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SIGN 序章  作者: WhiteEight
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第13話 夏休み編/緒斗の森1

SIGN 序章


第13話 夏休み編/緒斗の森1



―――聖ヶ丘高校1−B

――


7月24日(金)



「えー、明日から夏休みだけど…みんな注意事項をしっかり守ってね!

 あと宿題も忘れないように!夜更かししすぎないように!」


「先生!もう子供じゃないんだからわかってるよー!

 おばさん臭いよー!」



教室はドッと笑いが起きた。



川原での戦い後…1ヶ月もの月日が流れた。


あれだけ連日サインを見ていた日々は川原の戦い以降ぱったりと止んでしまった。

これはこれで、とても気がかりではあるが…まぁ平和にこしたことはない。


それから、お祖母ちゃんは奥里に行ったまま、まだ帰ってきてはいない。

当初1週間で戻るといっていたが、どうも手こずっているらしく長引いているようだ。

とはいえ、昨晩連絡があって無事解決したそうだ。


たぶん明日、明後日には帰ってくると思う。


私も夏休みに入るし、本格的に修行をしようと思う。




「話は以上です!

 んじゃま、夏休みを満喫しなよ!解散!」



担任の一言でみんな各々騒ぎ出した。




「白凪さん!」


「天城君。どしたの?」



彼も傷は完全に癒え、相変わらず剣の修行を頑張っているようだ。



「お婆様戻ってくるんですね!

 これで修行が始められますね!」


「うん!でも、ほんとにあなたもやるの…?」




「もちろんですよ!自分も霊力が使える素質があるなら…

 使いこなせるようになりたいですから!」


「ん…そだね。まぁ君なら根性あるから大丈夫でしょう」



ガラッ!!

誰かが教室の戸を思い切り開けた音がした。


見ると"連中"が立っていた。



ズカズカ

優に近づく怪しい集団。



「ごきげんよう…優」


「相変わらず無駄にデカイ胸ね…司」



この子は幼馴染で、自称私のライバル、夕見司。

高い霊力を持ち、ミステリー研究会に所属しているオカルトマニアだ。



「ふん!貧乳のあなたにはさぞかし羨ましいでしょうね!」


「な、なんですって!?」



ひ、人が地味に気にしていることを…!



「ゴホン…!

 今日はあなたとつまらない言い争いをしに来たわけじゃないのよ」


「何よ?」



司は真面目な顔をして言った。



「あなたの協力が必要なの…。私達に力を貸して」


「あんたが私に力を借りたいって…よっぽどのことね」




霊がらみの事なのかしら?




「ここじゃアレだし…ファミレスでも行きましょう!

 私が奢って差し上げるわ!」


「当然でしょ!相談料よ相談料!」



「キイイイイイイイイイイイイイッ!!

 やっぱこんな貧乳に頼むのいやだわッ!」


「まぁまぁ…落ち着いてくださいよ部長…。

 頼みますよ白凪さん…。話だけでも…お願いします」



このニット帽の顔色悪い彼はミス研のNo.2…。

名前は知らないけど。


確か上級生だったような…。


優たちはとりあえず近くのファミレスへ移動した。




―――

――




「で、ちゃっちゃと話してよね」


「その前に、その子誰なの?あなたの…か、か、かか…彼氏とか?」


司は勇を見て動揺しつつ尋ねた。


ブッ!!


優は思い切り水を噴出した。



「ち、違うわよ!」


「そ、そう…。

 でも一般人は正直この場にいてほしくないんですけどね」



ギロっと勇を睨みつける司。

笑ってごまかす勇。



「いいのよ。この子は。霊感あるからね」



『!!』


ミス研一同は驚いた。



「は、はは…どうも…。

 天城勇っていいます…よろしく」


「彼自身、霊気のコントロールはうまく出来ないけど、本気の彼は私よりも上の力を持つわ」


「な…!?本当に…?」



司は驚いているようだ。



「じゃ、じゃあ…まぁいいわ。味方は一人でも多いほうがいいものね…。

 とりあえず自己紹介をするわ!

