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ギ家族  作者: 釧路太郎
花咲百合編2

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百合 その六

 女弁護士は毎日私に会いに来てくれているのだけれど、それはきっと仕事だからなのだろう。

 友達になりたいとかそういった感情は無いのだけれど、違う形で知り合っていたとしたら、これほど頻繁に会うことも無いのだろうなと思っていた。

 女弁護士の名前は私の名前と似ているのだけれど、それがどうしたのだというくらい私は興味を持てなかった。


「百合さん、喜んでください。この前話していたことがかなりいい方向に進んでいますよ。ライターの谷村さんの書いた記事が世間に好意的な印象を持たれているみたいです。ああ、好意的と言ってしまうと誤解を生むかもしれませんが、私達にとってとても良い方向に進んでいます。裁判の結果もわからなくなりそうですよ。このままいけば、百合さんは死刑を回避出来るかもしれません。そのためにも、もう少しだけ百合さんも頑張ってくださいね」

「私が死刑にならないなんて、本当に許されることだと思いますか?」

「そうですね。正直に申し上げますが、事件の概要だけを聞いてしまうと死刑が妥当だと思います。でも、あの土地にかかわる呪いが原因だとしたら多少は同情してしまうんだと思いますよ」

「呪いですか。私はそんなものがあるとは思えないのですけど」

「本当にあるかどうかは問題じゃないのです。大事なことは世間がどう捉えるかなのです。百合さんが行った行為はハッキリ言って異常なんです。どれほどの恨みがあったとしても、実の妹をあんなに何度も刺すことなんて出来ないと思います。世間の人はそんな事をしてしまった理由が知りたいと思うのですが、それは個人の恨みからくるものではなく、その土地にまつわる過去から続く因縁だと思いたいのですよ。その方が多少は理解できるんじゃないですかね」

「そんなもんなんですね。でも、どうしてそんな事を信じるようになったんですかね?」

「色々と理由はあると思いますが、私が記者会見を毎日開いているのはお伝えしてると思うのですけれど、最初の記者会見の時にあの土地に関するオカルト的な記事を紹介したことの影響が大きいと思います。事件報道に進展が無かったこともありますが、思いがけない方向に進んでいってしまったので、世間の関心がまだ明らかになっていない犯行動機よりもそちらに向いたんだと思いますよ。一般の人は真実を知るよりもエンターテイメント性の高い情報の方が関心を持ちますからね。こんな言い方は何ですけど、過激な事件の詳細を説明するよりも、呪いとか怨念とかそういった話の方がテレビでも扱いやすいですからね」

「私には理解できない話ですけど、本当に呪いとかあるんですかね?」

「歴史を振り返ってみても、呪いじゃないかと思うような出来事は数々報告されていることですし、実際にあるとは思いますよ。実際にあるとしても、それがどのような状況で影響を与えているのかはわかりませんが、百合さんの場合はその影響を受けていると言っていいと思います。むしろ、影響を受けていると言ってもらって構わないです」

「私にはにわかに信じがたいですが、そんなに世間では呪いって一般的な出来事なんですか?」

「一般的ではないと思いますけど、今回の件をきっかけに呪いを調べている人は多いみたいですよ。私が紹介したサイトの中でも呪い関連の記事のアクセス数が急増しているみたいですからね」

「私には呪いがかかっているとして、そんな人が言ったことを信じるのっておかしくないですかね。呪われているなら呪いにとって都合のいい事しか言わなそうですけど」

「それならそれでいいんですよ。呪いによって心神喪失状態だと認定されたとしたら犯行時の責任能力が認められない可能性が出てきますからね。そうなった後は、誰かに呪いを解いてもらえば百合さんも晴れて自由の身となるわけです。どうですか、希望出てきませんか?」

「そんな事をしても大丈夫なんですかね?」

「大丈夫ですよ。呪いの正体なんて誰もわからないですからね。わからないことはどうしようもないですし、きっと何とかなりますよ。それと、呪いの記事を書いているライターさんが百合さんに面会を申し込みたいとのことなんですが、百合さんは面会をしても大丈夫ですか?」

「はい、私は問題ないですよ。ところで、菖蒲ちゃんは何か言ってきてたりしますか?」

「木戸さんは特に何もないですね。一度会いに行ってみたのですが、百合さんの名前を出したら芳しくない反応が返ってきましたね」

「そうですか。じゃあ、菖蒲ちゃんの事はもういいです」

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