第四話 家族
あっという間に卒業式が終った。
式の最中もハナが突飛な行動をとらないか、火武輝はハラハラしていたが、それはいらぬ心配であった。三年間の思い出に浸っていたのであろう。ハナはおとなしく最後まで席を立つ事はなかった。
式の後、友人達と写真を撮り、卒業記念と称し身ぐるみを剥がされかけながらも、心行くまで思い出を作り、二人は風見中学を後にした。
あまりに楽しかったため、自宅に着いたのは夕暮れ時。
疲れ果てた手で、火武輝は玄関の扉へと手を伸ばす。
ーーチリン。
開くと同時に、ドアの上にかけられた鈴が鳴り、我が家に帰ってきた安心感を火武輝に与えてくれた。
無事に帰宅してみると、見慣れない靴が二人を出迎えた。
質素な玄関にまったくそぐわないド派手なエナメル靴が一つ。
それは、鮮血を思わせる情熱の赤。
上品さより目立ちたいという願望が如実に現れた、いきすぎたデザイン。
いくら一本、いや、二本、三本ねじがはずれたハナでさえ、こんなものは選ばない。
これを堂々と、なんのちゅうちょもなく履けるのは、あの人くらいのものだろう。きっと横にいるハナも同じ事を思ったに違いない。火武輝は来客にあらかた見当を付け、二階へと上がる。
『ただいまー』
『ただいま』
リビングのドアを開けた瞬間、酒気と共に二人の顔に肉圧がかかる。
柔らかく巨大な水風船を押し付けられたような感覚が火武輝を呑み込んでいく。
後頭部からは圧力がかかり、徐々に底なし沼へと沈み、肺に残った酸素は一気に空気中へと飛散した。
『ぐぅ......うぅ......しっ、死ぬー!』
息苦しさに耐えかね、火武輝は勢い良く顔を上げた。
もうろうとする意識の中、火武輝の目線の先には、やっぱり。
予想通りの人物がいた。
『おかえり〜ハナ&ブッキ〜』
緩やかなカールがかかった金髪に、黄金の瞳。口元の小さなほくろが、色っぽい顔つきをより官能的な印象へと昇華させている。高級そうな白いスーツを身にまとい、短いスカートからは美脚が伸びる。それを編み目の大きい淫美なタイツが締め付けている。シャツから溢れんばかりの胸で二人を抱き寄せるこの酔っぱらいは、セクハラ大魔神=シーラ : ヴェルフォーレその人だった。
シーラは父親の古くからの友人で、こと憑神家のイベントには、必ずと言って良いほど出没する。誕生日会、入学、卒業式はもちろん。火武輝が初めて下の毛が生えた時にも、どこからか情報を聞きつけ赤飯を持って押しかけてきた。
普段は、どこぞの学校で教鞭を執るっているらしいが、火武輝もあまり詳しくは知らない。なぜなら、何度聞いても『精霊の国よ♡』と言って、はぐらかされるからだ。
家が近所ということもあって、両家は昔から家族ぐるみの付き合いをしており、火武輝やハナにとっては歳の離れた親戚のお姉さんのような存在であった。
そして、家族以外でハナの秘密を知る、唯一の人物でもあった。
『シーラちゃん、いらっしゃい』
遅れて顔を上げたハナが、息苦しさなど微塵も感じさせぬ表情でシーラを歓迎する。
『二人とも卒業おめでと〜!これでやっと気兼ねなくヤリまくれるね〜』
そう言うとシーラは二人から手を離し、右手を前に突き出す。
親指は、人差し指と中指の間に挟まっており、いわゆるFUCKシンボルというモノを作り出す。
『なんでそうなる!てか酒くせー!こんな時間から飲んでんじゃねー!このダメ人間!』
『え〜だって、もう夕方だよ〜。それに〜お祝いの席って言ったらお酒でしょ?女体盛りでしょ?酒池肉林でしょ〜?』
『なるほど』
それは思いつかなかった、と、ハナはポンっと手を叩く。
