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2-12 異世界の技術

一週間ぶり。

「バインド!」


 ユウが俺のレベリングを手伝った時にもつかった、相手を拘束する魔法を使う。

 半透明の触手のようなものが、猿みたいな魔獣に絡みつく。が、それを易々と魔獣は引きちぎる。

 やはり、油断ならないパワーだ。

 ユウの魔法でさえ、一瞬しか動きを止められなかった。


 だが、それでいい。


「てりゃあ!」


 アリシアが剣を振り抜き、猿のような魔獣を切り飛ばした。

 この猿のような魔獣は、狼魔獣に比べて少し素早く、身軽い。

 その代わり、皮膚がそこまで堅くない。


 狼なら弾けていた剣戟も、猿には弾けない。


「ギギィーッ!!」


 猿が苦しそうな声を上げる。

 そこに俺が銃弾を撃ち込んで、戦闘終了だ。


「はあ、はあ、....」


 なんとか安定してここの魔獣を倒すことが出来るようになってきたが....。

 

「さあ、次いくか」

「ち、ちょっと待ってください....」

「? どうしたんだ?」


 きょとんとした顔で振り返ってくるユウ。

 さっきまで重そうな剣を振り回していたアリシアでさえ、首を傾げて俺を見ている。

 もう出発する気満々みたいだけど....。


「なんであんなに動き回って疲れないんですか!?特にアリシア!」

「ほえ?」


 くっ、その体力が恨めしい!

 体力お化けめ!


「とにかく、いったん休みましょう。疲れました....」


 ただでさえ体が変わって体力が落ちているのだ。これ以上の行軍は命に関わる!関わらないけど!!


「ああそうか、そりゃあこんなに戦ってばっかりだったら疲れるよな。アリシアと一緒にいたから麻痺してたよ、あはは」


 あははじゃない!







 というわけで、休憩することになった。

 鞄の中からシートをだして、地面に敷く。シートと言っても、小学生の時に遠足で使ったような上等なものではない。

 いや、あれだってさして高い物でもなかったけど、この世界の技術レベルからしたら十分に上等のレベルに入るだろう。


 この世界の技術レベルは低い。その癖、地球では夢のまた夢だったような事を平気で実現しているのだから、魔法とはかくも偉大なものだ。


 みんなが靴を脱いでいる間に、飲み物とご飯を用意する。

 用意したご飯だが、もちろんこんな短時間にご飯を作れる訳がない。鞄の中に元々入っていたものだ。


 それは──


「これ....『爆発!NINJA飯』か?」

「爆裂!です」


 そう、昨日の晩ご飯に作ったとあるアニメに出てきた食べ物だ。

 爆裂だが忍者飯は忍者飯だし、湿気が多くても結構長持ちする。これは年中湿気が多い俺の部屋で腐るまで1ヶ月かかったこと~も明らかだ。


 ....うん、試したよ?だって気になって夜も眠れなかったんだもん!そしてそんなものを考えたアニメスタッフすごい!


 というわけで、一日やそこらではNINJA飯の味は落ちないのだ。

 考えてみれば、今日は朝ご飯を食べていない。朝から激動すぎて、食べる暇もなかったしね。


 だから、サイズの割に腹に溜まるNINJA飯はもってこいなのだ。えっへん。

 流石に二日連続はどうかと思うけど。


 一応腐りにくいし、ユウの便利魔法があればそんなことはないと思うけど、食糧が無くなったときには役に立つと思ってたくさん作っておいた。

 さあ、たーんとお食べ!


「これ、何?」


 ルルが不思議そうな....そして若干嫌そうな顔をして聞いてくる。

 そうか、そういえばルルはこれを見るの初めてだったな。じゃあ、これの美味しさも知らないはずだ。この反応も無理はない。

 ユウとアリシアも初めはこんな感じだった。でも今は....


「はむはむ、んぐ、ごきゅ、ごきゅ、ごりごりごり!ボキ、ばりばり、ぐちゅ」


 ほら、こんなに美味しそうに食べてるじゃないか!

 俺も初めて作ったときはドン引きしたし、自分の目を疑ったけど!

 放置して腐るまでの期間を実験したときは、家族に正気を疑われたけど!


「まあ、食べてみてください。自信作ですから!」

「..........うん」


 死地に赴く歴戦の戦士のように覚悟の決まった表情で、NINJA飯を頬張るルル。

 目を堅く閉じて、数回咀嚼して──目を見開いた。


 この女....落ちた!


 ばくばくもりもりむしゃむしゃギチギチと食べ続ける三人の図。なお図はありません。


 そして最終的に....ほとんどのNINJA飯がなくなってしまった。

 だって幸せそうだったんだもん....。 


 至福の表情の三人。

 どうやら食べ過ぎてしまったようなので、しばらく休憩してから出発する事になった。幸い、魔獣は来ていない。

 ほんとなら、迷宮内でこんなにくつろいだら駄目なんだろうけど。


 けど、やっぱり自分の作ったご飯で他人が喜んでくれるのはうれしい。

 俺の場合、何故か作った料理が多少初見の人には取っ付きにくい見た目になってしまうことが多い。何故か。ええ何故か。


 そして、俺の作った料理をゴミを見る目で見ていた人が、俺の料理を美味しく食べているのを見ると、しめしめと思ってしまうのは仕方がないよね?


 そんなことを考えている内に、出発することになった。

 シートを片づけて、靴をはいた。よし、出

発準備はばっちり。


「さて、行こうか」


 俺たちは探索を再開した。









 さっきと同じ様に、魔獣を倒しつつ探索を続ける。休憩をする前はアリシアも少し落ち着いてたけど、ご飯を食べて元気が有り余ってるのか、アリシアが勝手に先行するようになってきた。


 ここら辺にはそこまで危険な魔獣もいないし、アリシアもどこまでが安全でどこからが危険なのかを分かっているのか、不用意に行きすぎたりはしない。

 そしてユウも、アリシアがフォロー出来なくなるほど離れない限り煩く注意はしない。


 放任ではない。

 それが築いてきた信頼関係の賜であることは、見て分かった。

 そんなアリシアを、少し羨ましく思う........ホモじゃないよ?


 その時、ユウが何かに気がついたようだった。目線の先を追うと....なんだあれ?カプセルの中に....培養液?


「ユウ、来て~!」


 その瞬間、先行していたアリシアがユウに声をかけた。

 少しびっくりしたが....すぐに目線をアリシアの方へ戻す。アリシアがこっちに向けて手を振っていた。 

 魔獣がいたらバレないようにこっそり戻ってくるはずだし....何があったんだろう?


 好奇心に刈られて、タタタと駆けていく。


「あ、ゆっきー!これ見て!」

「ゆ、ゆっきー....?」


 いつから俺はゆっきーって呼ばれるようになったんだ?という疑問は、それを見て塗りつぶされた。

 うーん、こんな物まで異世界にはあるのか。まさか、異世界に──


「エレベーター....か?」


 エレベーターまであったとは。

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