 私は1−Dの夕見司…優の幼馴染よ。ミス研の部長代理をしてるわ」


「じゃあ次は俺が…

 2−A組、瀬那(せな) (みのり)

 色白なだけで別に病弱じゃないから…そこんとこよろしく。

 あとミス研では部長補佐やってるんで…ちなみに霊感はあるけど強くはない。

 感じる位か、多少見える程度だ」



「…瀬那先輩、体鍛えてますよね…?武道か何かやってるんですか?」



勇が突拍子もなく質問した。



「!…わかるのかい?まぁちょびっと…さ」



すごい…ほんとなんだ。

そういうのって見てわかっちゃうものなのかな?

私にはさっぱりだ。



「じゃあ次は僕が…同じく2年。

 C組の日下部(くさかべ) 新二(しんじ)です。

 ミス研ではまぁ…目立たない調査やら、サイトの更新やら…裏方全般やってます…。

 ちなみに霊感はないです…」


「日下部先輩は大きいですね…190近いんじゃないんですか?

 須藤さんと同じくらいだ!」



と、再び勇が絡む。

ほんとに人懐っこい人柄である。

初対面でここまで普通に接するってある意味尊敬できるわね。



「俺は岡島(おかじま) 大樹(だいき)!見ての通り力作業要員だ!

 新二と同じ2−Cだ!よろしくな!ちなみに俺も霊感はないっぽい!」


「岡島先輩ガッチリしてるから…どう見てもミス研ってより柔道部ですよね…」



と相変わらず裏表のない率直な意見を言う勇。

この男…ほんとズバッと本音をいうなぁ…。



「最後は僕か…椎名(しいな) (はじめ)。部長代理と同じ1年D組。

 まぁこの部のブレインとでも思っていただければいいよ」



クイッとメガネを上げて生意気そうに言う。



「と、まぁ…少々個性的なメンバーよ!

 部長はちょっと今休学中だけど…なんとか5人で頑張ってるわ」



「自己紹介は以上ね。本題に入りましょう。

 司のことだからろくでもない事だとは思うけど…まぁ聞いてみましょう」



「…むかつくけどしょうがないわ。

 私達の街から少し北にいったところに森があるのを知ってる?」


「…緒斗(おと)の森?」



さほど巨大な森林ではないけど、何故か入ったものが迷うという…いわくつきの森だ。

実際自殺者や、行方不明者の死体が見つかるなど、心霊スポットにもなっている場所だ。



「そう。まぁ流石に有名ですものね…知ってて当然か。逸話もご存知?」


「えぇ…自殺の名所であり…心霊スポットとしても有名よね」



「私達の聞き込み調査で掴んだネタなんだけどね、あの森の何処かに洞窟があるらしいの…。

 見つけること自体も難しいらしい上に、中から奇妙なうめき声を聞いたそうよ。

 その話を聞いてピンときたわ。

 恐らく、森を惑わしている"大本"がその洞窟にいる可能性が高いと私は踏んでいるわ」


「まぁ…私も聞いたことしかないからなんとも言えないけど…

 霊的な力でそういった現象が起きている可能性はあるわね…。

 だけど洞窟の話は信頼できるの?」



この子の調査って、自分のサイトに寄せられる匿名投稿やら、

他のサイトや掲示板を巡って獲た情報だろうからね…あまり信憑性の高いものじゃなさそうだけど。



「確かな情報と聞かれると…確証はないわ残念ながらね。

 でも興味深くはあるわ。…いい機会だからね調べてみない?」


「…。興味本位で霊地を荒らすのは私個人は賛成しかねる…。

 だけどこれ以上死人が出るのも問題ではあるわね…」



はぁ…。

奇麗事を言ってみたところで、正直ワクワクした自分がいた。

この1ヶ月何も無かったからかな…不謹慎だな…私。



「ところで、なんで私に声をかけたのよ?」


「わ、私達だけでは不安だったからよ!悪い!?

 幼馴染がこうして頼んでるんだから協力しなさいよッ!」



この子、相変わらずビビりというか…。



「わかったわ…仕方ない…協力してあげるわ!

