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人物紹介

入院した翌日の夕方、特にすることもないので、母さんに持ってきてもらった本を読んでいると、ドアをノックして、俺と同じ制服を着た奴らが四人入ってきた。

真ん中に、中学からの親友の真守、ラグビーで鍛えたゴツイ体に似合わず、爽やかな笑顔で女子からの人気が高い。

真守の右隣に、幼馴染みの栞奈、昔から目が悪く、メガネを掛けていないとほとんど何も見えないと言う重症ぶりだ。胸にばかり栄養が行って、身長は伸び悩んでいる。

真守の左隣には、隣の席の愛華、並の男なら瞬殺されてしまうくらいの美貌と、その毒舌っぷりでうちの学校の女王として君臨している。一部の男子から絶大な支持を得ているらしい。口は悪いが、根はいいやつで、俺はコイツの事は嫌いではない。

そして、真守の後ろに隠れるように立っている最後の一人は今までに会ったこともない。体の線も細く身長も低い。顔は、ぱっと見ても、じっと見ても女にしか見えないので、うちの男子の制服を着ていなければ、惚れていたかもしれない

「どうしたんだよ、こんなに人連れて見舞いに来るなんて、ずいぶんと暇なんだな。」

そう言うと、真守はにやりとして、

「おいおい、親友がクラブサボってまで、天使にやられたお前を、心配して見舞いに来てやってんのに、そりゃないだろ?」

と、軽い口調で言った。

まてよ、コイツ、今なんて言った?なんで天使にやられたって知ってんだ?コイツラが前に天使が愚痴ってた奴らなのか?ってことはコイツラも何回も死にかけているのか?だとすると、コイツラも魔法を…

「おーい、帰ってこーい。すぐに一人でブツブツ言いだすのはお前の悪い癖だぞ?そんなに考え込まなくても、こっちから説明してやるよ。」

真守達が苦笑いしながらこっちを見下ろしている。愛華の顔を見ると、ゴミを見るような目というものがよく理解できた。

「まぁ、なんでお前が天使に襲われてるのかがわかったのは、コイツのおかげだよ。お前は面識がないと思うが、一年の後輩で、ラグビー部のマネージャーをやっていてな。声を掛けられるまでは、天使に襲われているのは俺だけだと思っていたんが、コイツのおかげで俺一人じゃないと知ることができたんだ。あ、一応自己紹介しといてもらうか?」

俺が頭の上に疑問符を飛ばしていたら、真守が助け舟を出してくれた。

真守に促されて、オドオドと話し始める。

「え、えっと、一年二組の中村弘樹です。ら、ラグビー部のマネージャーをやらせてもらってます。感知?のような魔法が使えて、天使の攻撃のタイミングとか、魔法の痕跡とかが何となくわかるので、なんとか生き延びてます。」

声高っ。やばい、声も可愛いし、本気で惚れそうだ…い、いや待て待て、コイツは男だ、そう、男なんだっ!チクショウ!

「そうだ、皆、魔法を使ってる前提で話してるけど、そんな簡単に使えるもんなのか?」

そう、これが今一番尋ねたい質問だった。ここまで来たら、信じるしかない。魔法はある。天使は、俺は魔法のおかげで助かったと言っていた。ということは、自分でも無意識のうちに魔法を使ったかもしれないのだ。それを意図的に使いこなせれば天使に殺られる確率はぐんと下がるだろう。中村さんも感知の魔法を使いこなしてるみたいだし、他の皆もちゃんと使えるのだろう。

「それがね、あんまりちゃんと分かってないの。皆使える魔法がそれぞれ違うし、私の場合は、なんて言ったらいいんだろう、前は石を握りながら怪我が治れーって思ったら、ホントになおっちゃったの。跡はちょっと残っちゃうんだけどね…」

そう言ってスカートを膝の上までめくると、脛の部分に痛々しい傷跡が残っていた。

つまりは、天使にもらった石は力の源みたいなもので、それに念じると魔法が使えるようになるということだろうか?

「俺の場合も似たような感じで、石を握りながら自分の前に壁をイメージすると、見えない壁みたいなのができて、それで車にはねられずにすんだんだ。」

栞奈が回復、中村は感知、真守は壁か…、本当に皆それぞれ違うんだな。となると、最後の愛華の魔法が気になるな。

「愛華はどんな魔法が使えるんだ?」

「貴方みたいなのに教えるのもいい気はしないのだけれど、仕方ないから教えてあげるわ。」

わーうれしーなー。さすが女王と言ったところか…

「今何か失礼なこと考えなかったかしら?」

俺はブンブンと全力で頭を横に振る。なんて勘してやがんだコイツ…

「…まあいいわ。私の場合、話すよりも見た方が早いわね。」

そう言って愛華は左手にあの石を持ち、右の手のひらを上に向ける。すると、すぐに手のひらに氷の柱が立った。

「どう?私、氷を作り出す魔法みたいでね、この氷手のひらからじゃなくても出せるのよ。」

床に手をかざすと、そこからも氷の柱が立つ。すごく派手でかっこいい。でも….

「愛華の魔法は、なんていうか、攻撃魔法?みたいで、あんまり身を守ってくれそうにないけど…

「あら、身を守る必要なんか無いのよ、そう言う事はこの筋肉ダルマさんがやってくれるから。」

真守、コイツのことは、ほっといていいといいと思うぞ。

「でも、攻撃なんて、いつ使うんだ?まさか一般の人に使うわけないよな?」

コイツならやりかねない、いや、流石にそれはないか…。

「そんなの決まってるでしょう?、逆らう奴を黙らせるためよ」

ふざけた様子もなく、真顔で答える。本気で言っているようにしか見えないが…

「冗談よ。ま、貴方みたいなのには使うかもしれないわね」

そう言ってにやりと笑う。背中に冷たいものが走った。

また真面目な顔に戻ると、少し改まって話始める。

「さて、貴方をからかうのも飽きてきたことだし、本題に入ろうかしら」

全員が愛華の方を見つめて、話すのを待つ。

「天使に戦争を仕掛けるわよ」

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