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1-1 じゅう を てにいれた!

「....あれ?」


 草、草、草。

 土を覆うようにして、一面に草が生えている。いわゆる、草原というやつか。俺はそんな場所で座り込んでいた。....問題は、何故こんな場所に俺が居るのかと言うことだ。

 俺はさっきまで....さっきまで....何をしていたんだ?

 ついさっきまで自分が何をしていたのか、思い出せない。一体どういうことだ?記憶喪失?もしかして、記憶を消されてこの場所につれてこられた?それこそ何故?


 まずは、俺の記憶を探っていくか。

 俺の名前は長沢ながさわ優貴ゆき。いたって普通の公立高校に通っていた高校生....だったはずだ。まだ少し朦朧としているため、本当かどうか....いや、自分の身の上くらいは覚えていると思いたい。

 確か、家に帰るとすぐにパソコンの元に向かい、趣味のことを検索してネットサーフィンとゲームをして、ラノベを買って読み漁る系の人だったはずだ。

 検索することは広く、浅くだったが、兵器関係とアニメ関係に偏っていた気がする。

 かっこいいよね、銃。


 ふと横を見ると、そこには白い自転車が倒れていた。

 ああ、そうだ。そういえば、俺は自転車に乗っていたんだ。自転車で....コンビニに買い物をしに行っていたのか?うん、そんな気がする。


 なれた動作でジャージのポケットに手を入れ、スマホを取り出す。バージョン2.2の、ゲームもろくに出来ない型遅れの機種だ。いまさら誰も使っては居ないだろうが、電池の持ちだけはいい。

 どうせスマホなんてダウンロードしておいたweb小説を読む程度にしか使わないのだから、それでも十分だ。


 時計を見ると、現在は十六時より少し前くらい。今は冬だし、あと三十分もすれば暗くなってくるころかな?

 何がなんだか分からない状況なので、出来るだけ充電は残しておきたい。


 と、一応の状況確認が終わったところで空から何かが落ちてきた。

 ....紙?折りたたまれた紙が落ちてきた。


 開いてみると、中に何事かが書かれていた。


『どうも、神です。


 唐突に言っても信じてくれないかもしれませんが、本当に神です。

 我々神は暇つぶしに下界を覗いたりしているのですが、その時にたまたまですが、貴方を見かけたのです。私が見ている前で、貴方は複数の男の方に暴行を受けていました。

 暴行の後に貴方は男の人たちに殺されました。


 ....それは、酷い様でした。

 余りに酷い惨状に、さすがに同情して別世界に転生させました。体は死んでいるので同じ体には出来ませんでしたが、魂と記憶はそのままです。


 死ぬ直前の暴行の記憶はないほうがいいと思うので消させていただきました。


 さて、転生させたと言いましたが、私は転生を司る神で、本来なら別世界にて別の役割を背負う予定だった人間を本来あるべき世界に転生させる仕事をしています。

 その際に、本来なら本人に適応した能力を幾つか与えるのですが、貴方にはほんの少しの能力しか与えることが出来ませんでした。

 本当に申し訳ありません。


 貴方の能力は、兵器を召喚する能力です。

 それだけならいいのですが、召喚した兵器の質によって体力が急激に減ってしまいます。場合によっては気絶してしまうので、注意してください。


 最後に。

 その世界には魔物、魔獣、モンスターと呼ばれる凶暴な生物が存在します。

 小さな能力しか与えられませんでしたが、どうか、その世界で幸せになってください。あと、一応魔法なんかもあります。

 

 とにかく、色々と申し訳ありませんでした。』



「..........ん?」


 ん~?

 これはどういうことだろうか。マジで?これマジで?

 誰かがいたずらでしているとかじゃなくて?ドッキリ....だよな?いや、でも俺に対してこんな大規模なドッキリする奴なんて何処に――ってイタ!


 また何かが空から落ちてきた。

 今度は....鏡?と、それに添えられた紙?


