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メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう!
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第94話 合同パーティーに潜入!

 すでに夕方から始まっているらしいお城のパーティー、

 なんでも国王派と教会派の合同ウェルカム入学パーティーらしい、

 学院だけじゃなく王都の学園、学校に春から入る生徒をまとめて祝うとか。


(一人だけ別派閥の僕が突っ込まれてもなぁ)


 困惑していると見知ったお姫様が近づいてきた。


「まあ、なぜ貴方が?」

「えっとロゼッタ姫、貴女様を助けたお礼だとかなんとか」

「そんなこと、頼んだ憶えはありませんわ?」「陛下のサービスかと」


 建前上はそういうことにしておこう。


「マナーの方は?」

「いえ、さっぱり」

「ですわよねえ……」


 うん、立食パーティーなのに、

 結構皆さんご上品に頂いているからね、

 このあたりは幼い頃からしっかり仕込まれているっぽい。


「あの、わたくしを頼られても困りますわよ?」

「あっはい、隅っこで目立たないように、大人しくしておきます」

「どうぞごゆっくりとは申し上げられませんわ、まあ、程よき所で」


 なんだか悪いな、

 おそらく姫様からしてみたら、


『私のせいでこんなのが紛れ込んでどうしてこうなった』


 とか思っていそうだ、

 アンヌさんアンナさんも普通に僕のメイド業務をしているし、

 ここからいつ、どうやって80年前の魔王討伐パーティーになるんだっていう。


「ダルマシオ様」

「はいカタリヌさん、帰っちゃまずいですよね」

「それより先ほどの姫、さすがに今日は魅了は使っていませんでした」


 そりゃそうだ、

 この会場で僕にストーキングされたら迷惑この上ない。


「……ダルマシオ君」

「え? あっ、見た事ある!」

「セィルだよ、解呪をありがとう」


 あっそうか、

 姫様のメイドの弟だっけ、

 ちゃんと姉のええっと名前なんだっけ、が横に付いてる。


(にしても細くて白いな、大丈夫かな彼)


「ええっと、同学年だよね」

「うん、クラス分けテスト、頑張ろう」

「あっ、それなんだけど……、ああいいや」


 姫様に一緒にSクラスへ、とか言われてた気がするけど、

 遅刻者大量出現とかしない限り、Fクラスか最悪Gクラスなんだろうなぁ……

 セィルくんが窓から何かを見ている、僕がおいでおいでされて見てみると、そこには!


「あっ、あれ学院だよね」

「うん、王立グランサーヴァ聖貴学院、庭を見てごらん」

「何か作ってるね」「クラス分けテストの実技会場だよ」


 あんなに大掛かりにやるんだ。


「セィルくんは戦闘試験とか大丈夫?」

「僕は攻撃力ゼロだからね、姉さんに任せるよ」

「それでも加点されるんだよね」「二割か三割、点数を引かれるけどね」


 と、窓の外を見ている間に会場が静かになった、

 何かと思ったら国王陛下の登場だ、僕も直立で迎える、

 続いてお婆さんもやってきたな、あきらかに大聖女って感じの服装だ。


(あっ、近衛長さんが前に出た!)


