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ダークヒーロー1

あれから2カ月後、「順風満帆、今日も爽やか空の旅、軽やか円やか爛々ルー」

どうやらラインは、フライングボートを操舵しながら、意味不明な歌を歌っていた。

かなりご機嫌で何よりである。


マサルド周辺に点在する町村を訪れては、驚くべき観察眼で次々に商品を売りさばき。

神懸かった洞察力で、必要最低限の商品をマサルドで仕入れる。


一切無駄の無い仕事振りは全て地図から情報を得られる賜物だろう。

「商売において情報を制する事それ即ち成功なり。」


まあ街単位でアナライズ出来るから、客が欲しがっている物は、地図を調べるだけで、一目瞭然さ。成功は当たり前だろう。


後は街の町長や村長の所に行き、人を集めてもらうだけの、簡単なお仕事です。

一番権限のある人物の言う事は聞くだろう。

当然、集客の手間が省ける。

今では、商品を長に預けるだけで、売れるから、町一つにつき10分程度の滞在さ。


勿論謝礼として、長には、支払っているから抜かりなしだ。

皆欲しがっている商品が当然のように全て揃ってる。そりゃ爆売れですよ。

それをルート化すればいい。


それはいいが、問題もある。

他の商人の仕事がなくなってしまう事だ。

いや、全うに商売して勝ち取るなら、気にする事はないだろう。

だが反則技を使っている。新しくシステムを構築する必要があるかな。

今はいいが、後々おれを恨む者も出てくるはずだ。


自由都市マサルド・・・自由貿易制度が昔から導入されている都市で、都市規模での分業化が進んでおり恐ろしいまでの価格競争が盛んな都市である。


別名「商人達の戦場」ここでは、他国の安い品が大量に都市に出回る事により、今まで売れていた同じ品が売れなくなる。

そんなのは、日常茶飯事。低価格戦争が絶賛勃発していて、毎日最安値が更新するのも当たり前と言うくらい物価が安い。ここで仕入れれば、おのずと最安値になるだろう。


こんな過酷な環境で店を構えているデカリーはかなりの手腕の持ち主と言えよう。

どうやらラインもデカリーの血を受け継いでいるようだ。


◆◇◆◇◆◇ダークヒーローの噂◆◇◆◇◆◇◆◇

ガヤガヤガヤガヤ「ねーちょっと聞いた~最近西の森でさ~」

「私も知ってるわー格好いい剣士の話でしょ」ガヤガヤガヤガヤ

「キャーどうしよう私ドキドキしてきちゃったわ」


マサルドの西門より北東に2キロほど進んだ先には広場がある。

西門を入って北東の路の両側には赤い屋根で統一したお洒落で、可愛い3階建ての家々が、建ち並び訪れる者をメルヘンの世界に誘う。


また道端は、荷馬車が両側通行出来るように広く設けられていて、その真ん中にある青空市場では、威勢の良い客引きの声が飛び交い多くの冒険者でごった返している。


そんな路を2キロ進んだ先にある広場では毎日フリーマーケットが行われており、路上パフォーマンスなどもいる為、こちらも多くの冒険者でごった返している。


俺は、そんな市場で仕入れをしながら、井戸端会議中のおばちゃんたちの話を、聞いていた。

おばちゃんたちは勝手に妄想を膨らませているだけで適当な事言ってるが、冒険者達の間でもかなり噂されており、色々話を聞く事が出来たが、正直ぱっとしないな。


曰く、剣士が助けてくれたとか

曰く、剣士が冒険者達をボコボコにしてたとかも

曰く、剣士の顔が凄く美形だったわよみたいな

曰く、剣士がいきなり商人になったんだ

曰く、剣士様に見詰められたらどうしようなど


