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メイドが本体!  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 闇のメイドを引き連れて王都の学院へ行こう!
93/122

第93話 前国王に会ってみたものの!

 寝かされている前国王、

 その世話をしているヨボヨボのお婆さんメイドが一礼する、

 さっきの近衛長は出て行ったのでこの部屋に居るのは二人だけだ。


「ユピアーナひゃまれございまひゅね、十五の時にお会いしまひひゃ、バヒャラと申しまひゅ」」

「うむ、うっすらと憶えているぞ、バサラ」「光栄にへ、ございまひゅ」


 あーこれ、かなり歯が抜けてるな。


「それでこやつがイスマエルとロリーヌの」

「ふぅたごの兄でございまふ」

「名は」「ファブリス坊ちゃんもぉすぐ八十でございましゅっ」


 うちのひい爺ちゃんといい、

 平和になったとたん子作りか、

 まあ魔王を片してからでないと安心して子育てできないからね。


「ファブリスで良いのだな、ハブリスとかバブリスでは無いのだな?」

「ふぁい、ファ・ブ・リ・ス、にてごふぁいふぁふ」

「ユピアーナ様、間違いないですよ、僕が聞いた事ありますから」


 ていうか前国王の名前なんて一般常識だ。


「おいファブリスとやら、イスマエルから話は聞いておろう」

「……あ”あ”あ”? ……う”あああ”っ、あ”あ”あ”あ”あ”……」

「おいおいバサラ、これは」「すっかり痴呆(ちほう)がすすんでおりまふゆふぇ」


 うん、そりゃあ早めに隠居するはずだ。


「しっかりしろ、ある意味、お前が起きた私の面倒を見る価値があるのだぞ」

「……あ”う”っ……あ”う”あ”う”あ”ーーー……」

「ふむ、さすがにこれでは話が通じないな、この姿ならどうだ」


 眼鏡を外し、またユピアーナ様の姿になって見せる。


「あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!……ぁぁぁぁぁ……ふぅ」


 驚いた表情ののち、

 なぜだかよくわからないが静まった。


(あ、これ中でおしっこして落ち着いたな))


「治癒魔法をかけるか」


 無詠唱でおそらく最高級の光回復魔法を浴びせる。


「あ”あ”あ”!!! ……あ”あ”う”ぅぅぅ……う”う”っ」


 少し身悶えたのち、

 安らかな表情に……

 そして目をカッと見開いた!!


「う”う”う”っっ!!!」

「ありふぁとうございまふ、ファブリスぼっちゃんが近年無いくらひ、良くなりまひた」

「どうだファブリス、調子は」「あ”あ”あ”ーーーーー……あ”う”っ!!」


 何か見た感じ、全然変わらないんだけれども!


「よしわかった、これくらいにしておこう、

 バサラよ、イスマエルは幸せそうだったか?」

「ひゃい、それはもふ」「ならば良し、ではファブリス、邪魔したな」


 僕は深々と一礼してユピアーナ様から戻ったアンヌさんに続いて出る、

 そして待っていた他のメイドみんなと合流、カタリヌさんが代表して? 聞いてくる。


「いかがでしたか」

「ああ、相当にボケていたな、治癒魔法も効かなかった」

「それはもう老衰では」「……そういうことにしておこう」


 何だろこの含み、まあいいか。


(それにしても困ったぞ)


「アンヌさん、王都でのある意味、望みの綱だったのでは」

「まあな……おっと、そろそろ口調を変えよう」

「あっ、そうですね、とりあえず王様の所へ戻りましょう」


 そういえば『話は会ってから』的な事を言われていたっけ、

 近衛長も合流し今度は別の場所へ、陛下の執務室っぽい所だ。


「失礼致しますっ!」

「うむ、入れ」「ははっ」


 入るや否や、いきない大きなため息の陛下。


「父上がああで済まない、激務がたたって七十を超えたあたりで怪しくなってな、

 老化によるものゆえ治癒魔法も効かない、せめて最低限の知った世話係を置いて、

 静かに余生を送らせるくらいしか方法が無いのだ、こればかりは仕方が無い」


 アンヌさんが眼鏡を直しつつ神妙な表情で問う。


「事情はわかりましたが、件の受け継ぎは」

「父上が健在の時に聞かされているゆえ、ある程度は我がやろう、

 ただ生きている以上は本来は父上の仕事、我はその代理だ」


 あっ、これ上手い具合に逃げようとしてないかな。


「色々とお伺いしたい事があったのですが、よろしいでしょうか」

「我でわかる範囲なら」

「魔王を討伐したパーティー『クリスタルパレス』のアジトが王都にあったはずですが」


 うん、それを僕らが使う手があったんだよね。


「立派な観光施設だ、見世物になっているゆえ今更、引き渡しは出来ない、

 どうしてもというのであれば『何でも一度だけ従わせる権利』を使うと良い」

「それは知っているのですね」「祖父がそれだけが『唯一の義務』と言っていたそうだ」


 クズ勇者でもそこだけはさすがに守るか、

 逆に言えばそれしか守る気が無いとも言えそう。


「主に荷物置き場とティムモンスター小屋にしておいた別館が離れた所にあったはずだ、いえ、はずですが」

「それなら好きに使って良い、ティムモンスター小屋は昨年末に整理した所であったな、

 別館に関しては価値のある魔道具等は移したそうだが基本的にはそのままだ、使用を許可する」


 おお、お許しが出た!


「では学院の三年間はそちらで」

「好きなように使え、ダルマシオよ」

「あっはい陛下、ありがとうございます!!」


 住居はクリア、だよね多分。

 アンヌさんは話を続けてくれる。


「それでひとつ耳に入れたい話がある、

 ここへ来る途中の道でであった事なのだがな……」


 例の魔物襲撃について報告した。


「……なるほど、スタンビートの兆候かも知れんな」

「魔物の大暴走ですね」

「情報が冒険者ギルドに行っているなら調査は入るだろう、それでどうした」


 あっ、ここは僕が話そう。


「すみません、それで学院の女教師一行を救ったら、

 学院への手続きが遅れてしまって、クラス分けテストを受けられなくなってしまいました!」

「……それは自分が悪いのではないか?」「い、いえ、人助けをしたのですが……はいっ」


 やっぱりそもそも『来るのが遅い』って話になりますよねー。


「では使うか、権利」

「ええっと、メイドと相談します」

「わかった、それとユピアーナ殿に話だ、そのままの姿で構わぬ」


 改めて陛下の方を向くアンヌさん。


「何で御座いましょうか」

「祖父だけではなく勇者パーティー『クリスタルパレス』の総意だ、

 今夜、ユピアーナが参加できなかった事を行う」


 わざわざ立ち上がる陛下。


「して、それは」

「ああ、もちろん『魔王討伐パーティー』だ」

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