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SIGN 序章  作者: WhiteEight
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第30話 夏休み編/修行9

SIGN 序章


第30話 夏休み編/修行9



7月28日(火)―――


AM6:00起床…


先日同様、優も料理を試みる…

今日はもやし炒めという無難な料理だったからか、

特に評判が悪いこともなく普通に食事を終えた。



AM7:45…


食事を終え、裏庭に集合。

先日より1時間早い。


理由は先日の午前の修行で岡島大樹、日下部新二の体力不足が原因で

12時までに修行を終え、戻ってくるという約束事が守れなかったためだ。



岡島先輩も日下部先輩もすごく申し訳なさそうだったな…。

別に気にしなくてもいいのに。



「それでは昨日同様午前の修行を始める。

 手を抜かず真面目にの…特に和馬…よいな」


「な、なんで俺なんだよ!?お、俺は至って真面目だよな!」



シーン…



「て、てめぇら!なんて薄情なガキ共だっ!」



日ごろの行いが悪いせいよ。



腕立て・腹筋・背筋…このセットを回数制限なしに行う。

目安は自分の限界を感じてから+5回。


誰も監視をしているわけではない。

完全に自主性に任せている。


そもそもが自分のために自分から望んで行っている修行だ。


手抜きがそのまま自分に返ってくるだけ…

いわゆる自分自身との戦い。




「く…」


実は昨日よりも体がしんどい…。

というか、全身筋肉痛で痛いのだ。


どうやら私だけでなく、ほとんど皆が同じ状況だ。

昨日より明らかに精彩を欠いている。



「皆…すまん、また足を引っ張らないように早めに行くぜ」


「時間に余裕があったら、戻ってからもうちょい筋トレも頑張ってみるよ」



「大樹君、新二君…頑張って!あなた達なら出来るからね!」


『部長…はい!』



二人してハモった。

司はミス研のメンバーに絶対の信頼を置いているようだ。


二人は仲良く並んで駆け出していった。



―――

――



「おい…おめぇら…そろそろ行ったほうがいいかも知れないぞ」



AM9:42…


昨日和馬に声をかけてもらったのは10時を少し回ったくらいだったから

約20分ほど早い…。



「この筋肉痛を考慮して…か。

 確かにやばそうだな…一番ガタが来てるのは脚だからな」



片桐先輩の言うとおりだ。

確かに全身痛いけど、一番は足腰だ…。



「そういうこった。

 また時間破ったら、今度こそ絞られっぞ…」



食事抜きは真面目に勘弁してほしいところだ。

とにかく走ろう。


普段であれば1時間弱で往復できる。

だからこの時間に出発というのは本来であれば少し早い。



だけど恐らくオッサンの判断は間違っていない気がする。




―――

――


2時間後…


「ハァッ…ハァッ……」



全身がバラバラになりそうだ…。

体中が痛い…。


皆も似たような状況だ…。

誰も喋らずに寝転んだり、しゃがみ込んでる。


息は絶え絶えだ。




「な、なんとか…ついた……」


「もう…ダメだ…」



先に出発した岡島大樹、日下部新二ペアもようやく到着。

最後の二人もなんとか時間内に戻ってこれたようだ。



しかし結果的に散々だな…。

ここまで体がいう事を利かないだなんて。



「ふむ。皆相当へばっておるようじゃの」



茜が出迎えに来た。



「お祖母ちゃん……体動かない…」


「じゃろうな。ほれッ!」



茜は優に救急箱を投げ渡した。



「ちょ!危ないじゃない!…ってこれなに?」


カパッ


救急箱を開けると中に冷却スプレーとシップが入っている。



「皆の分もある。1週間はお世話になるじゃろうて」


「地獄に仏ってこういう事ね…ん?

 これ呪印…?」



なんでシップに呪印が…。



「私の治癒力を込めたシップじゃ…気持ち回復力が違うじゃろう。

 ありがたく使うんじゃぞ!」



へぇ…お祖母ちゃんも優しいところあるのね。



優は皆にシップを配った。



「っつぅーー!ちべたいーー!」


これは利くわぁ…!


なんとなくそんな気がするわよねシップって。




「皆体が動くようになったら手を洗ってリビングに集合じゃ。

 昼食にするよ。ちなみに今日でカレーも終いじゃ」



『飯ぃいい!』



全員今の今まで動けなかったが、昼食の一言で皆飛び起きて洗面所へ走っていった。



―――

――



PM1:30―――


皆食事を終え、皆各々休息を取っている。



「さて…そろそろ腹ごなしに運動するかの!」



げ…。

まさか、また山に登るの!?

走って!?



「じょ、冗談よね…」


「ふふふ…当然じゃて。いい運動になるじゃろ?」



鬼だ…。



茜と9人は支度後、すぐに朝霞山へと向かった。



「お…おお!?」



なんだろ!脚が軽い!

午前中より全然楽だ!


まさか…これってお祖母ちゃんのシップのおかげ…?