『前の部分はともかく、後の二つは、横にいるバカにいらん知恵を与えるからやめてくれ』
『あ〜ん。ブッキーが、つーめーたーいー。なに?反抗期?それとも『いかがわしい犯行におよぶ鬼畜』と書いた犯行鬼?それならシーラちゃん大歓迎よ〜』
『そんな日本語は存在しない!』
『うそー!!!』
シーラは驚愕の表情を浮かべる。
『なんでびっくりしてんだよ!あんた教師だろうが!こっちがびっくりするわー!』
『だってだって〜!こないだ読んだ、陰部 乱子先生の『そのとき姉は、犯された』に書いてあったよ〜』
シーラが言う、このふざけたペンネームの人物ーー陰部 乱子とは、三年前に流星の如く現れた謎の作家だ。官能小説を得意とし、息を飲む生々しい描写や、誰も思いつかないマニアックなプレイで多くの読者を魅了している。
出す本はどれもミリオンヒットし、今では『一家に一冊、陰部 乱子』と言われるほど、絶大な人気を誇っている。中でも、先月発売された『そのとき姉は、犯された』は、歴史上類を見ない大ヒットをたたき出し、世界的にも不動の地位を築いてみせた。
そんなベストセラー作家だが、その正体は謎に包まれていた。
なぜなら、担当編集者でさえ本人に一度も会った事がないのだ。仕事のやりとりは全てメールですませ、取材はおろか、どんな大賞を受賞しても決して表舞台に姿を現す事は無かった。
こういった逸話から本当は人間じゃないんじゃないか?と、噂する者まで出てくる始末だ。謎が謎を呼び、ついたあだ名は『幻想の性王』。徐々に都市伝説となりつつある、この怪しげな作家の正体とは、
『お前かー!!!』
火武輝はすごい剣幕で、横の人物を叱咤する。
『てへ』
ハナは舌を出し、自分の頭をこつんとぶった。そう、陰部 乱子とはハナなのだ。
ハナは非凡な才能を生かし、様々な分野で功績を上げている。その中でも、とりわけ精力的に活動しているのが、この陰部 乱子としての執筆活動であった。
先ほどからテへペロともとれる体制を維持しているハナだが、その表情は依然として無表情のままだ。
(こういう時はもっと可愛いらしい表情をするだろうが!なんだそのマヌケ面わ......)
火武輝は姉の不器用さに心底あきれるしかなかった。
『ねぇ〜りゃんこ先生〜。犯行鬼はいるよね〜?絶対いるよね〜?』
『いる。というか、それを所望』
期待を込めたハナの熱い視線が、火武輝に突き刺さる。
それをことごとく無視し、火武輝はシーラを諭しにかかる。
『乱子先生を、にゃんこ先生みたいに言うな。こんな変態と一緒にされたら作者の人怒るぞ。はぁ......てかさぁ......シーラちゃんもういい歳なんだから、ちょっとは落ち着いてよ』
『えー?なんで〜?シーラちゃんまだ200歳だよ〜ピチピチだよ〜』
『またそんな事言って......』
『えー本当だよ〜!あ〜ん!照〜!ブッキーが信じてくれない〜』
くねくねと体をくねらしながら、シーラは後ろへと助けを求める。
『はははは、仕方ないですよ。火武輝くんは、まじめな子ですから』
突如、キッチンから春風を思わせる爽やかな声が届く。
火武輝はその声の方へと目を向けた。
そこにいたのは、青年の面影を残した銀髪の男性。端正な顔立ちにかけられた眼鏡の奥からは、海のような青い瞳がキラリと光る。スラッとした体系ではあるが、決して痩せている訳では無い。カッターシャツの隙間から覗く肉体はむしろ、無駄なモノを全て削ぎ落とした引き締まった体といえる。
可愛らしい熊のマークが入ったピンクのエプロンをかけ、フライパンをふるっているこの人物こそ、火武輝と花水楼の父親。