 でも一つ約束して。私が無理と判断したら引き返すからね!

 いい?約束できるなら協力するわ」


「わかったわ…それでお願い。

 (よし…うまくいった。嫌な子だけど力だけは認めてるからね…)」



何か企てる気がしないでもないけど…まぁいいか。



「で…天城君はどうする?ついてくる?」


「…正直ビビってます…。

 霊感はあるけど、霊は相変わらず怖いので…。

 でも…僕にはあなたを守る使命がありますのでついていきます!」



あ、あはは…。



「じゃあ決まりね!出発日時と集合場所は?司」


「今夜よ!今夜0時に学校へ集合!

 人に見つからないようにね!」



今夜って…相変わらず突然そういうことを…。

こちらの都合はおかまいなしってか!


というより…私に用事が無い事を読まれてたようで…何だかしゃくだわね。



まぁ結局押し切られて0時に学校集合となった。

お姉ちゃんに本当の事を言えば、止められるだろうなぁ…。



むう…これはやはりこっそり行くしかないか。




―――

――



7月25日(土)AM0時0分・学校



「むう…なんで誰も来ないのよ!」



司は一人イラついていた。



「悪い…ちょっと遅れたかな?」



ミス研二年生トリオがこっそり現れた。



「遅いわよ!何してたのよ!」


「しーーッ!声がでかいッスよ部長…。

 俺らだって夏休み早々問題になるなんてゴメンっすから…慎重に行動してくださいよ」



「むぅ…たしかにみのりんの言うとおりね…ごめんなさい…。

 それにしても優の奴ちゃんと来るんでしょうね!」


「あら?ご挨拶ね。

 なんだったら帰りましょうか?」



噂をすればなんとやらである。


司の後ろに半ギレ優が立っていた。



「あ、あら優さん…ごきげんよう」


「ふん!」


ま、まぁ時間に遅れた私が悪いんですけどねッ!



「あとは一と天城君か…」



数分後―――


ほぼ同時に二人も合流した。



「すみません。ちょっと手間取っちゃって…」


「…すんません部長」



「まぁいいわ。これで全員揃ったわけだし。

 これから北の緒斗の森に徒歩で向かうわ」



『徒歩ーー!?』



一同全員ハモった。




「シーーーッ!あんたたち静かにしなさいよッ!」



ま、まさか徒歩とは…。

そうだよ…よくよく考えたらこんな時間にバスや電車が出てるわけないわ…。



「あんた達だらしないわね!たかだか1時間ちょっとでしょ!

 全くだらしない!」


「部長…ちょっといいかい?

 僕の事前調査によれば、この時間帯…人目につかないように大通りを避けて歩けば

 2時間は掛かる計算になるんだが…」



一がモバイルを開いて説明した。



「…ま、まぁ…頑張りましょう!はは…」



この無計画女はぁ…ッ!



7人はしぶしぶ徒歩で向かう決断をした。



―――

――


2時間30分後―――



「はぁ…はぁ…」



な、なんなのよ…この罰ゲームじみたナイトウォーキングは…。



「ここが…緒斗の森…」



皆がへたり込む中、勇と瀬那稔は森を眺めていた。


天城君と病弱そうな瀬那先輩は全然元気そうね…他は皆バテてるか。



「なんだか夜ってのもあって凄い怖いんですけど…」



と体の割りに小心者の岡島大樹が呟いた。



「真っ暗すぎですよ…マジで入るのかい…?部長…」



同じくビビっている長身の日下部新二。



「…はぁ…はぁ…」



すでのそれどころではなく、つかれきってる椎名一。



「…優…どう感じる?」


「…外から見た感じはただの森くらいにしか感じないわね…。

 中に入ってみましょう…」



司はバッグから懐中電灯を人数分取り出した。



「いい?絶対にはぐれないように、なるべく距離を詰めて歩くこと。

 時折点呼を取るわ。夜の森って事もあるし足場とかも用心してね」



こうして私達の夏休み初日は幕を開けた。




第13話 完   NEXT SIGN…

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