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1-8 どれい....どれい?

一日ごとにpvが上がっていくのがうれしいです

ありがとうございます

 目が覚めると、そこは質素な部屋の中だった。

 周りには、俺と同じくらいの年(今の俺と、だが)の少年少女が何人も座っている。その顔には、一様に絶望が浮かんでいた。


 どういう状況なのか。

 これは、少し考えれば分かる話だ。


 これは、あれだ。

 奴隷。


 あからさまに裏に生きるものな男に攫われて目が覚めてみれば、絶望の表情の子供たち。しかも多数と来たものだ。

 多分、この世界の文明水準と地球の歴史を重ね合わせてみるに、無理やり奴隷にするために攫われてきたんだろう。

 他人事っぽく言ってるけど、当の被害者なんだよね、俺。

 ってことは、俺、絶賛ピンチ?

 もしかして、ロリコン貴族とかに売り払われてあんなことやそんなことをされちゃう?


 ....ムリムリムリムリ!

 絶対に嫌だ!女でも男に無理やり犯されるなんて嫌なのに、ましてや俺は男だぞ!絶対に嫌だ!


 でも、どうすればその最悪のBADENDを回避できるんだ。

 バックは奪われちゃってるみたいだし――うん?俺の柔らかい右太ももになんだか固い感触が....ち○こじゃないよ?そもそもこんな状況で固くなったりしないよ?


 触れてみると、それはまごうことなき、銃だった。

 ....ああ、なるほど。長めのスカートをはいて太ももにホルスターを付けているから見えなかったんだな。

 それは僥倖。これで脱出も夢じゃない?でも、バックは貰ったばかりだから奪われたままってのも忍びないし――よし、こうなったら仕方がない。


 俺の荷物が置かれている場所から荷物をひったくり、さっさとトンズラこく!


 あ~でも、この子達は放っておくのもかわいそうだな....。よし、帰ったらユウに言って、どうにかしてもらおう。

 なんか、チートっぽいしね。何だっけ、のーてぃてぃあ?

 ぷーくすくす、中二っぽーい。


 って、言ってる場合じゃない!

 まずは兵器召喚の能力で、FN57に互換性のあるサプレッサーを召喚する。サプレッサーというのは、装着することによって発砲音を少なくするというような効果がある筒状の装置だ。


 それを銃の先端付近に取り付け....よし、出来た。

 かっこいいぞぅ....うふふ。


 よし、じゃあこの減音銃で扉の鍵を打ち抜いて脱走するか。

 早速、扉の鍵に狙いを付けて――発砲。

 パン、という乾いた音が部屋にこだまする。


 うるさ!全然音消えてないじゃん!

 いや、確かに何も付けてないときよりは全然ましだけどさ....。


 仕方がない、速やかに作戦行動に移行せねば。


「ほら、早く逃げましょう!」


 じゃりっ子どもに声を掛ける。

 が、子供たちは誰一人として歩き出そうとはしない。むしろ、俺のことを....恐怖?が混じったような表情で見つめている。

 中には泣き出す子まで出てくるほどだ。


「? 早く出ないと人が来るかもしれません!」


 少し不思議に思いながらも、子供たちを急かす。

 すると、子供たちがいっせいに息を呑む音が聞こえた、気がした。

 みんなの視線は変わらず俺に――いや、違う。俺の後ろだ。


 即座に振り返ると、そこには剣を構えた男がいた。


「うわああ!?」


 びっくりしたぁ!っつーかびっくりしてる!

 急に後ろに立つなよ!気持ち悪いなぁ!


 男は、俺の体を舐め回すように見て....じゅるりと自分の唇をなめた。....気持ち悪いなぁ!視線が!


「へへへ....脱走しようとしたらヤってもいいって話だったが....こりゃあいい仕事だ!金も貰えて女ともヤれるんだからな!」


 ゾク、と全身に怖気が走る。

 さっきまでは「犯される」という行為は現実のものではなく、あくまで想像の域を超えては居なかった。だからこそ、笑い飛ばすことも出来たが――。


 今は、違う。

 目の前に、明確な敵がいる。


 ヤバイ。

 ヤバイヤバイヤバイ。


 頭の中で警告が鳴り響く。このままじゃあ、マジでヤバイ。精神的には男なのに、こんなところで乙女を散らすことになってしまう。

 まさか、剥き出しの欲望をぶつけられることがこんなにも....恐ろしいことだったとは。


 男が剣を振りかぶる。

 体が硬直して、動けない。


「おらぁ!」

「っ――!」


 間一髪。

 ギリギリで反応して、避けることが出来た。

 って、何で攻撃して来るんだ!?普通は....その....もうちょっと大事にしないと、使い物にならなくなるんじゃないか!?


 死姦か?死姦なのか!?

 

 と、その時着ていたシャツがはらりと落ちた。

 ギリギリで、避けきれてなかったみたいだ。シャツだけが切れるって....ラノベ!?


