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第一話 異世界の仕組みやら判明した事の備忘録Ⅰ

 八歳になった。この世界で判明した事や仕組みなどを、その時感じた事もまじえて『秘密の備忘録』として書き記して行こうと思う。


・~・~・~・~・~・~・


 この世界は、殆どの者が魔法が使える事。これが普通であるようだ。魔法が使えない者は魔術道具作りや薬草を育てる事に秀でているなど、何かしら魔術にとって代わる物があるらしい。前世の私には取り立てて才能も得意な事も何もなかったから、羨ましい世界だ。


①太陽と光や明り、炎、楽しみ、希望や情熱、繁栄や栄光などを司るここ、彩光界(さいこうかい)

※もちろん光だけの国ではない。夜も普通に訪れる。ただ他国より朝昼の時間が少し長い。


②夜と闇、安らぎや眠る際に見る夢、ヒーリングなどを司る夢夜界(ゆめやかい)

※勿論夜だけの国ではない。朝昼も普通に来る。ただ少し他国より夕暮れから夜明けまでが長い。


③あらゆる風、空気、変化変容、広がり、交流、均衡などを司る風空界(ふうくうかい)

※勿論風だけの世界ではない。ただ少し他国より風は多く吹く。


④あらゆる花や花木、樹木、植物、優雅、薫り、美しさ、繁殖などを司る花緑界(かりょくかい)

※勿論花や植物だけの世界ではない。ただ、他国よりはかなり花と緑が多い。


⑤大地と鉱物、宝石、土台、安定、知性などを司る宝土界(ほうどかい)

※勿論大地と鉱物だけの世界ではない。ただ少し他国より土と鉱物は多めである。


⑥あらゆる水、川、海、泉、湖、滝、インスピレーション、浄化、慈しみ、情、命の誕生などを司る水命界(すいめいかい)

※勿論水だけの国ではない。ただ少し他国より川や海、湖、泉などは多めである。


 以上の六つの国で出来ているらしい。我が彩光界をトップに、五つの国が成り立っている。五つの内どの国が秀でてるとか上下が無いよう、各国で不可侵条約と和平条約とやらを交わして平和のバランスを保っているようだ。その均衡を保ち監視する役目を代々彩光界の王族が担ってきたらしい。


 更に、彩光界の王族に生まれた者は、まずは長男が国を束ねる。妻は他国または自国で娶って良い。男子が生まれなかったら長女が、他国より婿を取る事で王位を引き継いでいく。因みに婿を取るにしても嫁に貰うにしても、必ずしも王族である必要は無い。そんな掟となっていた。要は私を妻にすれば世界のトップに立てるのだ。だから、物心つく時から他国の野心に満ちた身分の高い男たちにちやほやされてきた。


 が、必要以上に近づかないようにしっかりと監視されていた。少し残念だ。逆ハーレムでイケメンに囲まれて左団扇で暮らす、憧れの一つだったから。まぁ、彼らは自分の野心を満たしたいが為にいたいけな女児に護摩を擦っているだけなのだが。


 そうそう、特筆すべきはこの六つの国を全体で見ると……。上には蒼穹が広がり、純白の雲海の中に六つの国がまとまっている。その国全てを包み込むようにして淡い虹色の膜に丸く包み込まれているのだ。いわば、イメージとしてはシャボン玉の中にまとまった六つの国、そんな感じだ。実際にこの目で見た事はないのだが、地球儀のこの世界バージョンのようなものを見せられ、各国の事を習った。


 言語は各国共通。前世で近い感じだと英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、ロシア語、日本語を混ぜ合わせて六で割った感じ……と表現出来ようか? 


 思うに、この世界は一種の隠り世とか桃源郷とか、ユートピアとか言われる場所の一つではなかろうか? 


 以上が、今のところ判明した事項だ。


 

・~・~・~・~・~・~・




 トントントン、筆を置いたところでノックの音が響いた。「はい!」と元気よく返事をする。筆は所謂白い羽のついた羽ペンだ。ノートは鳶色の皮製で辞典程の大きさ、勿論鍵つきだ。と紹介している内にササッと机の引き出しにしまい込んで鍵をかけた。その鍵はペンダントになっているので素早く首にかける。純銀製のト音記号に蔓薔薇が散りばめられたようなお洒落なものだ。


 侍女は静かにドアを開けた。


「失礼致します、セレスティアラ様。花緑界(かりょくかい)Alois(アロイス)様がお見えになりました」


 と声を張る。アロイスと聞いただけで勝手に鼓動が踊り出す。けれども平静を装い、何でもない事のように応じた。


「そう。では、いつもの果樹園で待っているよう伝えて」

「畏まりました」


 侍女がドアを閉めた途端、私は転がるようにして洗面所に急いだ。髪と服装を整え、仮面の具合をチェックする為に。


 アロイスは幼馴染だ。そう、私は彼に想いを寄せていた。


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