの…それ以来じゃ」



「何が原因なの?」


「うむ…理由は定かではないが…印が出るほどの怨念を生むというのは…

 今の不景気も要因のひとつであろうな…。

 とにかく負の感情が霊を狂気に走らせる…いわば強壮剤のようになっているのやもしれん」



「狂気か…

 昨日の霊も…急に狂気化しちゃってね…。

 しかも理性を保っていた他の霊まで影響うけちゃってさぁ。

 私…あんなの初めてだった」



「優…

 今後は印を見たとしても…深追いはするでない」


「え?何よ…それ」



意味わかんない…私には無理って言いたいの!?



「この際じゃからハッキリ言う。

 お主はまだまだ半人前…いやそれ以下じゃ。

 今まで幾度となく霊を救ってきた功績は認めるし、素質もある」


「だったら!」



「それを凌ぐ、また次元が違う相手が出るかも知れんのじゃ…

 経験の浅いお主では…何も出来ぬまま殺されるのがオチ…」



!…それって……。



「まさか…"妖魔"……?」



「あくまで可能性の話じゃ…

 それ以前に狂気化した本当に強力な怨霊とお主はやりあったことがない…

 もっとも経験すれば…今のお主なら確実に死ぬだろうがな」





―――

――


「なによ…!」



"よいな!今後見かけても首を突っ込むでないぞ!!"



「"身を守る術、戦う術をちゃんと一から教えるからそれまでは待て!"

 だってさ…」



んな事言ったって…目の前で死を宣告されてる人間を見て見ぬ振りをしろっていうの!?


そんなこと…したくないじゃない。



優は考え事をしながら学校へ向かった。


周りの人に声をかけられた気がしたが、集中してたため気がつかなかったようだ。

気づけば校門の前についていた。



「8時か…もうすぐ始業だ。教室に急ごう」



グラウンドを見てみた。

天城勇の姿はないようだ。

流石にこの時間だからもう教室にいったのかな。




―――聖ヶ丘高等学校1−B組

――


ガラガラッ


「おはよー!」



皆が声をかけてくれる。

優は挨拶をかわしながら自分の席へ。



右斜めに彼、天城勇の席がある。


勇は自席でボーっとしている。




「おーーい!おっす!」


「…」



反応がない。



「もしもーし!」


「…」




どうしたんだ?


顔を覗き込む優。



「はっ!わ!わわわ…!

 白凪優さん!ど、どどどどどうしたんですか!いきなり!」


「それはこっちの台詞。

 どうしたの?なんかぼーっとしちゃって…」



「ここじゃ…その…話しづらいので…

 休憩時間に…ちょっと付き合ってもらえますか?」




何かあったのかな?



―――休憩時間

――屋上



「で…

 話ってなに?わざわざ屋上まで来たんだから、そろそろ話してみ!」


「それがですね…

 僕…急に見え始めちゃって……」



見え始める?



「その…おばけが…」



ああ!

そうか…この人、今まで霊感が全くなかったんだ。

それじゃ戸惑うかもねぇ。



「その…正直戸惑ってます……

 僕、実は怖いものベスト3ににお化けがランクインしてるほどなんです…」


「つっても、そんなにいるってわけでもないでしょ?」



よく幽霊を信じない人間が言う台詞がある。

幽霊がほんとにいたら、今まで死んでいった何億、何兆の幽霊がいるじゃないか…とかなんとか。



実際そんなにいるわけがない。

成仏できない霊がさ迷うだけで、ほとんどの霊が成仏して地上には残っていない。


私自身天国や地獄があるのかはわからないけど、確かに天に昇っていくことは実際に目にしている。

昇天っていうけど、ほんとなんだなって思った。



「で、でもですよ!?

 ひ、人が透けてるんですよ!?こっちを見てたりするんですよ!?」


「お、落ち着きなさいってば!

 ま、まぁ最初は色々あるかもだけど、そのうち慣れてくるからさ!」



「そ、そういうものなんですかね…。

 わかりました…ありがとうです…」



わかりましたって…

物凄い落ち込みようじゃない…。



「むぅ…よし!

 じゃあ景気付けにうちに遊びにくる?」



「え!?いいんですか!?」



げ、現金な奴だな…正直というかなんというか…。


まぁ落ち込んだ顔よりは…やっぱり…。



はっ!

また私ってば!だめ!だめよ優!



「?」


「と、とにかく!放課後私の家に行くわよ!」



はい!と物凄い笑顔で返された。




――――放課後

―――



「よし!じゃあ行くわよ!」


「はい!お供します!」



って…私いつの間にか、この人とすごい仲良しになってる…。

それもすごく!物凄く自然に!!


なんという恐ろしい…!

というか…昨日までしゃべったことすらなかったのに…この急接近はなんなの!?

ふ、普通なのかしら…?



いきなり友達になった男を…自宅に招きいれるなんて!

わ、私って第三者的にみたら、物凄い大胆すぎじゃないの!?


て、てか…

ふ、ふしだら者ですか!?


えええええ!?


お、落ち着くのよ!