「これより陛下のお言葉であるっ!!」


 二人並んでいるのをみんな大注目だ。


「皆よ今夜は特別な日だ、入学祝いに叔母上まで来ていただいた、

 我らがロシュフォール王家とルブラン教会が競い合い、また手を取り合い、

 素晴らしい学校生活、学園生活、学院生活を過ごす事を共に誓ってくれたまえ!」


 やっぱりこういう場でも威厳があるなぁ。


「では叔母上」

「はいはい、皆さんルブラン教会聖母タチアナですわ、

 兄も今日ここに集まっていらした方々の未来は明るいと申しておりましたの」


 ええっと、確かあの前国王の双子の妹さんだよね、

 いやあの痴呆老人がそんなこと言えるはずもなく、

 そこは突っ込まない方が良いか、まあ部外者だし。


「神はきっと皆さんを祝福し続けます、それは自分を信じる事に通じますわ、

 ルブラン教会はロシュフォール王家もまとめて祝福を致しますゆえに、

 ここにいらしている新入生の皆さん、どうぞ、どうかご安心下さいませ」


 ……いや僕は含めちゃいけないだろう。

 そして改めて国王陛下が豪華な祝杯を手にする。


「さあ果実で乾杯と行こう、ロシュフォール王家とルブラン教会の入学を祝し、乾杯!!」


 とまあ国王教会派閥のお祝いを隅っこでスパイみたいに見ていた僕、

 さすがに他所を向いてチキンを頬張る訳にはいかなかったが、居づれえ居づれえ。

 国王には色んな新入生が順番に話をしに行っている、あの順番待ちの列に加わる気は無い。


(そもそもの用件はどこへ行ったんだよ……)


 そう思っているとさっきのお婆さん、

 聖女の最上級だったよな確か聖母の称号って、

 そのタチアナさんがこっちの方へやってきた、って僕?!


(会話したそうな入学生を掻き分けてまで、真っ直ぐに僕の方へやってきた!)


「……ダルマシオ=ダクリュセック殿ですね?」

「は、はいっ!」

「お聞きしました、ウチのぺネロプを助けていただいたようで」


 あっ、話は行ってるんだ、

 ということは学院であの怖い先生に渡した手紙、

 ちゃんと届いたっていう事でいいのかな?


「はい、それは良いのですが遅刻してしまって、入学手続きが」

「あらまあ、それは大変ですわね、学院長にお話は?」

「ぺネロプさんの手紙を渡したはずで、届いていると良いのですが」


 続いてアンヌさんを見る聖母様。


「……よろしいですか?」


 なぜか小声になる、

 でも綺麗な声だからお婆さんでも通って聞こえちゃう。


「はい、何でしょうか」

「父と母がお世話になりました、祝勝パーティーを用意しております、

 どうか来ていただきたい、ウチの従者メイドが案内致しますゆえ」


 これって僕もついていくべきかな?

 いやむしろついて行きたい、まであるんだけれども!

 って行こうとしたら別のメイドに止められた、行って良いのはアンヌさんだけか。


「そちらのお方も」

「……私もでしょうか」

「はい、二人揃って」


 アンナさんまで連れて行かれる、

 これバレてるな、眼鏡とリボンとペンダントで魔力を抑えているのに。


「さて、ダルマシオ=ダクリュセック殿、母から全て話は聞いております、

 何かどうしても困った事があれば一度だけ、我がルブラン教会が力になりましょう」

「……ありがとうございます、ひい爺ちゃんも喜びます」「ではしばらくあの方を、お借りしますわ」


 ユピアーナ様の事か、

 魔王討伐の祝勝パーティー……

 確かにいかに今の主人が僕とはいえ、立ち入って良い話じゃないな。


「わかりました、待っています」

「貴方も私の招待ですから、安心して食事と交流を楽しんでらしてね」

「は、はいっ」


(と、申されましてもねえ……)


 聖母様を見送ると、

 入れ代わりで聖女服の女の子が来た!


「ええっと、ダルマシオ=ダクリュセック君?」「はいそうですが」

「聖母様から何でもいいから話せって言われたから来たわ、

 同期入学のポレットよ、君、魔力は?」「光魔法が、まあ、そこそこ」


 とはいえ急に解放されたから、制御が効かない。


「ふーん、私は聖女候補で卒業したら聖女になれるんだけれども、

 ウチの教会っていうのが元は前国王の義理の弟が独立して作った教会で、

 教会都市には十二教会と呼ばれる本教会に仕える教会があって、そこの九番目で……」


 とまあこのポレットさんが一方的に喋る喋る、

 これはアレだ、きっと僕が暇しないようにというか、

 時間を浪費してくれるために……いやこの感じだと素の性格だな。


「んでね、うちの教会にもメイドは居るんだけど、魔法武器っていうのがあってね……」


 これ、僕は頷いているだけで喋らなくて良いシステムっぽいな。


(それはそうとユピアーナ様、ちゃんと80年越しの魔王討伐パーティー、楽しんでいるかなあ……??)


「学院では卒業して聖女になるって言っても、実はお婿さん探しもあってね……」

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