プロローグ 1-4
「すいませーん、お届けものでーす。」
玄関の外から低い男の声が聞こえてきた。
用心深く玄関の覗き窓から外を確認する。
深々と宅急便の帽子を被り手には、そこそこの大きさの段ボールを抱えていた。
夏海は、きっと実家から野菜でも送られてきたのだろうと思いなんの躊躇いもなく、玄関のドアを少し開けてしまった。
そのままドアの隙間から手を入れるとガッと勢いよく玄関のドアを開けられた。
「な、なんですか!急に。」
「うるせぇよ、黙れッ!」
そう言って乱暴に靴を脱ぎ捨てダンボールもその辺にぽいと投げ落とした。
「あなた、宅急便の人じゃないわね!警察呼ぶわよ!」
「呼べるもんならなッ!」
夏海が家のリビングに置いてある固定電話を取りに戻ろうとつかの間。
見知らぬ、男に力尽くで押し倒されてしまった。
玄関のドアは、まだ開いていた。
このまま叫んでしまえばきっと誰か助けにきてくれると思い、叫ぼうとした。
「おっと、叫んで人集りに困るのは、そっちだぜ?」
そう言って男は、あらかじめ持っていたであろう小型ナイフで夏海の服をあっという間に切り刻んだ。
その為夏海は、下着だけの姿になってしまった。
「い、いやっ!!」
必死で手で隠そうしてもナイフで脅されブルブルと体が小さく震えてしまう。
「大人しくしてりゃ、すぐ終わらしてやるよ。」
そう言って男は、自分の下半身に露わらにした。
「や、やめてっ…そ、それだけは、私には、旦那がっ…!」
「そんなの知った事じゃねぇんだよ!」
そう言って男は、私に性的暴行を繰り返し始めた。
早く終わってほしい。
ただそれだけ……。
遠くの方で男が感じてんのか、もっと女の声出してみろよとか聞こえてきた。
私の精神は、男に性的暴行が始まった時点でとっくに壊れた。
少しだけ目を閉じて優しい智の事を思い出した。
いつも笑顔で
優しい、旦那さま。
「たくっ…つまんねぇ女、喘ぎ声もまともにだせねぇのかよ、これじゃ旦那が可哀想だな。」
そう言って吐き捨てて何事もなかったかのように乱暴に出て行った。
私は、その瞬間何かの糸が切れたかのように大泣きした。
こんな歳になってこんなに泣く日がくるなんて思わなかった。
ボロボロになった私の体、
智は、こんな私でも受け止めてくれるだろうか。
しばらく泣き続けているともう涙もでなくなり、喉もカラカラに渇いていた。
床には、あらゆる液体が水溜りようにできていた。
重たい体を起こした瞬間私は、
絶句した。
私の下半身から、そう男の液体が零れ落ちた。
「う、嘘でしょ、このままじゃ、私妊娠しちゃう!!」
咄嗟に立ち上がりすぐにお風呂場へ走り入った。
自分の下半身を一生懸命洗い流した。
この時既に遅いとも知らずに。
「全部出ていって!私の体の中から、全部全部全部!!あんな誰かも知らない男の子供なんて絶対妊娠なんて!!!」
下半身がどんなに赤く腫れ上がっても私は、手をとめる事ができなかった。
ここでやめてしまえば私の負けだと思ったから。
男の匂いも染み付くのが許せなく体全体さえ、痛めつけるように洗い続けた。
その結果、体が痛みの悲鳴をあげた。
「これ以上洗えないわ…」
夏海は、そのまま痛々しい体を労わるかのようにタオルで拭き取り、綺麗な服に着替えた。
廊下に出ればさっきまでの出来事が現実だと実感した。