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ギ家族  作者: 釧路太郎
ライター編

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ライター その六

 出てきた料理が美味しかったおかげなのか、当初の予定よりもお酒が進んでしまっていた。

 一応、飲んでも酔わない範囲で楽しんではいるのだけれど、桐木さんが連れてきてくれた舞島さんは少し出来上がっているような感じだった。

 一点を見つめたかと思うと急に笑い出していたり、桐木さんの肩を執拗に叩いていたりと普通の様子ではなかった。


 このままだと取材もちゃんと出来ないなと思っていたのだが、俺が桐木さんに花咲容疑者の名前を出したところ、舞島さんは花咲という言葉に反応して俺の顔をじっと睨みつけてきた。


「ライターさんって花咲さんの何なんですか?」

「何なんですかって言われましても、俺は花咲さんの事を調べているだけで関係は何もないと言えばないですけど」

「ホントですか。もしかしたら、ライターさんが本当の旦那さんなんじゃないですか?」

「本当の旦那さんとは?」

「花咲さんって結婚しているって自称してますけど、あの人は未婚ですよ」

「噂だと、旦那を妹さんに取られたのが原因で逆上したって話ですけど」

「そんなわけないじゃないですか。私は花咲さんの友達でも何でもないですけど、あの子の妹が結婚したのは花咲さんとは関係ないんですから」

「それだと警察発表と異なると思うんですけど」

「そりゃそうですよ。あの時は何も裏を取らないで発表したってことですから。警察なんていい加減なもんなんですよ。どうせ、犯人もわかっているし犯行動機だってどうだっていいって思ってたんじゃないですかね」

「どうしてそんなことがわかるんですか?」

「だって、おかしいじゃないですか。あんなに良く出来た妹夫婦を誰も悪くないのに自分の中で膨らんだ妄想が原因で殺すなんておかしいですよ。おかしいって思いません?」

「花咲さんの中で膨らんだ妄想ってどういうことですか?」

「だって、あの子は妊娠もしてないのにいきなり産休をくれって言いだしたんですよ。子供も出来てないのに産休っておかしいですよ。一応、社長も交えて話をしたんですけど、産休が欲しいって言っているだけで子供が出来ている様子もないし、子供の父親の話も一切してくれないんです。産婦人科にも行っていないっていうし、私も社長も困り果てていたんですよ。急に怒鳴り出したり泣き出したり情緒不安定な面も見えたので、彼氏に振られたのかなと心配もしてみたんですけど、そもそもあの子に彼氏がいたことが無いらしいんですよ。いつも妹の彼氏を見てて自分が付き合ってるって感覚になってたんですかね」

「それが原因で家族を皆殺しにしたとでもいうつもりですか?」

「そうかもしれないけど、違うかもしれないですよ。もしかしたら、『何か良くないもの』があの子に取りついて悪い事をしちゃったのかもしれませんね。そうだとしたら、あの子は自分の意志で家族を殺したんじゃないってことになるんですかね?」

「それはどうでしょう。そうなる可能性もあるかもしれませんが、たぶんそんな事にはならないんじゃないですかね」

「どうしてそう思うんですか。あの子は自分の意志でやってないかもしれないんですよ。呪われているだけかもしれないんですよ」

「それが本当だとしても、警察はもう花咲さんが自分の意志で犯行を行ったって決めて捜査してますよ。証拠も全て完ぺきに揃っていると思いますし、あとは動機を自供すれば終わりだと思ってるんじゃないですかね」

「もしそうだとしても、あの子が『ナニカ』に追い詰められているのは間違いない事じゃないですか。それを助けることって出来ないんですか。ライターなら何かあの子に有利になる記事でも書けないんですか?」

「申し訳ないが、舞島さんは俺の記事を読んだことあるかな?」

「カンナちゃんに今日の事を聞かれた後に少し読みましたけど」

「その記事を見てどう思ったかな?」

「こういう見方もあるんだなって思いました。ワイドショーとかは事件の背景に何があったのかとか人間関係のもつれなんて言い方をしてましたけど、ライターさんの記事ってオカルトチックで良いなって思いましたもん」

「舞島さんってオカルト好きなんですか?」

「結構好きですね。呪い系のDVDとかレンタルに合ったらついつい借りちゃいますもん。ライターさんもそうなんですよね?」

「俺はあんまり見ないかもしれないな」

「えぇ、カンナちゃんは見るよね?」

「ごめんなさい。私は恐いのあんまり好んで見ないです」

「そっかそっか、それは残念だな。じゃあ、これから話すことはオカルトに興味ないなら意味のない時間になるよね。お酒のお代わり頼んじゃおうかな」

「舞島さん、俺は好んで見ないだけでオカルトは大好きなんです」

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