2-10 無人島の小屋にて
最近事情があり、短めです、すみません
結局そのあと、みんなで相談した結果ユウがマップで見つけた人工物っぽい小さな小屋を目指すことになった。
その小屋の周りは特に何もない普通の森で、農耕をしている形跡は見られなかったことや、人工物はその小屋一つだけだったことなどを踏まえて、この島は無人島だという前提で動くことになった。
人がいると思って行って、誰もいなかったらショックだもんね。
とりあえず、雨風をしのげる建物があるだけでもよし。
中にここらへん一体の地図や、何らかの脱出方法があれば尚よし。つまりどう転んでもいいことしかないということだ。
俺たち四人は、森の中をゆっくりと進んでいく。
もしかしたら魔獣がいるかもしれないから。
「しっ」
突然、戦闘を歩いていたユウが立ち止まった。
二番目を歩いていたアリシアがわざとらしくユウにぶつかって抱き着き、それに俺がぶつかってしまう。アリシア、恐ろしい子。あんな子供なのにガチでユウを落としにいってる。
「魔獣だ。見たところ、狼型だな。そこまで強そうではないけど、一応慎重に――」
「分かりました、殺ります」
「ちょ、ちょっと待て!お前は何も分かってない!」
銃を構えると、焦ったようにそれを止めるユウ。
何がいけなかったんだ?ちゃんと慎重に仕留めようとしたのに。
「オレが言いたかったのは、もしかしたらあいつは群れの一部で、倒したことがばれたら群れがやってくるかもしれないってことなんだ。銃声はまずいだろう?」
「な、なるほど....すみません....」
確かに、あいつを殺ったことが群れにばれてしまったらその群れ自体がこっちに来るかもしれない。
群れが居ると確定したわけではないけど、この島の魔獣の性質がわかってない以上、そこは慎重に行動するべきだな。
と思ったら次の瞬間、俺の隣から弾丸が飛んで行った。
....いや違う。アリシアだ!
狼が飛んで行ったアリシアに気づくが、もう遅い。狼が声を上げる間もなく、喉を掻っ捌いて倒してしまった。
自然界でも速いほうの狼が反応できない速度って....いや、魔獣を地球の狼基準で図るのもおかしいんだけど、それ以上にアリシアの手際がおかしい。
「よし、よくやったな」
「うん!」
.....なんか悔しい!釈然としない!
次こそユウにいいとこ見せてやる!
んで、アリシアにドヤ顔してやるんだかんな!
「優貴も、ありがとうな」
そんな思いが顔に出てたのか、そうフォローしてくれた。
うれしくなんかないし?全然大人だから?
そんな俺たちを、表情が乏しいながらも驚いて見つめているルル。....うん、色々とびっくりしてるよね。
□
そのあとは特に何があるわけでもなく、建物にたどり着いた。
途中でアリシアが変なキノコを食べてユウにポーションを飲ませて貰うなんていうハプニングもあったが、他には大したこともなかった。
魔獣でも出てきたら余裕で倒して、ちょっと見直させてやろうなんて思いもあったけど、残念ながらそうはいかなかった。
別に魔獣が出てきてほしいって思ってたわけじゃないんだからね!?
「さて、ついたな」
目の前にあったのは、小さな石製の建物だった。
ユウが小屋だと言っていたのでてっきり木製かと思っていたけど、案外がっちりしてる造りだ。
「鍵は....かかってないみたいだ」
鉄製の扉を開けて、中に入る。
中は、なんというか....ぐちゃぐちゃだった。
部屋の隅には時間が経ったせいなのか、ぼろぼろになったベッドが置いてある。その隣には、これまたぼろぼろの机。魔獣の襲撃でも受けたのかな?壁に爪痕が付いている。人はいないみたいだ。分かってはいたけど、少し残念ではある。
机の上には、この無人島の地図が置かれてあった。ところどころ破れているので読めないし、その上書かれているのはわけの分からない文字ばっかり。
できれば、もうちょっと広い範囲の地図が欲しかった。
地図はマップがあるしいらないから、とりあえずバッグに入れておいた。
どうせ使わないけど、なんかもったいないしね。
「おっふと~ん!」
俺の後から入ってきたアリシアが、ベッドの惨状も碌に見ずにダイブする。
あ、そんなぼろぼろのベッドにダイブしたら――
ベキベキベキ!
案の定、ベッドの真ん中から真っ二つに折れてしまう。
あ~あ、いわんこっちゃない。
もうもうと埃が舞っているせいで、目がしぱしぱする。うぅ...。
「こらアリシア、暴れたらだめだろ」
「けほけほっ!うわっ、汚い!ひどい!」
何がひどいんだ。自分でダイブしたくせに....。
まあ、結構歩いたから疲れているのは分かるけども。
と、それを見ていたルルが、ユウの袖をくいくいと引っ張った。
すぐには気が付かなかったようで、ユウは熱心に机の引き出しを探っていた。
何度も袖を引っ張るが、気が付いて貰えないルル。
「....ユウ」
涙目だった。
「ん?ああ、ごめんごめん!ちょっとこっちに集中しててさ....。どうしたの?」
「あそこ、床」
ルルが指さしたのは、アリシアがダイブしてつぶしたベッドの下。床の部分だった。
そこには、大きく四角型に穴が開いていた。とはいえ、ベッドで隠されていたのでアリシアがベッドを壊さなければ、見つけることはなかっただろう。
今回ばかりは、アリシアのお手柄かな。
....障害物をどけたのがアリシアで、発見したのはルル。
あれ?俺だけ仕事してない....?
気にしたら負けだね、うん。
穴の中を覗き込むと、奥まで続く階段があった。
暗くて奥が見えない。これなら、俺たちが潜っていた迷宮のほうがまだ明るいくらいだ。あそこは先人たちが一生懸命魔法の光を設置していったらしいので、最低限度の明るさは保たれていた。
でもここは、そんなことは全くない。
真っ暗。どこまでも真っ暗だ。
「怪しいな....」
ユウが、この場にいる全員の意見を代弁する。
そう、怪しすぎる。
この小屋以外には人工物は全くと言っていいほど存在しない無人島で、たった一つだけ立っている小屋。
よく考えれば、それだけでも怪しい。
そんな建物の中に、地下に続く秘密の階段なんてものがあったら、怪しいなんて言葉じゃ足りないくらいに怪しさMAXだ。
もう、完全に黒。
何が黒なのかは知らないけど。
「とりあえず、入ってみたらいいんじゃないんですかね?」
「でも、危険かもしれないし――」
「もしかしたら、この島から出る方法が隠されてるかもしれませんよ?」
「う~ん....」
顎に手を当てて、考え込むユウ。
危険を承知で、怪しさ満点の地下に飛び込むか、他の地点を探索するか。
「行こうよ、ユウ!」
「ルルも、同意」
結局、最後は二人の意見によって決定した。
斯くして俺たちは、地下へと入ることに決定した。
いやぁ、緊張するけど冒険ってわくわくするよね!
11/2 小屋の中の描写を若干修正。