「思ったより成長してるじゃねぇか....」


 うわっ、きもっ。


「とにかく、俺は死体以外に興味はねぇんだ。お前ならいい死体になれる....ぜっ!」

「きめえええ!」


 すごいスピードで切りかかってくる男にビビり、反射的に銃を発砲する。

 血しぶきを上げて倒れる男。


 しばらくビクンビクンと痙攣した後、くたりと力が抜けた....。


 ぐ、グロい....。

 これ、俺が殺したのか....うぅ、吐きそう。


 とにかく、ここから早く脱出しなければいけない状況で吐いている場合ではない。出来るだけ男から目を逸らして、通路に出た。


 そこは、普通の廊下だった。

 いや、幅が結構広いし、貴族屋敷っぽいかも知れない。窓が完全に封鎖されていたので分からなかった。

 もしかして、俺を攫ったのはお金持ちなのか?


 何はともあれ、見つかったらただで済まないだろう。

 さっきの男も、脱走したらヤってよしとか言われてたみたいだし....出来るだけ隠密行動――


「おい貴様!貴様、脱走奴隷だな?」

「!? そ、そそそそそんなことないですヨ....?」

「嘘をつけ!侍女がこんな場所を上半身裸でうろうろしているわけないだろう!」


 ああ、そういえばそうだったな....。俺、今上半身裸だ....中身男だからあんまり羞恥心はなかったけど、確かに周りから見たらおかしいよな....。

 こうして俺の脱走計画は、一瞬にして潰えてしまった。


 ああ、俺、スパイには向いてないな。


 魔法で瞬時に拘束され、俺はどこかに連れて行かれる....。








「なあ、脱走した奴は殺していいって言ってたよな?」


 両手両足を縛られて地べたに座る俺の前で、首切り刀を構えた強面の男がそう、隣にいる細身の男に聞いた。細身の男は、顔を見られないようにするためか趣味の悪い仮面を付けている。

 脱走した奴は殺していい――。その言葉を聞いて、全身の体温が一段と低くなった気がする。


 ここはどうやら地下牢。それも、他人の目に触れさせることが出来ないような。

 つれてこられる途中で、血にまみれた牢なんてものを見せられた所為か、殺す、という言葉を酷く身近に感じる。


「いや、待て。こいつは未知の攻撃魔法を使うそうだ。それを考えると、高値で売れる可能性が高い。見た目も悪くはない。多用途高級奴隷は殺さないという契約のはずだ」


 お、いいぞいいぞ仮面男。

 頑張って俺を殺さない方向に持っていってくれ!


「ふむ....なら、次に脱走したら殺していいか?」

「そうだな、そこまで聞き分けの悪い奴隷なら少し、現実を知ってもらわなければならないな」


 .....うん、次は脱走せずに真面目に奴隷をしよう。

 死ぬよりはマシだ。あ、でも、ロリコンにヤられるのはナシの方向でお願いね?


「よし、貴様はこれから高級奴隷に昇格だ。出来る限りの奉仕スキルを習得せよ」


 じっと俺を見つめてくる仮面男。あ、俺に言ってるんですね。


「はい、分かりました」


 あ~あ、結局何の手がかりも得られず、奴隷戻りか~。

 

「高級奴隷用の部屋に入れておけ」

「分かった」


 首切り刀を持った男に案内されて、奴隷室(俺命名)へと連れて行かれた。







 あれから、自身の使えるツテというツテを駆使して優貴がどういう状況に置かれているかを調べた。

 マップを確認しながら町中を飛び回り、優貴のマーカーがマップに表示されるのを待った。


 そして、町の中央を通りかかったとき、マップにマーカーが表示された。

 注視すると、ポップアップ表示が現れる。そこには、優貴という名前と優貴のステータスが表示されていた。

 それは、ここら辺一帯を領地とする貴族の屋敷と同じ場所だった。


 オレのマップは表示範囲は狭いがその代わり情報量が多い。

 優貴が地下室に幽閉されているのは即座に分かった。他にも、何人も他の部屋に監禁されていることが分かる。


 ――やはり。


 オレの調べた情報によると、ここの領主は裏組合と提携して子供を攫い、奴隷として金持ちに売りさばいているらしい。

 この世界でも奴隷はあるが、犯罪奴隷と自ら奴隷になったものだけしか許されていない。


 今すぐに貴族の館に突入して殲滅、優貴だけを連れ帰ることは可能だ。

 だが、そんなことをすれば騒ぎになる上に、今後の問題は解決されない。かといって領主を殺せば、この町が混乱に陥る。


 どうにかしてこの腐った領主を引きずりおろし、マシな人材を領主に当てなければ。

 領主は人を攫って奴隷に売るだけではなく、もっと「酷い」こともしているらしい....。最悪の場合、領主を殺すことも視野に入れなければならない。

 オレは、仲間のためなら何だってする。出会って一週間とはいえ、優貴は仲間だ。


 ――幸い、優貴が売りに出されるオークションは来週。

 何とかして、状況を打開できる策を考えなければ。

最後はユウさん視点です


8/16 主人公ちゃんの言葉遣いを改めました

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