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1-6 レベリングの成果

 レべリングを始めてから一週間。

 銃の扱いにも慣れ、それほど遠くない場所ならば必中、とまでは行かないまでも、そこそこの命中率を叩きだせるようになっていた。


 が、それはあくまで副次的な効果だ。

 レべリングの目的は、当たり前だがあくまでレべリング。レベルを上げることにこそ意味があるのだ。


 そして、一週間みっちりレべリングをした結果....


「ほら、自分で見たほうがいいだろ?」


 ユウが何で出来ているかよく分からない板を俺に渡す。


「【レベルステータス】、と言えば検査できる」

「....レベルステータス」


 俺はレべリング中、一切自分のステータスを確認していない。

 つまり、最後に俺のレベルを確認したときには5、初めて魔獣を倒したときに知ったそのレベル以降、俺は自分のレベルを確かめようとしなかったことになる。


 それは何故か。

 単純に楽しみを取っておきたかったから!


 ....うん、それだけだけど、なにか?


 呪文を唱えてからしばらくすると、ぼう、と青い光が板の上に浮かぶ。

 その光はゆっくりと集まり、やがて文字となる。


「おぉ....」


 そこに記されていたのは――


『レベル:26

 スキル:銃Lv1

     兵器召喚Lv***

 称号:不遇転生者』


 そこに記されていたのは、簡素な表記。

 俺の目線は一点に集中する。


『レベル:26』


 事前に説明を受けていたが、普通の農民なら一年で1レベル、戦いを生業とするものならば、個人差はあれど大体一年で10レベル上がるそうだ。それも、毎日戦い、もしくは訓練を行うことを前提として。


 つまり俺は、たった一週間で魔獣退治の専門家二年分の経験値を手に入れてしまったことになる。


「あ、えっと――」

「驚くのも無理はないな。アリシアも始めはそんな感じだったよ」


 俺があたふたするところを見てニヤニヤするユウ。

 正直、ゲームなんかで見慣れてるし、レベルが上がってもそこまでうれしくはないだろうと思っていたのだが――思っていたよりずっと、うれしい!


「な、なんでこんなにレベルが上がったんですか?」


 最大の疑問点はそこだ。

 農民なら一年で1レベル、とは言っても、子供にも成長期はある。人間の子供は産まれた時点でレベルが3ある。そこから歩けるようになるまでの間に、5~7くらいまでレベルが上がるのだ。

 子供の成長は早いって言うしね。


 でも、それじゃあ説明がつかないほどに俺の成長は早い。

 確かにレべリングはすごくしんどかったけど、「すごくしんどい」思いをするだけで専門家二年分の成長が出来るわけがない。


「それはな、パワーレベリングだよ」

「それって....オンラインゲームとかでお馴染みのアレですよね」

「ああ。それを今回は、現実でやったんだ」


 ユウによると、迷宮のボスキャラにまず俺が弾丸を撃ち込む(掠るだけでもいい)。その後にユウが瀕死状態にして、俺がFA....ファイナルアタックを叩き込む、ということらしい。

 この世界ではゲームのように、一番最後に攻撃した人のほうが経験値が多い、などの法則があるらしい。これはユウがじきじきに調べたそうだ。

 つまり、この法則に則ってパワーレベリングをしたと....


「でも、そんなことしてませんでしたよね?」


 そう、問題はそこだ。

 俺だって一介のゲーマー、パワーレベリングくらいしたことはある。

 でも、今回はそんなことを一切しなかったのだ。


 迷宮内に出てきたのは俺の銃弾一発で死ぬ雑魚モンスターだけ、しかも最後のボス部屋っぽいところには図体だけはでかい癖して結局一撃で死ぬ雑魚モンスターが。

 つまり、レベリングが出来るような強キャラが居なかったということ。


「いやいや、それは優貴が凄すぎるだけだって」

「....え?」

「俺が【拘束の魔力バインド】で動けないようにしていたとはいえ、全部の魔物を一発で倒すんだから」

「だって、それは雑魚モンスターだったから――」

「だから、それが間違いだっての」


 呆れたようにため息を漏らすユウ。

 え?俺なんか変なこと言った?


