言葉の弾丸
今日も、素知らぬフリして、君に近づいた。
君が好き、なんて。
口が裂けても言えないから。
また笑って、君に近づいた。
「おはよう」
「ねえ、聞いて!」
「いい事あった?」
「教えてよ君のこと」
私から君に、言葉の弾丸。
誰よりも距離を詰めて、誰よりも君を知って。
誰よりも君を愛してる。
でもね、君からの弾丸は、私をいつも貫くの。
「彼女ができたよ」
「とってもいい子なんだ」
「すごくかわいいでしょ」
「大事にしてあげなくちゃ」
おめでとう、やったね。
私の口から、ぽろぽろぽろり。
思ってもないことばかりが溢れ出す。
ねぇ、誰よりも近くにいたと思ってた。
誰よりも君を分かっているつもりだった。
好きな人がいることだって知ってたわ。
だけど、君との距離を詰めていけば。
いつか私を見てくれると、信じてたから。
だから、この傷だって抱えていたのに。
癒えない傷のさらに上から。
言葉の弾丸、また貫いた。