『現在の自分の姿を確認するのに、ご使用ください。

 一般的な鏡です。』


 なるほど、前の紙に体は別のものになっていると書いていた。

 本当にその通りなら、この紙に書かれていることを....全部ではないが、多少信じて行動しようと思う。別世界とか、魔獣とか、本当なら少し困るようなワードが結構あったし。


 とにかく、鏡を使って自分の姿を確認する。出来れば、ブサイクじゃなくてイケメンがいいな....それくらいの便宜は神様も図ってくれるだろう。


 そして、鏡に写った姿は――――可愛らしい、少女だった。

 幼女、と言っても過言ではないような幼い顔に、驚愕と混乱が入り混じったような複雑な表情を浮かべている。くりっと大きな目に、ちょこんと乗った小さな鼻。ぷりっとした唇、薄い胸板....。

 艶やかな黒髪は、手に取るとさらさらと零れ落ちる。


「何で女なんだあああああ!?しかも幼女!どういうこと!?」


 思わず叫ぶと、空から再び紙が。


『ごめんなさい;;その代わり、新しい体は中々にいいものを使っています。体の中心にある核を壊されない限り死なないので、ご安心ください』

「顔文字使うの!?というか、核ってなんだ....。俺、何者なんだよ」


 もう、仕方が無い....。

 神様が俺を転生させてくれなかったら、俺は既に死んでいたかもしれないんだ。というか、死んでいただろう。それを考えれば、玉と竿の数本くらい....別に....構わない....くっ(血涙)。


 しょうがない、割り切るしかないか....。ということは、一人称も「私」とかにしないといけないのか?

 ....男でも、敬語だったら私とかつかうよな。どうせ初対面の人になんて敬語でしか喋れないんだから、その延長だと思って一人称は私にしておこう。

 日本人としては、変な目で見られるほうが心にくる。

 

 さて、とにかくそのことは頭の中から追い出して、紙に書いていた兵器召喚の能力だが....どうやったら使えるんだ?欲しい武器を念じるとかか?

 兵器って....現代兵器もありだよな?なら、質がいい、というか強すぎる武器を急に召喚すると、気絶したりするかもしれないから、まずはハンドガンから行こう。


 ハンドガンなら....出来るだけ装弾数が多いほうがいいよな?

 じゃあ、俺が知っている限りで装弾数が多い銃は....そうだな、FN57あたりがいいだろうか。


 FN57というのは、5.7x28mm弾という先の尖った、貫通性の高い弾を使用しており、その上装弾数がロングマガジンモデルだと30発にもなる、中々に有能な銃だ。しかも見た目が好み。

 世界で最も使われている銃弾とされている9x19mm弾よりも反動が少ないとされている。


 つまり....初心者さんが使うのにいいってことじゃね?いや、知らんけど。まあ、反動が少ない分には問題ないだろうと判断し、FN57ロングマガジンモデルが欲しいと、目を閉じて強く念じる....念じる....念じる.....。


「ぷはっ、全然駄目じゃん!」


 集中しすぎて、息をするのを忘れていたようだ。うんまあ、分かってたけどね、この結末。そんな簡単に超能力的なことが出来るわけないし....。

 何故かドっと疲れたので、地面に倒れこむ。草がふかふかで気持ちいい――。思わず、手に持った銃をいじってしまう。......ん?


「あれ?いつの間に....」


 いつの間にか、銃を握っていた。

 しかも、俺が念じたFN57だ。....どうやら、召還はいつの間にか成功していたようだ。なんだか思っていたよりもあっけないなぁ....。


 







 とにもかくにも、銃を召還することは成功したので、とりあえずそれをどうするか....。ホルスターは兵器というくくりなのだろうか?

 でも、これ以上召還するとキツイのでは....ああ、そういえば兵器の質によって疲れは変わると言っていたな。ならホルスターくらいなら成功しても大丈夫だろう。


 FN57が入るタイプのホルスター....。少し慣れたのか、召還するまでの時間が短い。今回もまた、気がついたら手にホルスターを握っていた。

 ....あれ?俺はてっきり布製のホルスターが現れると思ったのだが、なんか固いホルスターが出てきた。うーん....かっこいいしいいか。

 材質は、プラスチックか何かかな?


 これは足につけるタイプか腰につけるタイプか....多分、形状的に大腿部につけるレッグホルスターだろう。でも、この細足で大丈夫か....?


 悪戦苦闘しつつも、ギリギリまで小さくして何とかつけることに成功した。う~ん、ジャージにこれはちょっとダサいような。まあいいか。ホルスターに銃を入れ、今後のことを考える。


「やっぱ、人里を探すのが一番かな。この別世界のことももっと知らないといけないし」


 自転車のサドルを低くしたあと、自転車にまたがる。大きすぎるが、これくらいなら何とかなるか。

 ペダルを踏み込み、適当な方に向かって走り出した。

ホルスターは、BHI CQCホルスター FN57モデルをイメージしております。

作中に間違った知識が出ているかもしれませんがご了承ください。


8/13 主人公の一人称に関する考えを追加しました

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