この世界は何で決められているのか?
「そんな訳ないだろ!? だって僕は…!!」
中森は怒鳴った。
「まあまあ、落ち着いて。事情は警察署で聞きますので…」
警察官がそう言うと、そこへ上山と二人の友人が駆け寄ってきた。
「どうしたの?」
上山は不安そうに中森に尋ねた。
「俺、逮捕される…」
「え? なんで?」
上山は目を見開いた。
「でも、俺は神に誓って殺していない。それだけは本当だ」
中森は強く言い切った。
「もう別れだな。バイバイ、上山。お前らも…またな」
中森は無理に笑顔を作って言った。
警察官は中森の手首に手錠をかけ、そのまま連行した。
その場に残された上山は、崩れ落ちるようにして号泣した。
「まず、この刃物。これはもともと中森さんの自宅にはなかった物だが、今回の殺害に使用された凶器だ。そして、この刃物から中森さんの指紋が検出された」
死んだような表情の刑事・氷山冷は、神奈川県鎌倉警察署の取調室で冷酷に告げた。
「さらに、床に落ちていた手袋。これも元からあった物ではないが、同様にあなたの痕跡が検出されている。その他の証拠から総合的に判断し、犯人はあなたであると特定された」
「そんな…そんなはずがない! 俺は殺してない!!」
中森は狂ったように叫んだ。
「証拠は揃っています。あなたが犯人である以外、説明がつき…」
「ふざけるな!!」
中森は刑事の言葉を遮り、勢いよく机を叩いた。
「俺が…俺が一番大事な家族を殺すと思うか!?」
「演技しても無駄だ。さっさと諦めて自白しろ」
氷山は冷ややかに言った。
「はあ!!??」
中森は怒りに震えた。
すると氷山は、さらに冷酷に言い放った。
「この世界は、立場がすべてだ。学校では生徒は教師に従い、会社では部下は上司に従う。そして社会では、警察が決めたことが真実になる。憲法など、きれいごとに過ぎない。逆らっても無駄だ。罪を認めろ」
その言葉を聞いた瞬間、中森は絶望のあまり倒れ込んだ。
ー違う! そんなはずない!!世界はもっと自由で、平等で、素晴らしいはずだ!!!ー
中森は、そう心の中で叫んだが、現実は残酷だった。
中森は裁判で有罪判決を受け、少年院へ送られた。
そこで彼は、ルームメイトから執拗ないじめを受け続けた。
そして四年後…
出所した中森は、鎌倉駅前のファーストフード店「マークドナルド」でアルバイトを始めた。退屈で、やるせない日々を過ごしていた。
ある日のこと…
「いらっしゃいませー」
中森は、やる気のない声でそう言った。
すると…
「よお、中森」
するとそこにいたのは、上山だったのだ。




