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地獄の螺旋  作者: 蝶桜
5/7

プロローグ 1-5

痛々しい体を動かし、掃除をはじめた。

決して悦子だけには、知られないよう匂いもなるべく消した。


そして一番気になったのは、ダンボールの中身。

宛先を見ると、なんと夏海宛だった。


悦子は、確かに私宛にと言っていた。

また嫌がらせの何かだろうと中身を開けた。


すると中には、一枚の手紙が入っていた。

真っ白い封筒が一枚。


私は、すぐに手に取り、封筒から一枚の手紙を開いた。


そこには、またしても言葉を失うような内容が書かれていた。


あなたのような汚らわしい人は、智には、似合いません、今すぐ出て行きない。


悦子


とあった。


「な、何よこれ…全部仕込んだつてゆうの…。」


「そうよ。」


「!?」


私の後ろから今一番聞きたくない声が聞こえてきた。

何故いるのかと聞きたいくらいに。

確かに朝出て行ったはずなのに。

帰ってきたのなら私がわかるはずなのに…。


「随分と長いお風呂だったようね。」


その言葉に私がお風呂に入っている間に帰ってきたと悟った。


じゃこの現場も全部見られていた。

今までの掃除も全部全部。



「いつ!?いつから!?」


咄嗟に出た言葉だった。


「裏口からここまで見ていたわよ…随分と楽しそうだったわね。」


そう言って一枚の写真がぺらりと床に落ちた。

それは、さっきまで性的暴行を受けている真っ最中の写真だった。

私は、慌てて隠した。



「隠したって無駄よ、それ私が撮った写真ですもの、いい写真がいっぱい撮れたわ。」


「あ、悪魔…」


「あなたにどう言われてもいいわ、聡さえ戻ってきてくれるなら、どんな手だって使うもの。」



狂ってる。

本当に狂ってると思った。


「まぁ、聡には、黙っててあげる代わりにこの家から出て行きなさい。」


「!!それだけは!」


「そりゃ今すぐになったら聡も私を疑うもの、半年以内が期限ですからね、その間あなたが聡に告げ口しないなら何もしないけど、したらさっき沢山撮った写真どうなるかわかっているわね。」


「……」


何も言葉がでなかった。

全部仕組まれていて、私をこの家から出す為に前々から計画していたものだなんて、信じ難かった。

受け入れたくなかった。


このまま悦子を殺して自分も死んでやろうと思った。


でもできなかった。

それは、聡との結婚の時に交わした約束だった。


どんな辛いことがあったって、

俺より先に死ぬなと。


殺してやりたい衝動と聡への想いの衝動と混在し、何も動けずにいた。


写真だけは、ビリビリ細かく破り、聡に知られないようにした。


それから夏海は、暫くの間ひきこもりなった。

聡がいくら声をかけても返事すらない。


聡もつい離婚と言葉が過るようになっていた頃だった。


聡がいつものように仕事から家に帰ろうとした時だった。


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