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Who is 『It』?(中編)

Side ???―――黒白街:ショッピングモール




表も裏も―

光も闇も―

善も悪も―

清濁関係なく飲み込むこの町は居心地の悪くない世界だ。




ルールさえ守っていれば裏の世界には巻き込まれない。

それ以外はこの街の外とは大した変わりはない。




―――わたしは・・・そう、思っていた。




「ねーねー、玖久瑠?」




「どうしたの、佳奈子?」




「どこか行きたいお店、ある?」




隣にいる女性が問いかけてくる。わたしの唯一の親友である佳奈子。

答えは何時もどおり。




「・・・うん、佳奈子に任せる」




「任されたっ!!んーとね・・・じゃあじゃあクインテットにしよ?玖久瑠この前服買わなきゃって言ってたし、私も丁度見たい服あるし」




そういって抱きついてくる佳奈子。

それは、少しだけくすぐったくて。

少しだけ、暖かて。

少し恥ずかしいのを悟られぬように、ほんの少しだけ身をよじる。




「あ~・・・もうっ!!玖久瑠は本当に可愛いなぁ・・・私が男だったらすぐにでもお嫁さんにしたいっ!!いやっ!!玖久瑠は私の嫁ぇー!!」




ぎゅう、と抱きつかれる。

周囲の人が生暖かい視線で見ていることに気がついた。




「ちょっ、ちょっと!恥ずかしいから離してぇ!」




「むぅ~」




わたしから離れてほっぺを膨らましながら怒ったふりをする佳奈子は、いじけている犬のようで可愛いなんて思ってしまう。




「ほら、早くいこっ?」




「うん、そうだねっ!」




のんびりと歩き始める佳奈子は身長が高く足も長い。

当然、歩幅も広く、のんびりと歩いているはずの彼女に追いつくために、平均身長より少し・・・いや、かなり身長の低い私は早足でないと追いつけない。

ちょっと、コンプレックス。

そんなわたしを、佳奈子は環境が整いすぎて、自由のようで不自由な血統書つきの子ねこみたいだと言った。

わたしは、彼女を暖かい家庭で育った、自由な雑種の大型犬のようだと言った。




対極の二人。




暖かさを知っているからこそあたえることができる佳奈子。

暖かさを知らなかったから受け取ることができたわたし。




知ってしまった暖かさは、捨てられない。

でも、奪われるなんて思ってもいなかった。

思うことができなかった。




「いやぁ~、いっぱい買ったねぇ~」




クーラーの効いた店内から出た後の、まとわり付くような熱気の中で、無駄に明るい声で言う佳奈子。

右手には大きな袋が3つ。

内、2つはわたしのものである。




「うん・・・そうだね・・・」




対するわたしはグロッキー。

唯でさえ暑いのが苦手なのに、ついさっきまで加奈子の手によって着せ替え人形にされていた事によって減っていたわたしの体力と精神力は、熱気によってがりがりと削られていく。

ゴシック的な服が自分に似合っているのは周りの評価で十分に知っていたけど、下着もセットで20着以上も試着する事になるとは思ってもいなかった。

減らして組み合わせを五セット。

計五万七千円の出費である。

バイト代はほとんど使ってないから良いんだけど・・・

恐るべし、佳奈子。




「あはは・・・ゴメンね?玖久瑠って可愛いから、ついハッスルしちゃってさっ」




「別にいいんだけど・・・ハッスルって、ちょっと時代が古くない・・・かな?」




「そうかなぁ?」




悪いわけでは無いけどおじさんくさい、うん。




「時間」、余ってるけどどうする?」




携帯の時計が示す時間は15時。

門限がある訳でもないのに、帰るのにはほんの少しだけ早い時間だ。




「ん~・・・ねぇ?これから映画見に行かない?」




「何か面白そうなのでもあったの?」




「うん・・・ほら」




そういって見せられた携帯の画面には佳奈子お気に入りのロボットアニメの劇場版タイトル。

上映開始時間は二十分後。




「またこのロボットアニメ?前も[序]、だっけ?劇場版やってなかった?」




「ロボットじゃないっ!!じ・ん・ぞ~・に・ん・げ・ん!!他の誰がロボットだと言ってもあたしは認めないっ!!」




怒る佳奈子。

熱狂的なファンってやつは恐ろしいものである。




「ゴメン・・・」




「別にいいよっ・・・ちなみに今回のは[破]で、前のやつの続編だよ」




「そうなんだ・・・でも、二十分後って・・・ここからじゃ間に合わないよ?」




そう、ショッピングモールの対称に位置する映画館はここの一番近いバス停からバスで10分の距離だが、そのバスが来るのは20分後である。




「大丈夫、大丈夫っ。裏路地を使えば十分で着くよっ」




「そうなの?」




「うん、この前偶然見つけたの」




この街には裏路地が無数と言って良いほどある。

それこそ、把握し切れている人間が居ないほどに。




「さっ、いこいこっ?」




「ちょ、ちょっと?」




手を引っ張られて裏路地に入る。

―――入らなければ、失わなかったのだろうか?

少なくとも、この後に起きることなんて、わたしたちは知らなかった。


いやぁ〜…これからどうしよう?




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