プロローグ 1-1
初めまして蝶桜と申します。
初めましての投稿で中々更新は、遅いと思いますが、暖かく見守って下さい。
完全オリジナル作品です。
私は、今死のうとしてる。
ぼーっと橋から下に流れている、大きな川を眺めてる。
このまま死んだら楽だろうかと。
ぼーっと下の川を眺めていた時だった。
「あなた、死ぬの?」
明らかに場違いというか過激的なファッションというか。
真っ黒なゴシックファッションに、真っ黒なフリルの日傘をさして、小さな体で私を見てきた。
こんな小さな子が私の何を知ってるっていうの。
と少し腹を立てながら無視した。
「あなた、誰かを怨んでる。」
「いい加減にして!貴方みたいな小さな子供が私の何をしってるってゆうの!」
あまりにも無神経な発言に私の怒りは、頂点に達し、子供でも容赦ない発言をした。
それほど私は、追い込まれていたんだと思う。
精神的に。
「わたしは、こういう仕事をしてるの、子供じゃない、見た目は、子供っぽいけど。」
そういって、彼女は、スカートの小さなポケットから名刺を差し出してきた。
私は、その名刺に書かれている言葉に目を奪われた。
"怨み買います。"
一番最初にその文面が目に入って気付いたら名刺をもらっていた。
「もし、怨みを買ってほしいなら電話して、ただし、人を呪わば穴二つ、代償として私が欲しいものを一つ貴方からもらいます。」
「お金なんてないわよ。」
「お金では、ありません、あくまでもモノとしての売買取引です、その人にあったモノを私は、もらうだけ。」
「怨みを買ってどうするの?」
「それは、貴方次第、殺してほしいなら殺します、殺すまでは、しないで脅す程度でいいならそのようにもします。」
「貴方みたいな、小さな体で何ができるのよ。」
「そこにも書いてあります通りあたしは、ただの経営者、直接手を下すのは、あたしじゃないです。」
「どういう会社なの?そこまでして、どうやってなりたってるの?」
「詳しくは、依頼した時にでも…。」
そう言ってくるりとまわり、街の方へと歩いて姿を消した。
残された名刺だけを私は、眺めていた。
そこに正しくは。
"貴方の怨み買います"
経営者 ココロ
電話番号 ○○(○○)○○○○
と記載されていた。
少しくしゃと握りポケットの中に入れ、家族が待っているであろう家に向かった。
きっと誰も待ってないと思いながらもとりあえずどうすることもできずにただ家に帰るしかなかった。
周りが夕焼けの色に染まって夜の街へと色を変えていく様子。
仕事帰りの人やこれから風俗店の仕事しに行く人様々な人が目に映る。
目の前まで家の屋根が見えてきた時自然と足がとまってしまった。
入りたくないと自然に思った。
入りたくないと自然に思った。
それは、今までの記憶に遡る。
私は、この家の主人と出会い結婚をした。
心から愛している。
それは、今でも変わらない。
でも、問題は、義理母の悦子さん。
主人の聡さんとの結婚条件として、持ち出された。
聡さんは、長男で両親は、幼少の時に離婚。
だからシングルマザーとして、聡さんを懸命に育ててきた。
そこまでは、いい話だと思ったけど……
問題は、そこからだった。
暫く外から家の外見を眺めてるのを家の中から義理母の悦子が見ている事に気付くと、顔を青くしながらそそくさに家の中に入った。
「まぁ随分と遅い帰りでしてね、夏海さん。」
「………すいません、御母さん。」
「貴方に御母さんなんて呼ばれたくないです、それにしても専業主婦っても自由なご身分でいい事ですこと。」
トゲトゲしい言葉に私の心を傷つけた。
この人を恨んで、憎んでやる。
いつか地獄に落としてやると何度も思った。
この時不意に何故か先程の名刺を軽く握っていた。
「そういえば、明日私お出かけしますからその間私宛の荷物が届くと思うので受け取ってもらえるかしら?夏海さん。」
その時悦子は、不敵な笑みを浮かべているのを私は、見過ごした。
「え、あ、はい、わかりました。」
明日悦子がいない。
その嬉しさのあまりで、悦子の企みなど全く見抜けなかった。
この時私がもう少し注意深く悦子を観察していたら予知していたかもしれないのに。
「ありがとう、助かるわ、夏海さん、もう夕飯は、できてますから先に食べちゃって下さいね、聡さんも時期帰ってくると思いますから。」
「はい、着替えてきます。」
夫婦の部屋に入りほっと一息するのもつかの間部屋を見渡せば綺麗になっている。
私が確実に外に出かける前よりも。
すると、ドアの外から悦子の電話の声が聞こえてきた。
「そうなのよ、夏海さんが朝から出かけたから聡さんの部屋だし、掃除したらコンドームの一つもありゃしないのよ、あはははっ、やっぱり魅力がないのかしらね~。」
「あああぁぁぁぁーーーー!!!!!!」
私は、叫ばずには、いられなかった。
一番知られたくなかった事を悦子に知られた!
最近は、聡さんとの夫婦の営みがないのが事実。
それは、聡さんがいつも疲れているからと断られるから私も様子を見ていた。
それを悦子が他人に喋っている。
許せない。
許せない。
私は、その場で泣き叫び崩れた。
「え?今の声?盛りがついてる猫じゃないかしら、近所に野良結構いるのよ、困ってるわ。」
私の心もズタズタにされ、もう自分で自分のコントロールができないまま怒りと虚しさで無意識に先程の名刺に電話をしていた。
プルルルーと機械音が暫く続いてからすぐにガチャと電話の出る音が聞こえた。
「はい、こちら"怨み買い屋"です。」
電話の声は、若い男性の声だった。
明らかに先程会った女の子の声では、ない事がわかった。
「あ、あのっ…」
と言いかけた時、下から声が聞こえた。
「まぁ、聡さん!お帰りなさい、あ、聡さんが帰ってきたから電話切るわね。」
「ただいま、別にいいのに、切らなくても。」
愛おしい人の声が聞こえ、
私は、何故か一つの涙が流れた。
「もしもし?」
仮にも好きな人の親を…私は、なんてことを…
私は、電話を落とすように切った。
ツーツーツーと電話の切れた音と聡さんが階段を登ってくる音が聞こえた。
「夏海は?」
「夏海さんなら着替えるって部屋にいると思うはずよ、それよりご飯にするの?お風呂?」
「ん、わかった、え?飯でいいよ。」
そういいながら私がいる部屋のドアを開けてびっくりした顔をしていた。
そりゃそうだろう。
顔がぐちゃぐちゃのまま私は、崩れ座っている。
「夏海、どうしたんだ、なんかあったのか?」
聡さんが心配して私の隣に座って優しく頭を撫でてくれた。
私は、この優しさに愛されてると思っている。
「御母さんが…」
「またか…お前の勘違いだって、母さんがそんな人じゃないって言ってるだろ。」
そう私がこのこと言うと聡さんは、信じてもらえない。