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ななみけ  作者: るべの
2/22

第一話:仁の一日

小説初投稿となります、お見苦しい点も多々あると思いますが明るく見守ってくださると光栄です。

・・・では本編、心して掛かってください(ぇ

「ふぁ~。おはよぅ~」


雪はまだ瞼を半分閉じながら椅子に腰掛ける。


「遅い。今何時だと思っている」


そう言いながら既に紺色の制服に身を包んだ仁が雪の前に牛乳が入ったコップをドンッと鈍い音を鳴らして置く。


雪はその牛乳を一気に飲み干すと、う~んと小さく唸り、


「分かったぁ、8時」


「・・・何だ自覚してるのか。じゃあ、ここに鍵置いとくから後よろしく」


そう言って仁は椅子に置いてある自分の制鞄を持ってリビングを後にする。


ちなみに雪の学校の登校時間は8時20分、家からの所要時間は約20分である。


雪は玄関の扉が閉まる音を聞いて、


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」



今日も慌しい一日が始まる。



仁はクラスメートの挨拶を一通り返しながら自分の席に座った。


一番窓側の最後尾。


仁は全生徒の憧れの的であるその席に惜しげもなく座り、黒板上方の時計を見つめる。


現在、8時20分。ちなみに仁と雪の学校は異なり仁の学校の登校時間は8時25分だ。


「あの調子じゃ無理だろうな」


と、雪の身を案じていると隣の席から


「チッス、よう、おはよ~っ!! 」


という、大音量の挨拶が降りかかってきた。しかも、耳元で。


少々カチンときた仁は、


「うるさい、黙れ。お前は壊れたスピーカーかそれと何だその挨拶の三段フルコースは、頼んで無いわ」


と、同じくらいの大きさで耳元で返してやった。


そうすると、先程の声の主である加藤は大げさに頭を揺らしながら、


「うぉ、挨拶の三段フルコースときたかぁ。その表現は予想外やったでぇ」


「やめろ、恥ずかしいから人の突っ込み振り返るな」


少々深刻な声音で忠告してみた。



今日もめんどくさいやつの隣で学校が始まる。



「昼食や」


「知ってる」


「一緒に食うで」


「嫌だ」


「何でや?」


「めんどくさいから」


「何でや?」


「・・・うるせぇ」



そんなこんなで昼食が始まる。



「でな、3組にな、めっちゃ可愛い子おるらしいねんわ」


仁は加藤の言葉を尻目に唐揚げを口にする。よく揚っていて美味しかった。


「それがなどんだけ可愛い子かっていうとな、」


ご飯を口にする。上にちょこんと梅干が乗ってるスタイルだ。


「もう、あれよ、今大人気のあれ、誰やったけな、」


野菜炒めを口にする。たまねぎがいい味を出していた。


「まぁ、名前忘れたけど、その子に匹敵するぐらい」


デザートの苺を口にする。ちょっと酸っぱかった。


「可愛いねんっ!! 」


「ご馳走様」


すっと席を立つ仁。


「えっ、ちょっ聞いてたぁ? 」


「うん、聞いてた」


加藤を見ずにそう答えて仁は教室を後にした。



そんなこんなで昼食が終わる。



「ただいま」


「お帰り」


玄関を開けるとそこにいたのは霞だった。


仁の姉で大学生である霞は緑のTシャツにデニムというスタイルだ。


我が姉としてもっと女性らしい姿をしてほしいと思ったが、それは叶わぬ夢なのだろう。


だがせめて、その胸に大きく書かれた人生という字はやめてほしいと切に思う。


口には出さないが。


「どしたの? 」


そんな考えが顔に出ていたのか霞が怪訝な表情を浮かべていた。


仁は「いや何でもないよ」と言って二階の自室に向かおうとしたが、


「待ってっ!! 」


霞の唐突な叫びによってその足は止まる。


「どうしたの? 」


「いや、それが雪がね帰ってからずっとリビングで変な呻き声ばっかりあげてるんだけど」


「変な呻き声? 」


「そ、とにかく変なんだよ。何か心当たりある? 」


仁は少し考えてから、


「多分、遅刻してみっちり扱かれたんじゃない? 」


霞は自らの額に拳を当て、はぁと溜息を吐いてから、


「何だいつものことか。心配して損したよ」



仁は霞の言う雪の呻き声が気になったのでリビングに向かう。




「仁にぃお帰りなさい」


「うん、ただいま」


リビングに入った瞬間、妹の夢が腰に抱きついてきたので、頭を撫でながら微笑んでやる。


夢は顔を上げて仁を見て、


「あのね、雪ねぇが変なの」


「何言ってるんだ? 雪はいつも変でしょ」


「あはは、そうだね」


「夢、そこは否定してあげて」


笑顔の仁と夢を霞は呆れ顔で見ていた。



「で、雪はどこにいるの? 」


仁は夢からそっと離れると霞に雪の所在を尋ねる。


「ん、そこ」


そう言って、霞が指差す先には未だに制服で机に突っ伏している雪がいた。


現在の時刻は五時を回っている。


未だ制服を着ているということは帰ってきてからずっとここに突っ伏していることになる。


かつてそんな事は無かった。すこし心配になる仁。


それほど怒られたのか?ちょっと労わってやるか、と思いつつ


仁は少しずつ雪に近づいていく。知らぬうちに段々と体に緊張が走る。



近づいていくうちに段々と雪の呻き声が聞こえてきた。








「焼肉食べたい。焼き肉食べたい。焼肉食べたい。焼肉食べたい。焼肉食べたい、イタッ!! 」


「よし、悪霊退治完了」



そんなこんなで夕食はカレーで一日が終わる。



「ちょっと、スリッパで叩くのはなしだって」



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