な、なにもそんなつもりじゃないし!



て、てか!

よくよく考えたら…私男の子を家に呼んだことなんか…今まで一度も無かったじゃないの!



なんということ…!

今までやれなかった色々なことをわずか2日で色々しちゃってるわ!私!



「はわわ…」


「ど、どうしたの?白凪さん」



ボッ!


や、やだ!

なにこれ…急に意識しだしちゃった!

か、顔赤くなってたらどうしよう…!


べ、別にそんなんじゃないんだからっ!


って、私ツンデレみたいじゃないの!



「な、なによ!あんたなんか!」



パチンッ


あ!思わずひっぱたいちゃった!


「な、なぜ…」


「ご、ごめん!私何やってるんだろう!」



「あ!」


「え?」



勇が急に何かを思い出したかのような顔をした。



「警察!いかなきゃ!」



あ!!

すっかり忘れてたよ!

そうだった…聴取にいかなきゃだった。



「じゃ、じゃあ今から行きますか」

「そ、そうね…」




二人は方向を変え警察へ向かった。




―――聖ヶ丘5丁目・朝霞警察署

――刑事課



「シンさん!八坂警部!」


「あんだよ!鈴木!どうした!」



「昨日の事件なんすけど…どう思います?」


「どうって何が?」



「腐乱死体…あちこち傷が残ってましたよね。

 鑑識の話じゃ死後ついたもので…というかごく最近のものらしいっすよ!」


「へぇ…」



「へぇ…って!

 あいつがやったのかな…」


「あいつ?」



「えぇ!昨日の高校生の小僧ですよ!

 木刀持った!傷跡は棒状の何かによる殴打痕…間違いないっすよ…あのガキ!」


「鈴木ッ!!」



シン刑事が声を張り上げた。



「…な、なんです」


「終わったヤマだ…あんま気にするな」



「気にするなって…死体を弄ったかもしれないんですよ!?」


「じゃあ何か?あの少年が死体を木刀で殴ったてのか?

 何のために?証拠は?犯人の野郎がやったかもしれんだろ?ええ!?」



「そ、それは…」


「とにかくだ!…下手に疑ってかかるもんじゃねぇ…。

 俺達は疑うのが商売だが、だからこそ見あまっちゃならねえ。

 よく覚えておけ…」



「……はい」



「八坂警部!受付から電話ですよ!」


シン刑事は近くの電話に出た。



「はい。八坂…

 おお来たかぃ!了解だ。すぐにそっちに行くから待たせておいてくれ」



ガチャ



「今の電話…例の二人ですか?」



「ああ。噂をすればなんとやらだな。

 じゃあちょっくら出迎えにいってくる。茶の準備でもしててくれや」




―――

――



「やぁ二人ともよく来てくれたね」



椅子で寛いでいた二人の前にシン刑事が現れた。

二人はすぐに立ち上がった。


「いえ、昨日は送っていただいてありがとうございました」

「遅くなってすみませんでした」


「いやいや。君達は学生だろう。

 その辺りは心得てるつもりさ。

 遅くなっても悪いからな、とっとと済ませよう」



こっちへ来てくれと二人を連れて階段を上る。



3階についた。



「さぁこっちだ。

 緊張してるかい?安心しな、形式だけっていったろ?

 相手はワシだし、そう気張るな。先に入って座っててくれ」



少し安心した。

警察ってなんか怖いイメージが強かっただけに、ああやって親切にしてもらえると安心するものである。



それからしばらくして、調書とお茶にお菓子を持ってシン刑事がやってきた。


なんともイメージする取調べとは違い、お菓子を食べながら、他愛無い話を交えつつ…。

事実関係をありのまま話しながら聴取は30分ほどで終わった。



「ご苦労だったね…」


「私…何も罰せられないんですか?

 あの男の腕折りましたけど…」



「いや…気にせんでいい。

 君のやったことを咎める人間はおらんよ。

 それにしても、よく正直に話したね」


「私は…私の正義であの行為をしました。

 もし、それでたとえ裁かれたとしても…後悔はありません。

 だから正直に話しました」



「はは!ますます雪さんに似てるよ!

 気に入った!また何かあったらワシにいってくれな」


「ええ。シンさんお仕事頑張ってくださいね」

「自分も何かあれば相談します!シン警部!」



「あはは!おうよ!いつでもきな!

 彼女を守ってやんなよ!剣士!」


「はい!」



むぅ…。

剣士…か。

まぁ……彼氏よりかはいいかな。



「じゃあ帰ろうか。今日はもう日も暮れるし!」


「ですね!もう6時になりますしね!

 あ、送っていかなくても大丈夫ですか?

 というか、どの道自分は帰るのに白凪さんの家通りますし…

 うん!一緒に帰りましょう!そうしましょう」



「って…なんか強引ね…。

 まぁいいわ。じゃあ送ってもらいます!」


「らじゃっ!」



二人は夕暮れ道を笑顔で帰っていった。


これから恐怖が二人を待ち受けているとも知らずに…。





第4話 完   NEXT SIGN…

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