憑神 照であった。
『父さんもシーラちゃんに何か言ってよ!また変な事言ってるよこの人』
『そうですねぇ。シーラ、300歳になったら少し落ち着いてください。あと、酒池肉林の際には、火武輝くんと花水楼ちゃんもまぜてあげてください。あっ!でも火武輝くんは花水楼ちゃんのものですから手を出しちゃだめですよ』
『は〜い♡』
『なんだ!その親にあるまじき発言はー!』
火武輝は照を指差し、勢い良く吠える。
『いーじゃないですかー酒池肉林。ヤリたい放題ですよ?それに、火武輝くんと花水楼ちゃんの子どもなら、絶対可愛いと思うんですよねー』
そう言うと照は瞳を閉じ、満面の笑みを浮かべる。楽しげなその表情は、未だ見ぬ孫の顔を、まぶたの裏に焼き付けているようにも思えた。
そう、これだ。
これが問題なのだ。
普通の父親ならこんな事は言わない。威厳ある態度で『このたわけが!姉弟でなんぞ絶対に許さん!』と怒ってしかるべきものなのだ。
だが、うちの父親は違う。
逆に『どんどんヤリなさい。なんなら赤ちゃんは、お父さんが育てますから』といった具合なのだ。ハナがこんな性格になったのも、絶対父さんのせいだ。火武輝はそう結論づけるしかなかった。
『だからおかしいでしょ?!なんで姉と乱れなきゃならないんだ!父さんはいつもそうやってーー』
『はいはい、分かりました。ちゃんと縛ってもらえるように、後で花水楼ちゃんに頼んであげますから。それより三人とも、席に着いてください。ご飯できましたよ』
照は、にこやかに話を打ち切る。
まるで、駄々をこねる子どもをあしらう様にさっぱりとした対応だ。
(ダメだ......ここには誰も味方がいない。なんで僕の周りには、アホしかいないんだ......)
厳しい現実に、泣きたくなる気持ちを抑え、火武輝は力なく席に着く。
続いてハナとシーラも椅子へと腰掛けた。
『はーい、お待たせしました。本日のメニューはこちらになります』
照は手際良くテーブルに料理を並べていく。
先ほどのやりとりで、すっかり憔悴しきった火武輝であったが、目の前に広がる絶景を目にした途端、一気に生気が戻る。
『うわー!すっげー!』
テーブルの上には、見るからにプリッとした食感が期待できるオマール海老のボイル。その横に色とりどりの野菜サラダが置かれ、上には生ハムが薔薇のように盛りつけられている。
他にも、じゃがいもの冷製スープに、ウニとホタテのクリームパスタ。そして極めつけは火武輝の大好物。バルサミコソースをかけた若鶏のグリルが、食欲をそそるこうばしい香りを放っていた。
『さっすが照〜』
『まるで宝石箱やー』
遅れてシーラとハナも、豪華絢爛な食事に賞賛を送る。
『さぁ、冷めないうちに召し上がれ』
その言葉を受け、三人は一斉に皿へと手を伸ばす。
ハナはオマール海老に勢い良くかぶりつき、シーラはスープをすすり幸せな表情を浮かべる。
火武輝も迷う事無く、お目当ての料理へとナイフを向ける。皮までカリッと焼かれた若鶏は、力を入れずともスッと刃が入り、切り口からはきらびやかな肉汁が溢れ出す。
一口大に切り分けた後、ゆっくり口へと運び、そして、噛みしめる。
その瞬間、火武輝はとろけた。
淡白な鶏肉からは考えられない程の肉汁が、口いっぱいに広がったのだ。
炭火のこうばしい香りが一気に鼻孔を駆け巡る。そこに追い討ちをかける様に、ハーブソルトと少し酸味の利いたバルサミコソースが、肉の旨味をよりいっそう引き立てていく。
芸術作品ともいえるこの一品は、噛めば噛むほど味わいを増し、えもゆえぬ幸福感を火武輝に与えていく。