「んー勘違い系のも混ざっているが、魔物だよね。まあ情報がバラバラ何だよな。これだけ噂になってたら、冒険者ギルドが動いているはずだろう。ちょっと調べてみるかな。」


俺は、マル秘ノートを見ながら仕入れた商品を荷馬車の中に積んで、特別な布袋に入れ、ギルドに向かった。


フッハッハッハッ俺は、本能より理性が勝る男だ。

どうよ荷馬車を使ってやったぞ。

荷馬車に商品を先に積むのは、不自然に思われない配慮だ。


「5アナライズ」を発生させる魔法アイテムは普通に売っていたのでそれを光石に感染させ「4アナライズ」にした。、それと地図をリンクしてみた。

検問所とか身分確認する時使う機械の強化型だな。

勝手に地図を「4アナライズ」して、マル秘ノートに自動更新するシステムを構築した。

これにより、マル秘ノートを見るだけで、今日仕入れる品が解ってしまうという反則技だ。


マル秘ノート、これ一冊で良い、済んだ用事は消えて、新しい情報だけを自動更新していく。当然盗まれないように俺しか見えないし、触れられないように細工してある。


特別な布袋、1m四方の大きさ。腐らない。劣化しない。中身を世界中どこでも取り出し可能、もちろん盗まれない、マル秘ノート同様細工してある。

そんなこんな馬車を走らせ、冒険者ギルドに到着し中に入ると、相変わらず冒険者達で中はごった返していた。

まあ慣れだな。掲示板を見ながら


「魔物となればブラックリストだろ。あったこいつだな。シェイプシフターか。マサルド西の森周辺ね。

こいつは、擬態出来るから、噂とも一致するし間違いないな。」


倒されてないのか。

かなり強い魔物だろうな、よし受付だ。


「では、ライン様集合場所ですが明朝6時にマサルドの西門になります。こちらがチームアップメンバーのリストになります。御武運を。こちらが前金になります。」


なるほどね。初対面でもある程度コミュニケーションや連携取れるようになってるな。

小隊は4人一組で、森を探索見つけ次第即排除、成功報酬は、山分けになりますか。

どうだろうな。大人数でやっつければ良いと思うが、冒険者達のプライドかな?

まあ良いか。


魔法使いランド、僧侶ローザ、剣士アッシュ、商人の俺

どう見ても、場違いな感じが、半端ないんですけど。

気にしないでおこう。

特徴は載っているけど、外見解らないな。「4アナライズ」を使えばなんとでもなる。自宅で考えよう。


俺には商人ならではの安全な戦術がある。

強力な武器を貸し出して後ろで、応援すると言う素晴らしい戦法だ。

半分冗談だが、それに闇属性散弾銃ダークネスの性能も調べておきたいな。知識としてはあるが勿論試し撃ちもしたが、実際魔物には使ってないなからな。これを売りに出すにしても実戦データが必要だしな。


次は武器屋だな。

「おっあの時の兄ちゃんじゃないか。今日は何の武器をお望みだ。おっとそう言えば自己紹介がまだだったなダールってんだ、よろしくな。」


ダールさんか、この人ムキムキマッチョだから、元冒険者だろうな。

商人って柄じゃないがまあ言ったら怒られるからよそう。


「俺はラインって言います。よろしくです。ダールさん、メイスとロッドと特技系の両手剣を探してまして、予算は200万Gです。」


商人VS商人は最初が肝心だ。

ガツンと金払い良くしてペースを掴む。


「おうおう、相変わらず若いのに、羽振りが良いな。まさか悪い事でもしてんじゃないか。まっ俺には関係ない話だが、捕まったってしらねえぞ。っておっと武器だったな。ミスリル製のメイスとロッドだろ。特技系ならコイツの出番だろ。アダマン製の両手剣、内訳はメイス52万、ロッド57万、剣85万締めて194万Gだ。」


