4-2 エルフの里、までの道のり
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王との会話は驚くほどスムーズに進み、俺たち一行は一瞬にしてエルフの里とやらに行くことになった。
王とユウ曰く、エルフの里と人間の国――つまりはケントゥルム王国は昔から折り合いが悪く、あまり国交などはしてこなかったらしいが、王国には豊富な人材と強力な軍が。そしてエルフの里には協力な魔導技術が存在している。
この二つが国交――あわよくば同盟など結ぶことができれば、双方にとって得こそあれど、損はない。
が、それを双方の国の折り合いの悪さが邪魔している....といった状況だ。
この状況でエルフの里に恩を売ることができれば、多少強引にでも友好的な関係を築くことができる。
「では、頼んだぞユウ」
「おう、軽くいってくるよ」
「さっきも言ったが、転移陣はエルフの里から少し離れた場所にある。迷子にはなるなよ?」
ユウと国王がそんな冗談を交わすこの場所は、王城の地下に存在する長距離ワープ転移魔法陣だ。この世界では短距離のワープこそ一般的になりつつあるものの、長距離のワープはいまだにコストが高く、国の要人くらいしか使うことができないらしい。
....つまり俺たちは今要人ってこと?まあ、この国の将来を背負ってるといえば背負っているのだから要人か。
王が兵士に指示を出し、魔法陣を起動させる。
そ、そういえば俺って、短距離転移を数回しただけなんだよな....それなのに長距離転移って、大丈夫なのか?....なんだか不安になってきた。
そんなことを考えているうちに、すでに視界は光に包まれていた。
気が付けば、さっきとは違う場所に立っていた。
転移の時の感覚は短距離とあまり変わらないのか。周りを見渡すと....どうやらここは建物の中のようだ。苔が生えた石造りの部屋の中央にある魔法陣。その上に俺たちは立っていた。
正直、エルフといえば世界樹の中に住んでそうなイメージがあったから石造りってのはびっくりしたけど。エルフって木に住んでそうだし。
それにしても、魔法陣で飛んだら誰かいるかと思ったんだけど、案外誰もいないんだな。迎えもなしって....仮にもあまり仲がよろしくない国の人間なんだから、見張りを付けるって意味合いで迎えくらいあってもよさそうなのに。
なんて考えていると、ユウが一言。
「さて、じゃあエルフの里に向かうか」
「え?ここがそうじゃないんです?」
「ああ、そういえば言ってなかったな。エルフの里の内部に魔法陣を作るのは流石に許せないってことで、この魔法陣を作るときにエルフ側からNGが出たんだ。それで、ほら」
そういって、部屋の外を指さすユウ。
「ちょっと離れた場所に転移用の魔法陣があるんだ」
ユウの指が指し示すほうには....ちょっと、どころかだいぶ離れた場所ある、天を衝くかのような巨大な木があった。
....え、場所離れすぎじゃない?これ正直、俺の足だったら一時間は余裕でかかる気がするんですが....。
「こ、こんな遠くて大丈夫なんですか....?時間がかかるんじゃあ....」
「大丈夫だ、エルは里までは舗装された道があるって言ってたからな。馬車で急いでいこう」
な、なるほど、それならいいや。あんなに遠い場所まで走っていくなんて言われたらどうしようかと思った。レベルが上がって基礎体力が向上しているとは言っても、やはりこの体は体力がない。力はまだついてきたけど、少し走ればすぐに体力がつきるからな。
馬車なら座っているだけでいいから安心だ。
そう思って、舗装された道とやらがある場所まで移動する。
その場所自体は、案外すぐに見つかった。魔法陣があった、石造りの祠のような場所から出て少し木があるほうへ歩くと、道はすぐに見えてきた。
ここから道が始まっているので、恐らくこの魔法陣を利用するときのためだけに作られたんだろう。
が、その道は――本当に酷いありさまだった。
石畳の道ではあるのだが、石の間にはコケや雑草がびっしりと生え、しかも石は割れたりいがんだりしていて目も当てられない。左右からは生い茂る葉や木の枝が飛び出して道を妨害し、馬車なんてとても通れなさそうだ。
これ――舗装された道(整備されているとは言っていない)ってこと....?いや、そりゃあ確かにこの魔法陣はここと王国の直通で、それ以外には使えないらしいし、王国とエルフの里を行き来する用事なんてほとんどないんだろうけどさ。
そうなると使わないこの道をわざわざ舗装してやる意味はない。それはわかるんだけど....。
これ、どうやってあそこまでいくの?
とりあえず、歩くことになった。というか、歩くほかない。オフロード用の車でもあればいいんだけどね。出せないかな、俺の能力で。....無理か。そんなものだそうものなら俺の体力が枯渇してぶっ倒れて死ぬことは間違いない。というかそもそも車は兵器ではない。
「疲れたよ~!」
と叫ぶのは剣を担いだアリシアだ。まあ、剣って案外重いしね。しょうがないといえばしょうがない。今このパーティーで前衛を担うのはアリシアとタリスだけ。一応今は敵の姿はないが、ここは紛争地域なのだ。いつ敵が出てくるのかがわからない以上、前衛の二人には常に剣をもって警戒しておいてもらわなければならない。
が、獣人であるがゆえにもとから体力が高めのタリスはまだしも、そもそもレベルが高いだけの幼女なアリシアには俺と同じく根本的な体力が足りていない。どちらかというと一瞬で勝負のケリをつけに行くアリシアは魔力で補助をして瞬間的なパワーを出すことにはたけているが、継続的な戦闘力はそこまで高くない。
「まあまあ、頑張ってください、あともうちょっとですよ」
と俺はアリシアを励ます。が、それは逆効果だったらしく、アリシアがむっとこちらをにらんできた。
「ゆっきーには言われなくない....。というかそれズルい!」
そういってアリシアが指したのは、俺が今「乗っている」もの。
....そう、自転車である。
「なにそれズルい!らくちん!」
「まあまあ」
正直それくらいしか言えることがない。だって自分でも思うもん、これはずるいって。
まあ、この自転車がなければアサルトライフル担いで武装した俺がアリシアに声をかける余裕なんてあるはずもない。
先の組織との対決の最中に創造したこのアサルトライフルだが、正直使わないときは少し大きすぎる。ので、ユウの魔法で収納してもらってるのだが、さすがに敵が出てきたらすぐに対応できるようにということで今は自分で持っているのだ。
え?自転車に乗っていたらすぐに敵に対応できない....?
....ま、まあ自分は後衛だし、何とかなるでしょ。
と、そんな感じで細道を移動していた、その時だった。
「止まって。....気配がある」
そういって、先頭のユウが立ち止まったのは。




