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「タカオ殿、大義であった。各地での成果も聞いておる。世話になったの」

「いえ、当然のことをしたまでです。頭をあげてください」

「時にお主、結婚するってマジで?」

「はい?」


 世界を旅する以上、色々な国に行った。大きな国もあれば、小さな国もある。裕福な国、貧しい国、静かな国、賑やかな国、緑豊かな国、文化的な国。

 俺たちのことは一応、国を通じてほとんどの国や都市に連絡はしているけど、歓迎してくれる国もあれば拒否される国もある。村々にまで連絡が言ってなかったりして、うまくいかなかったり、大変なことも沢山あった。

 それでもようやく近隣の国は大方回った。調子がいいときは一日で複数の村をまわったし、移動距離なんてのも俺たちにかかれば大した問題ではない。

 もちろん世界中は程遠いけど、それでも目処がたってきた。ここまで来るのに三年かかった。あと五年くらいかければ、多分あらかた回れるはずだ。隠れ里になってたりするのや、魔大陸は無理だけど、それでもそれだけやればほぼ目的は達成できると言っていいだろう。


 近隣の国の最後、少しだけ海を渡ったところにある小さな島国。独特の漁業の技術があり、船のレベルも高い。魚以外はほぼ貿易でえている、漁の国だ。


「特にその予定はないですけど、急になに言ってんすか」


 ここの王様は俺のことを全然聞いていなかった割にすんなり仕事させてくれたし、フランクな人であるが、なんで急に結婚よ。

 まだ斉藤との仲に進展はない。そんな状態で結婚なんて、ありだな。うん。もう告白もいい加減、途中までしてる時点で気づいてるだろうし。こっちの世界では二十歳すぎてたら結婚して早いってことはない。斉藤の年齢を鑑みなくても、付き合うのは結婚前提だし、いっそプロポーズしたほうがロマンチックかも知れん。


「いやなに、お主がどこぞのお姫様と結婚する予定がないなら、うちの国ついでについでもらおうかと思ってな」

「なんのついでだよ!?」

「ほら、わし、子供いないしな。有能なものを養子にしてつがせようとしてるし」

「いや知らんし」


 そんな周知の事実みたいに言われても、そもそもあんたに嫁がいるかすら知らねーよ。高齢だし、跡継ぎ考えてるのはとりあえずわかったけど、なんで俺だよ。


「た、タカオ。いくらなんでも敬語っ」

「よいよい、なんせ跡継ぎとなれば、わしの子供だからの」

「ならねーっての」

「そういうな。お主あれだろ? 異世界から着たんなら、故郷ないんじゃろ? ならいんじゃね? ここ第2の故郷にしちゃえよ」

「ノリが軽いわ」

「ここなー、いい国じゃぞー。魚うまいし、よそにある四季とかないし、年中すごしやすいし、魚うまいぞ」

「俺魚好きだけど、魚より肉派だから」

「あと、王様になれば一夫多妻だし、お主の仲間も全員の嫁にできるぞよ。やったな!」

「やってねー! 勝手なこと言うな」

「えー、なんだよ。ノリ悪いのー」

「ノリで跡継ぎ決めようとすんな」

「えーからえーから。で、継ぐの? ここを第2の故郷にするのか? それとも、わしの息子になっちゃう?」

「全部却下だ、バカ野郎」


 否定すると同時に一斉に刃が向けられる。それより早く抜いていた剣を、俺は振るった。









「全く、とんでもねー爺だったな」


 結局のところ、あいつは『勇者』という肩書きを手に入れたかっただけだ。魔王を倒した、人類最高の力。誰もが勇者といえばその力を恐れ、あるものは警戒し、畏敬する。小さなあの国においては軍事力を強めなくても、対国外に対しての協力な抑止力になる。勇者というだけで支持してくれる民衆は少なくない。