幾度となく口にしているはずだが、火武輝は毎回この美味さに驚かされる。
だが、これだけでは無い。照が作るものはどれも絶品なのだ。
火武輝は生まれてこのかた、父親の料理より美味しいものを食べた事がなかった。
それは、至極当然の事であった。
憑神家の一階にあるレストラン『Primal Ocean』は、毎日大勢の人で賑わう。
店内はさほど高級感がある作りではないが、海が近いため窓からの景色は絶景とも言え、人気のデートスポットとしても有名だ。来店するお客は地元の人々や、観光客だけでは無い。なんと、全世界中からこぞってやってくるのだ。
理由はただ一つ。
世界一の料理人が織りなす、『神の 御技』と讃えられる料理を食すためだ。
どんなに舌がこえた美食家でも、どんなに忙しい政府要人でも、果ては、どんなに生まれが高貴な貴族でも、何時間並んだとしても食べたい!と言わせるのが、照のこの料理であった。
『お味はどうです?』
照は、にこやかに火武輝へと語りかける。
『最高!父さんの料理でまずいものなんて一つもないよ!さすが神の御技って感じ!』
火武輝の言葉に、ハナとシーラからも同意の声が上がる。
『ははっ、それはよかったです』
照は満足げに笑う。
一心不乱に好物をほおばる火武輝を見て、照は何かを思い出したのか、ゆっくりと語り始めた。
『火武輝くんが好きなそれね、母さんも大好きだったんですよ。母さんも今の火武輝くんみたく、いつも美味しそうに食べてくてれました。ふふっ、やっぱり親子ですね。よく似てます』
その言葉を受け、火武輝の手が一瞬止まる。
『......へぇ......そうなんだ』
火武輝は皿へと目を落とす。
『母さんか......』
誰にも聞かれぬよう、火武輝は小さくつぶやいた。
母親......。言葉としての意味は分かっている。しかし、それがどういうものなのか、火武輝には分からない。なにせ、火武輝とハナが生まれて間もない頃、母はすでに事故で亡くなってしまっていたからだ。それにどういう訳か、家には母の衣服どころか、写真すら残っていない。二人は、母の顔すら知らずに育ったのだ。
唯一、母の形見と言えるものは、二人が生まれた時に父から送られたブレスレットだけだった。
幼い頃は、それを寂しく感じたこともあったが、そんな時は決まって父が話してくれた。
『火武輝くんの髪と瞳の色はね、母さんから譲り受けたものなんです。それに、花水楼ちゃんの顔は母さんにそっくりなんですよ。母さんはもうここには居ませんが、二人の中で今もちゃんと生きています。だから寂しくなった時は、お互いを見つめて母さんを感じてください。それにね、母さんは君たちをとても愛していました。君たちのしてるそのブレスレットは、二人が幸せに暮らせるようにと、母さんがおまじないをかけてくたものなんです。だから、肌身離さず大切に持っていてくださいね』
そう言って父は、泣きじゃくる二人をぎゅっと抱きしめてくれた。
その時の温もりを火武輝は、大きくなった今でも決して忘れる事はない。
自分達がグレる事無く、真っすぐに育つ事ができたのも、父のその優しさのおかげだ。
そんな父に心から感謝の念を送り、火武輝は残さず料理をたいらげた。
思う存分食事を堪能した火武輝は、チラッと時計を見る。
時計の針は19時20分を指していた。
揚羽との待ち合わせは20時だが、遅れる訳にはいかない。
もうそろそろ出かける準備をしないとな。
火武輝はおもむろに席を立つ。
『僕ちょっと出かけてくる』
『えー!なんで〜!いーやーだー!ブッキーはシーラちゃんとこれから良い事するの〜』