「むかつくバァさんだが…やっぱすげぇんだな…。

 この人の下で必死こいて修行すれば…実力はちゃんとつきそうだぜ」


「まぁ…ちょっとサディスティックな所があるけどね…お祖母ちゃん」



和馬もなんだかんだで実力は認めているようだ。

そして、茜のシゴキで確実に強くなれると確信している。


だからこそ腹の立つことも踏ん張って乗り越えてきているのだろう。



―――

――


1時間後―――

朝霞山へなんとか全員到着した。



「二人とも大丈夫ですか…?」


岡島先輩と日下部先輩だけめっちゃしんどそうね…。

でも、初日よりは少しはマシになったような…気がしないでもないわね…。



「よし…では今日も昨日と同じじゃ。

 Aチームは散歩、Bチームは頂上で座禅じゃ」


「お祖母ちゃん!時間もそんなにあるわけじゃないんだからコツを教えてよ!」




「コツか…どうしようかのう…」


「いいじゃねぇかバァさん。教えてやれよ」



「和馬!でしゃばるでない!」


「つうか、もう教えちまったんだわ。ガキに」



えぇ!?

この人コツ知ってたの!?


…いい性格してるわね…流石。



「はぁ…つまらん…。

 教えてしもうたのか…せっかく若者が右往左往苦悩する様を楽しみにしとったのに…」



お祖母ちゃん…。

ちょっとSっていったけど…これじゃドSな気がしてきたわ…。



「まぁそういうこったから、お前らにも教えてやる!

 ありがたく聞くんだな!」



何コイツ…物凄い偉そうなんですけどっ!



「コツはね!自然体なんだって!

 何も考えずに自然と一体化するイメージで心を空っぽにすればいいんだって!」


「て、てめぇ!俺が今言おうとだな!」



由良葉が間から話し始めた。



「んでね!昼間よりも夜の暗闇を利用して修行すると掴みやすいんだってさ!

 霊気は光り輝くから!」


「そ、それも言うのかよ!このクソガキッ!」



暗闇…なるほど。

それは確かに合理的かも。


でもだったら昼間にこの修行やるのってあまり得策じゃないんじゃないの…?



「まぁ…和馬の言うとおりじゃ…。

 はは…そう怖い顔をするでない!

 ここでの散歩は全く意味がないわけではないからの。

 自然体がどういうものなのか…ここのほうが自然も多いし掴みやすい。

 あとは夜に成果を試せばええじゃろう」



「むぅ…でも3時間近くも散歩って結構しんどいし、無駄な気がするんだけどなぁ」



「安心せぃ。つまらなくなってしまったが、主らには最高じゃろうて。

 今週中には見えるようになるわ。下手すりゃ今晩にでも身についておるかもな」


「えぇ!?」



「それだけこの環境と散歩には意味があるってことじゃ…。

 騙されたと思って3時間でも散歩してみぃ。

 邪念を消し…自然体での。

 自身もこの山の木々や草むらと同化するようにの…」



そう言い残し、茜はBチームを連れ頂上へ向かっていった。



「自然体…」


そんな事なら昨日のうちにも散々やった気がするけどなぁ…。

まだまだなんだろうか?



「とりあえずお祖母様の言うとおりにやってみましょ」


「ですね…嘘か誠か…とにかくやれることをやりましょう!」



だよね。

今は散歩に全力をつくす。




―――

――



PM5:00



言いつけ通り5時には皆入り口に集合した。

Bチームは相変わらず苦悶の表情だ。


実感がわかないのはAチームもだ。


結局散歩中に見えるようになった者はいなかった。

全ては夜…暗くなってからだ。


そこで何かを掴めればいいけど…。



「そいじゃ戻るよ」



帰りの徒歩は相変わらず。

昨日に比べて、皆話をする元気は残っているようだ。

それぞれくだらない雑談をしながら白凪神社を目指す。



30分後―――



神社に到着、皆着替えを持ち銭湯へ向かった。



「あーウズウズするわ!

 今見ても…なんともないし…早く真っ暗くならないかしら!」


「慌てたってしょうがないでしょ!優ってせっかちなのね」



「うるさいわねっ!あなただって気になるでしょ!」


「別にあなたほどじゃないわ。

 こういうものは焦ってどうこうなるものじゃないわ。

 焦ることでかえってドツボにはまらないとも言えないしね」



ぐ…たまに大人な発言するのよね…この子。



優たちは銭湯で体と心と…ついでに衣類の洗濯を済まし、家路へ向かった。



「まだ夏だもんね…明るいわ…」


「ですね!まぁ夜は逃げませんから。

 まずはご飯!ですね!」



亜子ねぇのご飯美味しいから、確かに1日の楽しみの一つではあるわね!



帰宅後、すでに食事の準備が整っていたので皆すぐに食事に飛びついた。

ちなみに今晩のメインはハンバーグだった。


これがまた最高に美味しかった。


食後少し休憩してからは宿題をした。

頭の中では自分の力の事が脳裏にこびりついていて、

勉強にあまり身が入っていなかったのは反省である。



とにもかくにもこれで全て完了!



「っしゃあ!寝る前に確認いくよー!皆!」



「優!夜更かしはダメじゃからな!…ったく…行ってしもうた。

 ちゃんと聞こえたんじゃろな…」


「なんだか優…楽しそうですね。

 あんなに沢山の友達が出来て……なんだか羨ましいわ」



「亜子…」


「まぁあの子も、もう子供じゃないですから…ちゃんとわかってますよ」



「じゃといいんじゃが…」



―――

――



裏庭―――



「さて、Aチーム諸君!準備はいい!?」


「あなただけよ…その妙なテンション……

 私はもう眠くって眠くって…はぁぁわぁぁ…ふにゃ」



このKY巨乳め…!



「ふん!私だけ出来たからって恨まないでよっ!」





第30話 完   NEXT SIGN…

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