商人目線から言うと、貴重な金属の武器をひょいひょい出すおっさんこそ悪い武器屋だろ。

悪さでもしてなきゃとても出せない値段だ。

ミスリルにしても相場80万~400万はするし、アダマン製なら120万~550万はする

どっちが悪人か解ったもんじゃないな。


消費者なら逆だが、当然買いだな。

鞄から200万Gを出してカウンターに置いた。

釣りは要らないな。

むしろ得したのはこちらだし。


「毎度あり。ラインさん、また何かあったら是非うちの店を使ってくれ。よろしくな。」


口調が変わったぞ。若い俺に対してさん付けか。

この人やっぱりプロだ。

多分、これは駆け引きと見た。


表向きには出さないが、武器は利益無しの元値で出したのだろうな。

となれば今後の取引相手として信用足る人物って事になる。

そんなこんなで店を後にした。


さてと、ここからは悪い事するか。

ダールさんには悪いが、もっと性能の良い武器を造らせて貰うとしよう。

まずこの三本の武器に、ランドの適性属性は風か。ならロッドに風光石を当てて風神のロッドに

ローザは、光か、光神のメイスに

アッシュは、水ね。水神の両手剣の完成


これで、あの三人に貸し出しすれば、思う存分実戦データがとれそうだな。


「4アナライズ」


アッシュ、30代男性、皮製の鎧を着た背丈190cmくらいの黄色で渋めの短髪ナイスミドルだ。金属製じゃないって事は、防御より攻撃そして、機動性重視だろう。


ローザ、20代前半の女性だね。金髪を動きやすいように肩辺りに揃えてある。165cm肌は白人で茶目っ気たっぷりな小悪魔系の顔をしてる。アッシュと同じく皮製の鎧を着てるね。


ランド、歳はローザと同じ位、男性だね。麻製のローブに身を包み、肌は白180cmくらいか、ソフトモヒカンが特徴の中々のクールガイだな。

今日は寝るか。



「俺の名前はラインって言います。商人をしてます。皆さんの足手纏いにならないように頑張ります。よろしくお願いします。」

マサルドの街は広い。マサルドの街の周囲を遠大の外壁が囲んでいる。この広さの街を全て囲むように外壁が続いている。

ちょっと解ってきたから敢えて言うが、

金のかかりかたが半端ないんですけど、

流石は商人の街って事で

俺には、見慣れた外壁だけどね、

西門には、入国の手続きをするため冒険者達や商人達が自分の出番を待っている。


「俺の名前はアッシュ、ラインかよろしくな。後ろにいるチャラいのがランドで、可愛いのがローザだ。」


このおっさん、スゲ~感覚の持ち主だ

いきなり仲間にこの仕打ち中々出来る。


「アッシュさん、チャラいは酷いでやんすよ。ラインさんよろしくでやんす。」


やんす?これまた凄い癖のある喋り方だ。


「ウフフっアッシュてば、本当の事だから許してあげるわ。ラインさんね。よろしくね。」


こっちの女の人は、ほっといたら悪戯してきそうな雰囲気があるね。

美人と言うより可愛いと言える容姿だろう。


「ところで、行く前に皆さんにお渡ししたい物がありまして、勿論終わったら返していただきますが、商人として皆様の足手纏いにならないように、私は考えました。このまま同行すれば確実に足手纏いになります。そこでサポートさせて下さい。こちらの武器を用意しました。この武器は壊しても構いません。どうか使って下さい。試作品といえど、性能はテストにテストを重ね実用に足る物です。」


武器は渡したが、予め適性属性を調べてある。

愛用の武器なんかより、馴染みが良いはずだ。

持った瞬間体感出来るだろうね。ダークネスのように

さてと、どんな反応をみせてくれるだろう。


「おおっこの武器は凄いな。持った瞬間から、何故か懐かしさを感じる武器だ。こんな感覚今までにない。」


よし。思った通りの反応だな。


「これ凄いでやんす。この武器なら、おいらでも、凄い魔法が使えるでやんすよ。」


流石は魔法使いだな。マナを取扱うだけあって、その武器の性能に気付いたか。


「キャハハッねえねえアッシュてば、これを見て見てこの武器凄いわ。えいっ」


えいって、あんたなにしてまんねん、あーランドさんが、蛙になってる。

ゲコ、ゲコゲコゲーコ、ゲコゲコ

なんかゲコゲコ言ってるぞ。すみません。蛙語はわからないっす。

やっぱりそういう系か、見るからに悪戯したそうだもんね。


「まあランドったらお世辞が上手いわね。ウフフフッでも中々似合ってるわよ。そうね~よく見ると食べちゃいたいくらい美味しそうね。でもしょうがないから戻してあげる。それっ」


つか蛙語わかるのか。

しかも文句じゃないお世辞?