シーラは火武輝の元へと駆け寄り、腕にしがみついてくる。
『あー!もう!すぐに帰って来るから!』
『ひーたんどこいくの?この時間じゃ危ない。ハナも行く』
そう言うと、ハナも席を立つ。
こうなる事は分かっていた。だが、今日ばかりはダメだ。
もしかしたら人生初の彼女というものが出来るかもしれないのだ。
火武輝は意を決して嘘をつく事にした。
『大丈夫だって!同じクラスの田中と福田に借りてた物を返しに行くだけだ。だからすぐに帰ってくる』
『何?そのいかにも嘘っぽい理由』
『うっ!』
ハナの目が、鋭く火武輝を見据える。
『......怪しい。かなりイカ臭い』
やばいな......。こういう時のハナは尋常じゃないほど勘がいい。
それに、もし揚羽と会う事がバレれば......。火武輝は頭を悩ます。
なぜかは分からないが、揚羽とハナは仲が悪い。
いや、一方的にハナが嫌っていると言った方が正解だろう。
ハナは人の悪口を言わない。だが、揚羽に関してだけは『あまり、彼女に近づかないで』と火武輝に忠告してくる。それで大げんかになった事もあるくらいだ。
火武輝がどうこの場を切り抜けるか頭をフル回転させていると、意外な所から助け舟が出された。
『まーまー。シーラも花水楼ちゃんも、そんなに火武輝くんをいじめないであげてください。火武輝くんだって男の子ですよ。いやらしい本の一つや二つ、友達と貸し借りするでしょ?ねぇ?火武輝くん』
まったくの事実無根だが、助かった。
せっかく父が作ってくれたチャンス。これを棒に振る訳にはいかない。
火武輝はありがたく泥舟に乗る事にした。
『もぅー父さんったら〜、なんでバラすのさ〜。まぁ、バレちゃあ〜仕方ない。そうそう、そういう事なんだ!悪いなハナ。今日ばかりはお留守番で頼む』
『うぅ......』
ハナはぷくっと頬を膨らませ照を見る。
そんなハナに、照は優しく微笑みかけた後、火武輝に言った。
『そうそう、火武輝くん。今日ブレスレット忘れていったでしょ?ダメじゃないですかー。最近物騒になってきてるんですから、ちゃんと付けて出てくだいね』
『!!!?』
『ちよっ!!』
このタイミングでそれを言うか!?絶対わざとだろ!火武輝は照を睨む。
照はそれを一切気にも止めず、『さぁ、後片付け、後片付け』と言ってキッチンへと戻って行く。
いつもは温厚なハナだが、ことブレスレットの事となると人が変わる。
以前、火武輝は一度だけブレスレットをし忘れ、家を出た事がある。それがハナに見つかった時、散々な目にあわされた。母の形見を粗末に扱った事への怒りもあるが、どちらかというと、魔除けの効果を火武輝が軽視してる事への怒りの方が大きいようだった。
科学が進んだこのご時世、魔除けなんて火武輝はこれっぽっちも信じてはいないが、あまりにもハナがうるさかったため、二度と忘れない事を約束し、やっと許してもらう事ができたのだったが......。
『ひーたん。どういう事?あれだけハナは言った。忘れるなと』
ハナは、両手の関節をバキバキと鳴らし近づいてくる。
その目には、情けなど一切かけぬという強い意志が込められていた。
『いっ!いや、違うんだ!ここ、これには深い訳があってだな』
火武輝は必死に言い訳を考える。だが、時すでに遅し。
『問答無用』
ハナは火武輝へと飛びかかり、強引に服を脱がしていいく。
『わ〜い!シーラちゃんもやる〜』
『ひいぃー!やめてぇぇぇー!!!』
楽しそうに戯れる三人を眺め、照はほがらかにつぶやく。
『ルーシェス......見てますか?僕らの子は、今日も元気ですよ』