「だから、別にあの迷宮のモンスターは弱くないんだって」

「でも一発で――」

「流石は銃ってとこだな」


 聞けば、この世界の魔獣やモンスター、魔物といった一般的に人類の敵とされる生き物たちは、人間の使う剣や打撲武器、遠距離でも矢や魔法に対抗するために進化してきたそうだ。


 その皮膚は硬く、しかも魔力を伝えにくい。つまり、剣で切ろうにも切り難く、魔法を当てても効きにくいそうだ。

 もちろん、矢も効果的な攻撃ではあるのだが、当てにくい上に貫通力が高くない。どちらかと言えば、抜けにくいような構造にして継続的にダメージを与える武器なのだ。

 もちろん、それに対抗して人類も進化しているが――


 とにかく、そういった表面上の攻撃を受けるために皮膚は硬化したが、その反面、ダメージを受けにくい内部はしなやかな筋肉で覆われてはいるものの、そこまで高い強度を持ってはいない。


 そこに、貫通力に特化したような銃が打ち込まれればどうなるか。


 結果は、死、だ。


「なるほど、そういうカラクリか....」

「だから、その力はこの世界では、強力な力なんだ。もちろん、魔獣にも例外は存在するから気を抜いちゃだめだぞ」


 分かってるから、子供に言い聞かせるような言い方をするのはやめてください。なんか、惨めになる。


「でも、一日一丁の銃を出すのがせいぜいですし」


 この世界に来た初日も、すぐに銃を出して体力をごっそり奪われた。

 最近ではマガジンしか出してないから、大丈夫だけど。


「....さて、もう大分暗くなってきたし、そろそろ寝ろよ。優貴のレベルも大分上がったし、明日からは出発の準備だな」


 一瞬、なんのことか分からなかったが――

 理解した直後、体の奥のほうから形容しがたい期待のような、緊張のような――幸福感のようなものが溢れてくる。

 たとえるならば....遠足前日の小学生のような。そんな気分だ。このたとえ、なんとなく嫌だけど。


 世界旅行。

 地球では、金もない時間もない自由もない学生の身分だったせいでいけなかったが、この世界ではそんなものに縛られる必要もない。

 世界を旅して回る。なんて素敵なことだろうか。


 地球でもあれだけ神秘的な絶景があったんだ、異世界であるここではどんな景色が見られるのだろうか――


 まだ見ぬ世界を胸に、俺は眠りについた。







 朝。枕もとのバッグからスマホを取り出すと、朝の六時だ。

 やっぱり、遠足当日の小学生みたく早起きしてしまった....。なんとなく恥ずかしいので、七時くらいになるまでベッドでごろごろしてからリビングに出た。


 ソファに座っていると、向こうのほうからユウが出てきた。

 手に持っているのは、厚めの紙に包まれたサンドイッチだった。たぶん、どこかからか買ってきたんだろう。


「ん、朝ごはんだぞ~....って、アリシアはまだ起きてないのか」


 そう言ってアリシアを起こしに行く。

 勝手に食べるのもあれなので椅子に座って待っていると、寝ぼけ眼のアリシアをつれてユウがやってきた。


 朝ごはんを食べおわると、次は旅の準備――


「あ、旅の準備だけど、もう終わってるから、何もしなくていいぞ」

「え?いつの間に終わらせたんですか?」

「昨日の晩に、二人とも寝てからな」


 ひどい!旅は準備するのも楽しみのうちなのに....一人で楽しみを独占するなんて!

 いや、ちょっとした旅行くらいしか行ったことはないんだけどね。


 というわけで、今日は各自自由行動ということになった。

 傍から見れば見れば小学生の俺を自由行動にしていいのかと思ったが、俺の中身が見た目相応ではないことは薄々感づいていたらしい。


 実際、ユウも見た目よりは年をとっているそうだ。

 こっちの世界に来たときに少し若返ったとのこと。


「さて....急に手持ち無沙汰になったな」


 一人になると、思わずぽつりと呟いた。

 ....うん、いつもは休みが欲しい欲しいと思っていても、急にやることがなくなると少し困ったりするよね。

進みが遅い上に内容がぺらっぺらですね....

執筆技術向上に向けて頑張りたいと思います

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