いやいやお姉さん。それは流石に不味いだろ。食べるのはよせって。

あっ元に戻った。

アッシュさんも、アッシュさんだ。絶賛大爆笑中で止める気配0

って事は三人とも馴染みの深い仲間同士って事かな。

天然にして、悪戯大好き疑う余地ないな。

ランドさん、お気の毒に

◆◇◆◇◆◇◆◇ダークヒーロー◆◇◆◇◆◇◆◇


一方「ウフフッ今日も私を、退治に餌共がノコノコとやってきたようね。何度来ても同じだわ。」


赤毛、炎を連想させる髪型であどけない面持ちを、残しながらも美少年と言うに相応しい容姿をしている。180cmくらい黄色、金属製の黒い鎧を軽量にしたハーフプレート、片手剣にバックラーを持つ、恐ろしいまでの機動性がある。


どうやら容姿は男だが喋り方は女のようだ。

擬態出来るから、元の性別はそうなのだろう。

魔物。正しく知恵があり、人語を理解している。


それっ「ウギャー」戦士はマサルド教会に飛ばされた。

そっちの殿方も「グワー」剣士はマサルド教会に飛ばされた。

あらやだ、もうここら辺の敵は弱すぎてお話にならないわ。

そろそろ場所移そうかしら。


西の森、マサルドの西に広がる森林地帯、都市に近いだけあって、経験の浅い冒険者達達が練習がてら、冒険するのに最適な場所になっている。

お決まりであるが、さほど強力な魔物が生息してないのが特徴だったのだが、コイツのおかげで、そのバランスが崩れようとしている。


「餌共がどうやら来たみたいね。」


◆◇◆◇◆◇◆◇

「気をつけろ!なにか来る。」

森の草むらから現れたのはゴブリンだ。

ゴブリンはこちらを伺うとすぐに襲ってきた。

キシャ~

「ここは俺がやる。ラインさんは、後ろに下がってローザ俺にクリティカル、ランド奴の足下を止めろ」

三人「了解」


アッシュ、「5水流斬り」


ランド、「5ストーンブラストを詠唱」


ローザ「クリティカル?を詠唱」


ローザはランドの鼻を豚っぱなにした。


ランドの「4グランドクエイク」ゴブリンの足下が一瞬に穴になりそこから手が伸び、ゴブリンを一瞬に引きずり込む。一瞬の出来事にゴブリンは為す術なく地面に呑みこまれて消えていた。


「行くぞ化け物水流斬ってあれっゴブリンどした。ってランドお前いつの間にそんな魔法覚えた。ってワッハッハ魔法のリスクかそれっ」


アッシュさん色々と展開がコロコロ変わり忙しいそうだな。

顔の表情がめまぐるしく変わってく。

いやあれは違う。断じて違う。

ローザさんの仕業だ


「えっどういう意味でやんすか。てか、このロッドやっぱり凄いでやんすね。」

「あらランド、どうしたのそのお鼻」


ランドさんがあまりにも不憫過ぎるだろ。

ここはこれだ。

どっからともなく鏡を出した。


「ランドさん、これ鏡です。どうぞ。」


ランドは鏡をみた瞬間、悟ったのだろう。


「どうしたのもこうしたもないでやんすよ。ローザ早く戻すでやんす。」

アッシュさん大爆笑中 


不味いやり過ぎたかローザさんがこっち見てるぞ。

目を逸らすのが得策か。

狙われたら一溜まりもないぞ。


「あらラインちゃん、ばらしちゃったの、しょうがないわね。ばれちゃったら面白くないわね。それっ」


ちゃん?いやいや待て焦るな俺。

俺は商人、如何なる時も動じちゃ駄目だ。

俺は冷静な男だ。

あのタイミングで普通やるか?

油断も隙もあったもんじゃない。

でもローザさん直感凄まじ過ぎるだろ。

だってそうだ。一瞬でメイス使い熟せてたし

さっきもまるで必要ないと言わんばかりに悪戯してたし。

さてと森の探索は続く





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