 あの爺は仮に俺がイエスと言っても、傀儡にされて終わりだろう。自分でいうのも何だが、俺はあんまり頭がよくないし、政治なんてわからない。


「んー、でももったいなくない? 王様になれるチャンスだったのに」

「元魔王様が言うなよ」

「それは言わないで。だってさぁ、魔王ってようは、魔物に影響与えてしまうくらい強い魔力持ってるってだけだもの。魔法一つも使えなくても魔王様で、人間の味方したら殆どの魔族から見放されて、それでも魔王だよ? 王様は王様でも、魔王なんてただの名誉職で、権力ゼロだよ」

「何回聞いても可哀想な立ち位置だなぁ、お前」

「だから、王様自体には憧れるの。中世ヨーロッパみたいじゃない? それに、高雄君が王様なら、私お后様だし」


 そっ、え、ど、どういう意味だよ!? いや! いや、もちろんわかってる。でも二人いるのにそんな、こんな道中のくだらないいつも通りにバカ話の流れで!?

 いや、タイミングとか雰囲気とかもう関係ないよな!? 明らかにプロポーズしてってサインだよな!?


「ねー、二人とも、残念だよね?」


 え、なんで二人に同意求めてんの? 開きかけた口を閉じる。斉藤は変わらずいつも通りに楽しそうなまま二人に笑いかけ、二人もにっと笑ってる。


「そうだよなー、全くタカオも気がきかないよな。甲斐性なしだ」

「タカオさんさえ犠牲になれば、私たちはお后の立場を手に入れてうはうは左団扇でしたのにね」

「やーい、甲斐性なしー」


 ……。ですよねー。こんなタイミングでプロポーズ求めてくるとかありえないよねー。なんだよチクショウ!

 ていうか斉藤が加わってから徐々にだけど、最近とみに二人ともノリよすぎるだろ! くそぅ。


「どーせ俺は甲斐性なしだよ。俺は亭主関白だからな。結婚してもだらついた生活とかさせねーし」

「へぇ、じゃあ私たちがタカオさんと結婚したらどんな生活になるんですか?」

「そうだな、まずリージュは家事担当で、シュシュは俺のかわりに働いて、斉藤は…俺の付き人だな」

「おい。お前それはおかしいだろ」

「そうです、不公平です」

「まぁまぁ二人とも」

「おい、自分がいい役だからってなにいい子ぶってやがる」

「リージュさんはまだいいじゃないですか。家事って奥さんらしいですし。私なんか仕事ですよ。財布がわりじゃないですか」


 いや、そんなマジにとらえられても。お前ら三人まとめて結婚とかありえない笑い話だけど、そんなひっぱるネタでもないだろ。精々リージュの女中か、のひとつっこみで終わるレベルじゃね?


「ていうか、付き人ってなんだよ」

「家事をしない、働かないタカオさんなんて、何を付き人するんですか?」

「うーん、あ、私が付き人になったら、毎日あーんしてあげて、膝枕とか、してあげるとか?」

「斉藤! 付き人の日給っていくらくらいだ!?」

「仕方ないなぁ。高雄君だけ特別に、無給でいいよ」

「ひゃっほぅ!」

「タカオをそんな甘やかすなよ」

「そうです。そこまでしてたら、きっとすぐにタカオさんは動かなくなり肥満一直線になって、膝枕したら足がしびれますよ」

「う……ごめんね、高雄君。本当は初日だけサービスデイで、二日目から一時間一万ゴールドなの」

「ぼったくりか!」


 夢も希望もあったもんじゃない!


「はん、いいもんね。お前ら嫁にしたらタダでこき使うし。リージュもシュシュも毎日膝枕させてやるから覚悟しとけよ!」

「はいはい、そういうセリフはタカオさんに三人養える甲斐性ができてから言ってくださいね。妻の稼ぎの方が多いうちは、膝枕する側ですよ」

「なんでだよ!」


 男の膝枕とか何が楽しいんだよ。ていうか、三人がかりだし普通にしてたら負けるだろ。ずるくね?










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